昨年の4月からやっているeneloop vs. HHR-3MPSですが、今回でついに最後です。充電してから約1年経過したeneloopとHHR-3MPSに、どのくらい容量が残っているのかを測定しました。

今までの経過を読んでいない方も少なくないと思いますので、結果の前に、ここまで行ってきた測定について簡単に触れてみたいと思います。

使用しているのは単3形のeneloopとHHR-3MPSです。eneloopはご存じのように三洋電機の、そして一方のHHR-3MPSは、松下電池工業のNi-MHバッテリーです。両バッテリーは、どちらも自己放電が極端に少ないという特徴を持っています。しかし、この2モデルは、家電業界ではよくあるようなOEM製品ではありません。eneloopは三洋電機のオリジナルですし、HHR-3MPSは松下電池工業とジーエス・ユアサバッテリーとが共同開発した製品です。そこで、この2つのバッテリーは、特性にも違いがあるのではないか、ということでスタートしたのがこの企画です。測定方法は、それぞれのバッテリーに負荷として2.5Ωの抵抗を(実際には何本かの抵抗を組み合わせて2.5Ωを作っている)接続し、1Vを切るまで、ひたすら電圧を計り続けるというものです。

現時点で行っている測定は、両バッテリーの購入時、1回放電した後でフル充電したとき、フル充電から1か月後、3か月後、6か月後です。

電圧の測定には、初めのころはテスターを使用していましたが、各バッテリーにつき5時間以上も電圧を記録し続けるというのはさすがに大変なのと(最初は一般的なNi-MHとして三洋電機のHR-3UFも測定していた)、ひたすら代わり映えのしないテスターの写真ばかり続くのはあんまりだということで、途中からデータロガーを導入しています。使用しているデータロガーは、PicoTechnology社のDr.DAQという製品で、高精度なものではありません。筆者が20年以上も使用しているアナログのテスターに比べても、精度は落ちます。また、ボード上に光センサーなどが搭載されていて、それらが測定結果に影響を与えているようでもあります(部屋の明るさを変えると電圧の測定値も変わる)。ですので、ここでの測定結果は、あくまでも、ここでの測定結果で、これをeneloopやHHR-3MPSの絶対的な性能だと考えるわけにはいきません。しかし、ここまでのところで、両者の性格のようなものは、ある程度見えてきています。両者とも、一般的なNi-MHバッテリーに比べると、確かに自己放電は少なくなっています。一般的なNi-MHとして測定対象に入れたHR-3UFは、eneloopとHHR-3MPSの2000mAhに比べると大きい2500mAhの容量を持っていますが、充電から3か月後には、その容量が逆転しています。また、eneloopに比べて、HHR-3MPSのほうが若干電圧が高めです。ただし、1Vを切るまでの時間はeneloopのほうが若干長いようです。

さて、いままでの経過では、だいたいこんな感じで、ここからは今回の測定結果です。

まずはeneloopからです。前回の測定では、スタート時の電圧が1.107Vで、4時間50分で1Vを割り込んでいます。

今回の結果を見てみると、スタート時の電圧は1.269V。今までeneloopを測定してきた中で最高の値となっています。その後、電圧は1.22V前後となり、3時間を少し超えるあたりまではそのまま安定。その後急激に降下し、3時間53分に1Vを割り込んでいます。4時間まで測定を行いましたが、その時点での電圧は0.477Vとなっていました。

前回の測定時に比べて、1Vを切るまでの時間は約1時間短くなっていますが、フル充電から1か月後に測定した時とほぼ同じです。つまり、1年程度ではあまり影響がないということに(筆者が測定した限りでは)、なっています。

eneloopでの最後の測定を行う

eneloopでは、充電後1か月時点での測定結果とあまり変化がない

続いてHHR-3MPSです。スタート時の電圧は1.091V。HHR-3MPSにしては低い値です(前回の測定時にはスタート時点での電圧は1.359V)。その後、1.14V程度まで持ち直しますが、1時間を越えるあたりから徐々に電圧が降下し始め、2時間46分で1Vを切っています。その後、3時間を少し越える程度で一気に電圧が下がりました。前回の測定では、1Vを切ったのは3時間40分後だったので、1時間弱、短くなったことになります(ただ、これに関してはeneloopも同様)。

しかし、全体的に、HHR-3MPSでは、前回に比べると、低めの電圧を示しています。また、充電から1か月の時点で測定した際には3時間30分、1V以上をキープしていたことも考えると、これだけで判断することは難しいのですが、いくぶん自己放電が進んでいるような感じではあります。

このHHR-3MPSの測定で、電池の計測はとりあえず終了。長かった

若干自己放電が進んだように見えるHHR-3MPS

さて、約1年間にわたって続けてきたeneloop vs. HHR-3MPSですが、これらの測定は、1パック、つまり4本ずつのバッテリーを使用して行ったものでしかありません。また、測定の精度にも問題はあるでしょう。しかし、今回で終了なので、筆者なりの結論を出しておこうと思います。測定結果から、充電後に置いておく期間が半年程度ならば、どちらの電池でもOKということです。その際、HHR-3MPSの電圧の高さが有利に働く機器も多いのではないでしょうか。それ以上の長期間になると、eneloopのほうが自己放電が少ないように見えます。自己放電の少ないNi-MHとして使うならHHR-3MPS、一次電池的な使い方をするのならeneloopという感じになるでしょうか。