NTTは、研究開発成果を公開する「NTT R&Dフォーラム2025」を、2025年11月19日~26日(22日~24日を除く)を、東京・三鷹のNTT武蔵野研究開発センタで開催した。
今年の「NTT R&Dフォーラム2025」では、「IOWN Quantum Leap」をコンセプトに、IOWNに関する最新の取り組みのほか、生成AIや量子、サステナビリティ、モビリティ、ネットワーク、セキュリティ、宇宙、デジタルツイン、UI/UXの合計10カテゴリーにおいて、89種類の研究開発成果を展示した。
「NTT R&Dフォーラム2025」の展示内容を、写真を通じてレポートする。
IOWNに関しては、光電融合デバイスの最新版や光電融合スイッチの試作品などを展示した。NTTでは、PEC-2(Photonics-Electronics Convergence-2)と位置づける幅20mm程度の光エンジン(光電融合デバイス)を、2026年度中に商用提供することを公表している。また、これを16個内蔵した光電融合スイッチは、1秒間に102.4Tbitの転送が可能になり、そのモックアップも公開した。
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光電融合スイッチの試作機。4方向に4つずつ接続している銀色の部分が光エンジン。光エンジンと情報処理用ICチップを同一の台座上に実装しており、消費電力を劇的に低減する
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光電融合スイッチの試作品をラックに搭載してデモストレーション
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オンデマンド光ネットワークの展示では、事前のネットワーク設定が不要で、機材を接続するだけでAPNを開通できる様子を示した
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SCX(Subchannel Circuit eXchange)により、APN通信の特徴である確定通信を多地点間で柔軟で経済的に利用できる。オール光ネットワーク共通基盤技術により、APNを複数プロバイダで協調し、品質を確保したネットワークに進化させる
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IOWNによるスマートファクトリーの事例。PLCと外観検査AIをクラウドに集約。管理工数の削減と品質の向上を図る。遠隔地からの制御でも傷がある部品を瞬時に判別して取り除く
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日東工業掛川工場でのキャビネット外観検査の様子をデモストレーション。約300km離れたデータセンターと工場を結んで外観検査とロボット制御を実現


IOWNとバーチャルプロダクションを組み合わせたデモストレーション。約3000km離れた台湾に設置しているGPUサーバーで生成したステージの映像と、その場で撮影した画像を合成。人やカメラの動きにあわせて最適な画像にリアルタイムに変化させる。遅延は0.08秒だという



大阪・関西万博NTTパビリオンで話題を集めたIOWNによるPerfumeのライブの空間伝送を実演。LiDARとカメラで取得した3D点群データを伝送し、3D映像として表出。足元の振動データと位置をセンシングした触覚振動データを床面の振動により再現している。IOWNにより、4Kステレオカメラ映像も含む膨大なデータを遅延なく伝送している


IOWNによる空間伝送技術もデモストレーションした。3Dで再現しており、遠隔地にいる人がまるで隣にいるような存在を感じるコミュニケーションを実現する。動点群の動きを滑らかにする技術、リアルタイム高解像度化技術、ノイズ抑制技術によって実現している
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オンライン会議にデジタルヒューマン(右側の画面)が参加。話がテーマから逸脱するとデジタルヒューマンが注意したり、進行が停滞すると手前のテーブルを振動させたりする。会議の質を高める未来の会議室として展示した
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会議の内容をAIが把握し、内容の逸脱度を表示するダッシュボード




