• Backbone One PlayStation Editionに、手持ちのiPhone 15 Proを組み合わせたところ

皆さんこんにちは、ライターの工藤寛顕です。突然ですが僕は今、北海道は札幌市に来ております。といっても旅行ではなく、実家が札幌なので帰省の機会が多く、今回も2週間ほど滞在しているというわけです。

ところで、自宅を長期間空けているとどうしても考えてしまうことがあります。それは「家に置いてきたゲームで遊びたいよ~~~~~!!」ということ。「Nintendo Switch」などの携帯ゲーム機は簡単に持ってこられるから良いものの、「PlayStation 5」(PS5)などの据え置き型のゲーム機は持ち運ぶのも一苦労です。テレビ周りの配線をいちいち取り外すのも面倒くさいし……。

夏休みに祖父母の家にニンテンドーゲームキューブを持ち込んでいた小学生の頃からまったく成長していませんが、今は2024年。力技でなくても、そんな欲望を解決する手段があります。それが「リモートプレイ」機能! ネットワークを利用することで、自宅にあるPS4やPS5を外出先からスマートフォンでプレイできてしまうという画期的な機能です。

  • PS5のリモートプレイ機能を起動したところ

実はPS3時代から存在する機能ですが、使ったことがないという方や、画質やレスポンスが悪いというイメージの方も意外と多く、改めて使ってみるとその実用性に驚かれることもしばしば。かくいう筆者もその一人だったわけですが、最近はもっぱら愛用しています。

今回は、そんなリモートプレイにも大活躍してくれるスマートフォン用アクセサリ「Backbone One PlayStation Edition」(19,800円)をブックマーク。ぜひ最後までご覧ください。

PS5になじむ「Backbone One」USB-C版を買った理由

  • Backbone One PlayStation Edition(型番:BB-51-W-S)

「Backbone One」は、スマートフォンに取り付けて携帯ゲーム機のように操作することができる一体型のゲームコントローラ。Android用のUSB Type-Cモデル(型番:BB-51-W-S)とiPhone用のLightningモデル(同BB-02-W-S)がラインナップされており、前者はiPhone 15シリーズにUSB Type-C(USB-C)が採用された際に正式に対応しています。

何を隠そう、僕がこの製品を購入したのは、まさにこの「USB Type-C版がiPhoneに対応した」のがきっかけ。もともとLightningモデルが欲しかったけれど、「次のiPhoneではLightningが無くなるはず……」と思うと有線接続のアクセサリはなかなか怖くて買えず、「iPhone 15 Pro」の登場によって満を持しての購入となりました。まずは、そんな本製品の外観から見ていきましょう。

  • 背面

  • 右側にUSB Type-C端子を備える

購入にあたって僕がチョイスしたのは「PlayStation Edition」というモデル。白を基調としたPS5ライクな本体カラーをはじめ、PlayStationとの親和性が高いデザインとなっています。コントローラ部はサラサラとした手触りで、グリップはコンパクトながらカーブがかった形状で適度に厚みがあり、握りやすくなっています。コントローラ内には振動機能はありませんが、iPhone自体のバイブレーションは結構ハッキリと伝わってくるため、対応したゲームアプリであれば迫力あるゲームプレイが楽しめます。

コントローラとしての造りもしっかりとしていて、安っぽさは感じられません。特徴的なPlayStationシェイプス(△○×□)配列のボタンは、カチカチとやや固めのクリック感があって良い感触。スティックはSwitchのJoy-Conのそれに近く、こちらも小ぶりながら操作性は良好です。

  • 右手側の△○×□配列のボタン

スティックの下にはオレンジ色のBackboneボタンと、オプションボタンが並んでおり、Backboneボタンは長押しすることでPSボタンの代わりの役割を果たします。そのため、PSボタンの操作は「PSボタン単押し:Backboneボタンちょっと長押し(0.5秒くらい)」、「PSボタン長押し:Backboneボタン長押し」という感じで若干クセがあるのですが、そもそもプレイ中に何度も押すボタンではないので、慣れてしまえばあまり問題はありませんでした。

  • スティックの下に、オレンジ色のBackboneボタン、オプションボタンのふたつが並ぶ

左手側はXboxのような、スティックが上で方向キーが下という配置。方向キーはDualSense(PS5の純正コントローラ)のように分かれておらず、任天堂ハードの十字キーに近い形状です。こちらの感触は右手側のボタンと比べるとやや柔らかめ。方向キーの下にはスクリーンショットボタン(左)と録画ボタン(右)があり、リモートプレイ中はスクリーンショットボタンがPS5本体のクリエイトボタンと同様に機能します(録画ボタンでiPhone本体のスクリーンショット機能を利用可能)。

  • 左手側のスティックと方向キー

L1/R1ボタンはクリック感があり、L2/R2ボタンはトリガーになっているタイプ。トリガーはボタンが小さい分ストロークも浅めですが、しっかりと段階的に入力でき、レースゲームなどもバッチリ楽しめます。アダプティブトリガーに対応していないのは残念といえば残念ですが、個人的にはデジタルボタンでないだけでも御の字といったところ。

