あえて「スピーカー付き」を選ぶ
最近では落ち着いたが、一時期耳の奥から聞こえる異音に悩まされたことがあった。泳いだあとの水抜きを忘れたわけではなく、もちろん耳掃除を怠ったわけでもないが、明らかに左耳だけ違和感があった。しかし、耳鼻科の医師に自分の状況(これでも結構忙しい)を話したところ、そりゃあストレスでしょうと鬱病患者向けの薬を処方される始末。飲まんっつうの。
結局原因はわからず、しばらく放置。唯一考えられた原因がヘッドフォン装着時間の長さだったため、極力ヘッドフォンを使わないよう心掛けた。半年ほど経過すると、異音はほぼ聞こえなくなったため、難聴気味だったのだろう。医師によれば、聴力にまったく問題なしという診断だったのだが。
ヘッドフォンの音量に十分注意していた筆者といえど難聴になるとすれば、やはりヘッドフォンの多用は耳の健康にとって影響大か。ならばスピーカーで……とも思うが、ポータブルオーディオとともにどこへでも持ち出せるヘッドフォンの機動力は捨てがたい。
そんなとき発見したKOMONOが、クリエイティブメディアの「ZEN Stone」。2007年5月に発売されたモデルと容量 / 価格は同一なれど、今年1月に発売された新モデルにはなんとスピーカーが内蔵されている。iPod shuffle並の小ささにもかかわらず、だ。迷うことなくGET、ここに使い心地などを紹介する次第。
音があることを楽しむデバイス
ZEN Stoneの操作体系はシンプルそのもの、電源ボタンを兼ねる再生 / 一時停止ボタンと、早送りボタンに巻き戻しボタン、上下のボリュームボタンが1つずつと、モードスイッチがあるばかり。モードは「シャッフル」と「リピート」、「フォルダのスキップ」の3種が用意されているが、液晶ディスプレイが省略されていることを考えると、シャッフル主体の利用が多くなりそうだ。
目玉の内蔵スピーカーは、ヘッドホン端子未使用時に有効となる。ヘッドフォンを装着すればヘッドフォンから、外せば内蔵スピーカーから音が出る、と仕様は明快。どちらの音量も上下のボリュームボタンから操作できるので、操作の手間が増える心配はない。
肝心の音質だが、その大きさゆえ中低音に迫力が欠ける傾向は否めないものの、意外なほどしっかりとした音で聴かせてくれる。バスドラやベースの存在感は薄いが、ボーカルやリードギターはくっきり。ただし、モノラル再生のため、音の広がりや臨場感を期待してはいけない。いい音で楽しむのではなく、音があることを楽しむ、といった印象だ。
ZEN Stoneにはシリコンケースとクリップが付属するので、場所を選ばず音を楽しめる。前述の「音があることを楽しむ」路線で行けば、次のような使い方が考えられるだろう。
*他人に音楽を聴かせる *ダンスの練習に使う *音声を録音しておき人前で口パクのスピーチをする(あがり症対策?) *登場するときダースべーダーのテーマを流し、周囲に威圧感を与える
最後の2つはともかく、この小ささでしっかりとした音が鳴ることの利点は大きい。先日のiPod shuffleの値下げにより、価格競争力は若干低下したが、それでも店頭価格は4,000円台。バッテリーパワーも、スピーカー非搭載モデルに比べ倍増(約20時間、ヘッドフォン使用時)している。対応フォーマットがMP3とWMAという点さえ納得できれば、買い得感はかなりのものといえる。
iTunesでも使える!!
このように、iTunesに認識される |
このZEN Stone、スピーカー内蔵だけがウリではない。あまり宣伝されていないが、Apple製品以外では珍しい、iTunes対応デバイスなのだ。筆者はMac OS X版iTunes 7.6.1で動作を確認したが、Windows版でも変わらず動作するとの報告を受けている。
基本的な使い方は、iPodと変わらない。iPodのように管理メニューは現れないものの、iTunesライブラリから楽曲を「Nomad MuVo」デバイスアイコン上へドラッグ & ドロップすればOK。ZEN Stoneのルートボリュームへコピーされるため、フォルダごとに整理しようとすると手間はかかるが、実はそれほど問題にならない。なぜなら、容量が1~2GBと小さいため楽曲すべてを入れ替えてもさほど時間はかからず、「ZEN Stoneで聴く曲はプレイリストにまとめておく」という手法を使えばコピーも容易だからだ。
なお、AACファイルのコピーも可能だが、iTunesのリスト上には表示されない。ZEN StoneはAACに対応しないため再生できないものの、iTunesから直接ドラッグ & ドロップで楽曲をコピーできることは、友人知人へ渡す場面などで重宝するはず。どうしてもAACが必要ならば、上位モデルの「Zen Stone Plus」(DRM付きAACには非対応)を選ぶという手もある。それでも価格は8,000円台、音質はともかく常にBGMが欲しいという向きにはおあつらえのアイテムとなるだろう。
○クリエイティブメディア 「ZEN Stone スピーカー内蔵モデル」 |
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機能 | ★★ | |
価格 | ★★★★★ | |
楽しさ | ★★★★ | |
怪しさ | ★★★★ | |
衝動買い | ★★★★★ | |
TOTAL | ★★★★ |