交通に関連するビッグデータをリアルタイムに分析し、効率的な交通流を実現する「移動・活動を最適化する4Dデジタル基盤」。交通テジタルツイン「RASiN」と行動変容を促すエージェントアプリ「Welmos Asgent」を利用し、2時間先の渋滞を予測して通知。予測到着時間も伝える。渋滞緩和や安全性向上、移動の満足度向上などにつなげる。大阪・関西万博の期間中に、阪神高速圏内で実証実験を行い、有効性を検証したところ、予測移動時間の誤差1分以内が約70%、3分以内が90%となったほか、渋滞情報通知を受け取った人のうち移動予定の再検討を行った人は13%となった。クルマが1割削減すると渋滞は半減すると言われており、効果が証明されている
生成AIでは、NTT版LLMの最新版「tsuzumi2」をはじめ、NTTグループが取り組み様々なAI関連技術とユースケースを展示してみせた。tsuzumi 2は、純国産の小型LLMで、高い日本語性能とコスト効率を実現しており、社内やインターネット、人の知見など、多様な情報源の垣根を超えるエージェントを実現。その一端を実演した。
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最新版「tsuzumi2」の展示。部署やシステムの垣根を越えて情報を収集、分析し、人に伝搬することで、組織の力を引き上げることができるという
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「tsuzumi 2」を活用した特許出願業務支援AIエージェント。特許出願における出願ポイントの検討、出願書類の執筆にかかる発明者の業務負荷を減らし、特許出願件数を増やして、知財戦略を強化できる
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NTT研究所とNTTドコモの最新技術を組み合わせた自然対話AI検証環境。新たなAI対話体験を提供する
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音声対話型会議支援エージェント。人間らしくふるまうエージェントが、自律的に議論や情報収集を行い会議の質を高めるという


自然な双方向対話が可能な音声対話AI。コールセンターへの問い合わせにおいて、自然な相槌や発話待ち、割り込みにより、人間と話しているかのような対話を実現する。ブースを設置して、自然な対話の様子をデモストレーションした
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暗黙知を用いたインシデント対応支援技術。AIがセキュリティ専門家の暗黙知を活用し、非専門家によるインシデント対応を支援する
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AIライフサイクルを支えるセキュリティ。Security for AI技術を統合、最適化することで、組織のAI導入を推進する
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Social simulation platform。人間の行動やインタラクションをシミュレーションしたデジタルペルソナとの対話を通じて、個人と集団の行動を分析。マーケティングや営業企画の提案、効率化を革新できる。短期間に深い洞察が得られる
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教育向けAIファシリテーション技術。議論状況に合わせた進行支援や、個人の役割および貢献度を可視化する
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内発的動機を促すメッセージ生成技術。やりたくないことと、やりたいことを組み合わせて、個人の行動につなげるメッセージを発信する。千葉市で実証実験を行っている
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コンテンツのフェイク対策技術。撮影時に真正性確認済メタデータで署名し、利用者のファクトチェックを簡易化する。スマホで写真や動画を撮影し、PCの画面で、どういったメタデータが付与され、どういった真正性検証がなされたかを視覚的にみることができる


生成AIを活用した新商品アイデア創出。チャットのやりとりだけで、、メーカーの技術力と生活者のニーズを組み合わせた独自の商品アイデアを生成AIが生み出す。アイデアは5分程度でまとめてくれ、イメージ画像も生成してくれる。2025年12月から商用化しており、サッポロビールなど複数の企業で導入している。あるコタツメーカーでは、自社の赤外線ヒーターの技術を使って、夜中に音を出さずに静かに髪を乾かすといった製品のアイデアが出たという