  • 右手側の上側面にあるR1/R2ボタン

本体下部にはイヤホンジャックとUSB Type-C端子が備えられており、有線イヤホンや充電ケーブルを接続しながらのプレイが可能です。どちらも下方向にケーブルが伸びる形になるため邪魔になりにくく、快適にプレイすることができました。ちなみにリモートプレイであれば、PS5ではそのまま接続できないBluetoothイヤホンも手軽に使えます。

  • 本体下部のオーディオ出力とUSB Type-C端子

  • DualSense ワイヤレスコントローラー(上)とBackbone One PlayStation Edition + iPhone 15 Pro(下)を並べたところ

iPhone 15 Proと組み合わせて使ってみる

それでは、実際にiPhone 15 Proに接続し、インターネットを介してのストリーミングでPS5のリモートプレイをプレイしてみた感想をお届けします。ちなみに、装着した際のサイズ感はSwitchの携帯モードと同じくらい。iPhone込みでの重量は326gでした。Joy-Conを装着したSwitchが398gなので、それよりは少し軽いですね。

  • Nintendo Switch(上)とBackbone One PlayStation Edition + iPhone 15 Pro(下)を比較するとこんな感じ

まず、軽く触れた段階からすぐに体感できたことは……「物理ボタン最高」!!

リモートプレイでは画面に表示される仮想コントローラで操作することができるのですが、これがまた操作しづらくて……。「Slay the Spire」などのカードゲームではさして影響は少ないものの、スティックをメインに使うアクションゲームでは入力の不確かさと通信のラグが重なり、操作の違和感が大きかったのです。

これが物理スティックになるだけで一気に低減され、ものすごく操作しやすくなりました。それこそ、タブレットPCにおける仮想キーボードと物理キーボードぐらい差があるといっても過言ではないかも。正直、物理コントローラになってもこの違和感は拭えないかな、と思っていただけに、想像以上のプレイフィールの変化に驚きました。

また、それによってさらに実感したのは、リモートプレイの画質の良さ。PS5のリモートプレイではHDRにも対応しており、iPhone 15 Proの有機ELディスプレイではかなり綺麗に映ります。これはBackbone Oneそのもののメリットではありませんが、画面に仮想コントローラが表示されていないというだけでも没入感が違うものです。画面に指もかからないので、ゲーム中のムービーや、小さな字幕を読むのも苦ではありません。

札幌(実家)から東京(自宅)のPS5ゲームを遊ぶ。タイムラグは?

実際に実家から『龍が如く8』を起動し、ハワイや横浜の街並みを探索しつつ、戦闘なども楽しんでみました。ジャストガードなどはラグ(遅延)を考慮したタイミングで入力する必要がありますが、基本的にコマンド式ターン制のRPGではあまりシビアに考える必要もなく、ゲーム内のダンジョンのひとつ「横浜ダンジョン」をEXフロアまで踏破することにも成功。格闘ゲームや音楽ゲームなど、数フレームのラグが命取りになるようなジャンルには向いていませんが、そうでない作品であれば、ストリーミングでもそれなりに遊べちゃうな、という印象です。

なお、そんなリモートプレイのラグについては、実家からだと4~5フレーム程度。ごくまれにカクつくことがあるものの、基本的には映像にノイズもありません。札幌から東京まで約820kmも離れているにもかかわらず、ここまで快適に遊べるとは、と驚くばかりです。ちなみに自宅内でのリモートプレイではラグはまったくといっていいほど感じられず、それこそSwitchのように……というよりは、WiiUゲームパッドのイメージに近いでしょうか、「テレビから離れて家の中の好きな場所で遊ぶ」という楽しみ方ができちゃいます。

以上、「Backbone One」のご紹介でした。今回はPSリモートプレイに限ったレビューでしたが、もちろんiPhone用のゲームアプリにも対応しています。実際に『Call of Duty: Mobile』『原神』『Asphalt 8』『クロノ・トリガー』などなど、さまざまなタイトルを携帯ゲーム機さながらに遊ぶことができました。買い切りのゲームやApple Arcadeなどをよく遊ぶという方にもオススメです。

最後に留意すべき点としては、やはり19,800円という価格でしょうか。ゲームコントローラとしてはやや高価で、たとえば格闘ゲームやFPSで使われるようなゲーミンググレードのコントローラや、PC用のゲーミングキーボードなどを購入できると考えると、悩ましく感じる方もいるかもしれません。

ただ、僕としては「カジュアルなゲームプレイをさらに楽しくしてくれる」というところに大きな魅力を感じており、一体型コントローラとしての造りの良さや、iPhone用ゲームにも対応する汎用性を考えると、個人的には即買いの価値がある製品でした。すべてのゲーマーに手放しにオススメとはいかないものの、手にしてみると「意外と良いかも」と感じる人は少なくないはず。気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。お相手は工藤寛顕でした。