外付け型のオーディオインタフェースは、接続ポートさえ用意されていればデスクトップ型、省スペース型、そしてノートパソコンと環境を選ばず、簡単に接続できる。今回はその基本を確認してみよう。

USBとIEEE1394、二通りの接続方法がある

以前はオーディオインタフェースといえば内蔵型がほとんどであったが、近年は外付け型が多く、比率としては外付け型が主流となりつつある。その名称の通りにパソコンのケース内ではなく、外付けハードディスクのようにパソコンとケーブルで接続して使うのだが、ケーブル1本で簡単に繋ぐことができる。その性能を引き出すには専用ドライバソフトのインストールが前提とはなるが、最近はOS標準のドライバで動作するものも多く、パソコンのケースを開けたり、ドライバをインストールしたりといった作業に苦手意識がある人でも使いやすいだろう。ただし、DAWソフトなど音楽制作で使うならば専用ドライバのインストールは必須といえる。

現在の外付け型オーディオインタフェースは、接続端子によって二つに分けることができる。まずはUSB、もうひとつはIEEE1394(FireWire)だ。製品によってCPUやメモリ、OSといった推奨動作環境の差はあるが、USBやIEEE1394ポートを備えるパソコンであれば種類を問わず接続できるため、内蔵型とは異なり拡張性の低いノートパソコンや省スペース型パソコンでも利用できる。IEEE1394ポートは必ずしもすべてのパソコンに搭載されているわけではないが、USBポートは現在のWindowsパソコンならば間違いなく用意されているので、まさに環境を選ばない。

Shuttleのキューブ型ベアボーン「SD32G2」はフロントパネルに2系統のUSB2.0ポート、1系統のIEEE1394ポートを備える。ただしノートパソコンにもよく搭載されている、写真のようなミニ4ピンのIEEE1394ポートはバスパワー電源を供給できないため、バスパワー駆動を利用するにはバックパネルに用意された6ピンのIEEE1394ポートに接続しなくてはならない

またケーブル1本ですぐに接続できるため、複数のパソコンで1台のオーディオインタフェースを使い回ししやすいのもメリットといえるだろう。たとえば自宅では高性能なデスクトップパソコンに繋ぎ、スタジオやライブにはノートパソコンを持ち込む、そういう活用も可能だ。

パソコンから電源供給できるバスパワー

USBの外付け型オーディオインタフェースはかなり多くの製品が市場に送り出されているが、その中にはUSB1.1対応のものとUSB2.0対応のものがある。USB2.0はUSB1.1の上位規格で、具体的にはデータ転送速度が異なり、USB1.1は最大12MbpsだがUSB2.0は最大480Mbpsとなり、USB2.0のほうが高速だ。

これはパソコンとオーディオインタフェース間でオーディオデータをデジタルデータとしてやり取りするとき、たとえばステレオ2chだけを入出力するならばUSB1.1でも問題はないのだが、入力・出力ともに同時に6ch使いたいといった場合、USB1.1では転送速度が不足してしまう。USB2.0ならば対応できるため、10in10outといった多チャンネル対応のUSBオーディオインタフェースはUSB2.0対応のものが多くなっている。

デジタル/アナログ合わせて4in/4outに対応したTASCAMのUSB2.0対応オーディオインタフェース「US-144」、USB1.1ポートに接続した場合はチャンネルやサンプリングレートに制限が発生する

なおパソコン側のUSBポートがUSB1.1の場合、USB2.0のオーディオインタフェースを接続するとUSB1.1として動作することになる。このパターンでは、機能的に一部制限がかかってしまう場合がある。ただしここ数年、具体的にはWindows XP以降のパソコンであればまずUSB2.0対応となっているため、あまり問題とはならないだろう。

またIEEE1394の転送速度は最大400Mbpsであり、こちらも多チャンネルの同時入出力には対応できる。ただしIEEE1394、USB2.0とも、サンプリングレートおよびサンプリングビット数の設定により、同時に利用できるチャンネル数に制限がかかる場合が多い。これはUSBおよびIEEE1394の転送速度ではなく、ハードディスクの転送速度に起因しているため、現状では仕方がないようだ。

USBとIEEE1394のどちらを選ぶかだが、これは規格よりは製品そのもの、たとえば入出力端子の形状など次回に紹介するチェックポイントを確認した上で、自分が求める環境が実現できるオーディオインタフェースを選べばよいだろう。現状では豊富に入出力系統を備えた製品が多いのはIEEE1394だが、USBはすべてのパソコンに装備されているといってよい普及率の高さが魅力だ。USBはエフェクト機能を内蔵していたり、ハードウェアミキサーと一体化された製品があったりと、個性的な製品も最近は多く登場しており、こういったものを選んでみるのも面白い。

なお外付け型のオーディオインタフェースを使う場合、チェックしておきたいのが電源だ。何らかの形で電源を供給する必要があるのだが、ACアダプタを接続する以外に、USBやIEEE1394ケーブルを通じてパソコンから電源を供給できるものがある。これはカタログでは「バス電源」「バスパワー対応」などと記載されているが、配線がすっきりするため使いやすいだろう。

10in/10outという多彩な入出力系統を備えるEDIROLのIEEE1394オーディオインタフェース「FA-101」、6in/6outの弟分「FA-66」も用意されている

ヤマハの「MX12CX」はアナログミキサーとオーディオインタフェースが一体化、マルチエフェクトや、1つのノブでセッティング可能なコンプレッサ機能など、レコーディングで活用できる機能が搭載されているのも特徴