センシングやロボティクスAIを組み合わせ、実社会を支える維持管理業務を省力化する展示。農作物の獣害対策のために、モンスターウルフのぬいぐるみを多目的電動台車に乗せ、夜間に自動走行。制御、監視をして忌避効果を検証しているという
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エッジ端末での生成AI実行により、センサーデータや画像などの複数データをもとに、現場での迅速な意思決定の支援を行うエッジAIプラットフォーム
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脳活動から心に思い浮かべた視覚内容を推定することができるマインドリーディング。脳とAIの融合によって実現。発話困難者の意思伝達手段などにも貢献できるという
量子エリアでは、NTTが取り組む光量子コンピューティングに関する展示を行った。常温、常圧で動作し、省スペース化を図れるだけでなく、高速化、省電力、低投資といった点でもメリットがあり、圧倒的なスケーラビリティを実現することができる。NTTでは、2027年には国内トップレベルとなる1万量子ビット、2030年には世界トップレベルの100万量子ビットの光量子コンピュータの実現を目指しているほか、他社に先駆けて1億量子ビットの達成を目指す考えを示している。
サステナビリティでは、カーボンニュートラルや脱炭素社会への貢献のほか、持続可能な社会の実現に向けた最新の取り組みについて紹介した。
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高分子材料を薄膜化し、素材にコーティングする技術を開発。医療機器や半導体薄膜用などに利用できるという
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NTTグループの水素配管技術。二重管方式と異常検知技術によって、既存地下空間を活用し水素輸送コストを低減することができる
モビリティでは、「交通事故ゼロ」の社会実現に向けたNTTグループの様々な取り組みについて紹介している。各種センサーやカメラからの情報をもとにした交通状況の理解や事故回避、モビリティ向け通信基盤などを展示した。
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交差点デジタルツインシミュレーション。交差点全体をセンシングして、数秒先のリスクを予測して反映させる
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人間行動予測モデルでは、人の行動に影響を与える力や、個人の主観的空間を考慮した修正を加えて行動を正確予測する
ネットワークのエリアでは、通信を含む、様々な社会インフラを支えるNTTグループの取り組みについて紹介していた。
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マルチ無線プロアクティブ制御技術「Cradio」により、時々刻々と複雑に変動するモバイルトラヒック環境に追従し、モバイルネットワーク運用における品質改善サイクルの短縮化、通信品質安定化を実現するという
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6G通信によるAIおよびロボットと協調する活用シーン。LiDARで認識し、人が近づいてきたことを認識。横須賀市のキャラクターである「スカリン」が人の方向を向いて、身振り、手ぶりをする。6Gがロボットの目や耳になるという事例だ
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高電力効率を実現する無線基地局最適化AI。ユーザー数に応じたバンド(周波数)の停波によって、電力効率のよい基地局の運用を実現するという
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光ファイバーセンシングによる空洞化推定技術(FDM-DAS)。地上が微小に振動している様子を測定し、そこから地下の状態を推定できる。従来技術と同等精度で地中3m以上の地盤と特性評価が可能だという
セキュリティ分野では、サイバーセキュリティやデジタルトラストを支える基盤技術のほか、個人や法人、金融、公共分野などの様々なユースケースまでを紹介した。
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デジタル通貨のための価値移転プロトコルをデモストレーション。通貨や有価証券などの価値をトークン化し、二者間での安心安全な受け渡しを可能にするという
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アイデンティティの安全な活用を実現する管理基盤をデモストレーション。発行、管理、提示を管理できる
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Zero Trust Data Security (ZTDS)の展示。属性ベース暗号化技術であるABEと、生成AIによって、文書ごとに柔軟な閲覧制御を実現し、安全な情報共有を可能にするという
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秘密分散型トラストウォレット。秘密分散により、著名鍵を複数の断片にわけ、スマホやPC、クラウドなどに分散し、安全に管理する。断片が流出しても署名鍵は再構成できないため、不正利用などの心配がない
宇宙分野では、「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」実現に向けた通信・電力伝送技術や、衛星画像による地上の状況把握や異常検知など、宇宙事業創出に向けたNTTグループの最新の取り組みを紹介した。
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宇宙通信用の IOWNデバイスを展示。宇宙空間における光大容量リンクの実現を目指す
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モバイルと宇宙通信の統合ルート制御のデモストレーション。静止軌道衛星、低軌道衛星、HAPSを組み合わせ、サービスの要求品質を考慮した通信ルート制御によって、品質を維持する
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HAPSによる成層圏からの無線通信により、モバイルネットワークのカバレッジの拡張を実現する。写真はHAPSに搭載するソフトウェア定義型ペイロード。5kgの軽量設計で、機動的な4Gおよび5Gサービスを提供できる
デジタルツインでは、スマートファクトリーの実現に向けた製造業界や物流業界向けのロボット制御技術などを紹介していた。
UI/UXの展示では、IOWNを介した振動触覚伝送によって、遠隔地の人や場所とのつながり感を向上させる技術や、Personalized Sound Zoneで培われた音場推定や合成技術による能動騒音制御などの体験型デモが目立っていた。
















































