こんにちは。プログラミング クラブ ネットワーク : PCN の 原です。

僕の住んでいる福井県は「越前がに」で有名です。2017年11月26日には、この「越前がに」にちなんだ「越前がにロボットコンテスト」が福井駅前にて開催され、僕も運営として参加し、競技審判をさせていただきました。

参加してくれた小学生チームは20を超え、「地球から小惑星まで、越前がにロボットでレアメタルを取りに行く」熱い戦いを繰り広げてくれました。

参加したロボットは多種多様。IchigoJam + タミヤロボット、Artech社 アーテックロボ、レゴ社 EV3などの中、我らがPaprikaでも参加がありました!

  • 越前がにロボットコンテスト
  • 越前がにロボットコンテスト
  • 「越前がにロボットコンテスト」の様子

最後には、小学生低学年の部、高学年の部、そしてデザイン賞の3部門の表彰が行われました。入賞した皆さん、惜しくも入賞はのがした皆さん、また講習会などに参加したけど出場まで行かなかった皆さん、今回の参加ありがとうございました。

さて、今回はいつもと趣向をかえて、親御さん向けにプログラミング教育に関するオススメ本を紹介しつつ、paprika さらに改造するヒントを伝えたいと思います。

プログラミング教育が広がる(親御さん向け)

2017年は、プログラミング教育が話題になることが著しく増えた年になりました。これは、2020年に小学校から取り入れられるプログラミング的思考の導入決定が大きいと思います。

世界各国でさまざまな取組が行われていますが、日本の場合は、「プログラミング」や「コンピューティング」という教科が増えるのではなく、現在行われている各教科の中に「プログラミング的思考」を積極的に取り入れましょう、という方針になりました。

例えば、算数でグラフの描き方を習った時にプログラミングでも描いてみる、理科で重力を学ぶ…などの形で導入されます。

ポイントは、コンピューターを活用するために、プログラミング「的思考」を身につけることを主としていること。何か特定のプログラミング言語を学ぶというより、プログラミングで表現できるような思考を育む点にあります。学校の文化祭のスケジュールを組んで、開催当日の生徒会の当番の回し方や、お客さんである生徒の出入りを考える、なんていうのもプログラミング的思考のひとつですね。

個人的には、どの言語でもいいので実際にプログラミングの楽しさを知ってもらうという一歩がオススメです(もちろんIchigoJamだと、なお楽しい! )。来週の理科の時間割に、「Paprikaを動かそう」って書いてあったら、大人も子供も楽しいじゃないですか(笑)。

具体的な行動も行いつつ、それにいたる過程などの思考方法も学ぶ。逆に、具体的な行動(ゲームを作ったり、Paprika動かしたり)を通して、その思考方法が身についたりと、プログラミングと「的思考」には双方向の作用があると思います。IchigoJamやロボット・パソコンをひとつのツールとして、紙・鉛筆、ハサミなどを使う今までの授業と、適度にミックスしてもらえると良いと考えています。

プログラミング的思考の教育を知る(親御さん向け)

まだ取り組みが始まったばかり、かつ幅広い世界なので、唯一の解というのはありませんが、興味がある方向けに、僕が分かりやすいなぁと思った本をいくつか紹介させていただきます。

「小学校にプログラミングがやってきた! 超入門編」

上松 恵理子 (著)

小中学校へのプログラミング教育導入について、易しく書かれた一冊です。どんなプログラミング言語というものがあるのかという地図を広げた上で、それぞれの特徴をとらえた上で、プログラミング学び方が紹介されています。(専門用語をのぞき)言葉が平易なので、プログラミングって何なの? という点が捉えやすい一冊だと思います。

具体的にプログラミング言語を紹介していて、それをわかりやすく分類している点が、入りやすくて良いのではないかと思っています。実際に使われているもの・動くものを、少し頭に入れておくだけで、幅広いものが見えてくるかと思いますので。

プログラミング教育導入の前に知っておきたい思考のアイディア

黒上晴夫(著),堀田龍也(著)

パソコンを使わないプログラミング的思考の授業例(アン プラグドという呼び方をしたりします)。普段の学校生活などの中にプログラミング的なものが沢山あるという事がよく分かる本です。国算理社の四教科から、総合・音楽や体育での授業例まで含んだ事例集となっていて、プログラミング的な思考というものが、何も特別なことではないというメッセージを感じます。

「はじめに」で堀田先生が述べられている、「小学校で、しかも教育課程内で行うべきことは、数時間のプログラミング体験だけでは身に付ききれない、プログラミング的思考の基盤となる思考力の育成」と、「IT業界がそのノウハウを学校外からたくさん提供してくれると思っている」が、この本の位置付けを上手く表していて好きです。

先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本

利根川 裕太(著),佐藤 智(著)

文科省が考えていること、プログラミング教育に取り組んでいる現場の声、2020年に向けたことなどが、とても詳しく書かれている一冊です。タイトルでは先生のためとありますが、学校で行われている先行的な取り組みという視点で見れば、興味のある大人だれもが楽しめる本です。

カラーで、実際にパソコンを使った単元例が詳しく紹介されていたり、解説に図も多用されていたりますので、読みやすく、全体的な事を知っておきたいという方にオススメな一冊です。

プログラミングを知る(親御さん向け)

教育は学校にまかせておいて、そもそもプログラミングって何なの? 何が出来るの? というような、お子さんからの質問があったときの答えになりそうな本を紹介します。

なるほど! プログラミング 動かしながら学ぶ、コンピュータの仕組みとプログラミングの基本

森 巧尚 (著)

パソコンをもってさえいれば、誰もが体験しながらプログラミングを理解できるように書かれた一冊です。プログラミングを知ることにフォーカスしているので、その基盤となるコンピューターそのものから、プロのプログラマーが書いているような部分まで、深い話を、平易な言葉とサンプルプログラムで説明してくれています。

個人的には、内容的に深い部分(プロも、ぼんやりとしか理解してないような)も含んでいるので、読むだけじゃ物足りなく、手を動かして体験してみたい人に向いていると思います。

小学生からはじめるわくわくプログラミング

阿部 和広 (著)

ビジュアルプログラミング言語のひとつ「Scratch」を用いて、親子で一緒にプログラミングを学んでいける一冊。キーボード入力が不安な方でも、命令を表すブロックをマウス操作することでプログラミングが作れるので、かわいい絵をみながら進めていけるのがポイントです。

個人的には、小学生ぐらいの子供がいて、自宅にインターネットにつながったパソコンがある方だと、すぐに始められるので良いかと思います。プログラミングをきっかけに、インターネットの使い方などリテラシーも一緒に学べると良いですね。

楽しく学ぶ アルゴリズムとプログラミングの図鑑

森 巧尚 (著)

アルゴリズム = ある問題を解くときのやり方を通して、プログラミングによって解決できる問題などを楽しく知ることが出来る本です。合計値や平均値の求め方から、データの並び替えというシンプルな課題を、多くの図と共に説明してくれています。IchigoJamや Scratchをはじめ複数の言語での表し方が書かれていますので、自分の身近な環境で試せるのも良いところ。

少し入門的な事はやったけど、変数とかなんであるの? と不思議に思っている人などに良いのではないかと。コンピューターでプログラムを動かす意義などが、アルゴリズムを通すとより明快になると思います。

次回は、ここまで解説してきたpaprikaを、冬休みの間に改造できるような補足をしたいと思います。