私は漫画をフルデジタルで描いている。

ここで誰も知らないソフト名を出してビビらせたいところだが、多くのデジタル漫画家と同じく「CLIP STUDIO(クリスタ)」を使用している。

クリスタの歴史も長い、前身であるコミスタを入れれば25年近くにもなる。

まだ漫画と言えばアナログ作画が主流だった時代からデジタル漫画ソフトを提供し続け、今では業界になくてはならない存在だ。

私もそんなクリスタが提供する多彩な漫画制作機能を全部殺すために描いているようにしか見えない漫画を描き続けて15年だが、別に親の仇と思っているわけではない。

むしろクリスタがなければ私の漫画は「読める」の段階に達していないので、恩人と言ってもいい。

これからも私はクリスタを使うし、おそらく今デジタルで漫画を描いている作家のほとんどがクリスタを使用していると思うが、実はこの占有状態はあまりよろしくない。

今まで与えられていた不思議と気分が良くなるハーブやパウダーを突然もらえなくなると困るように、それしかない便利なツールを突然奪われるのは困るし、困った挙句法外な値段にも応じざるを得なくなるからだ。

現在クリスタはサブスク版と無期限に使える買い切り版が存在する。

私は無制限版のライセンスがあるので毎月かかるクリスタ費はない。

ただしライセンスを「3」持っているところが若干気になる。

クリスタを使っているのは私1人だし、使っているPCも一台だ、仮に家族で使っていたとしても「3」というのは家族の人数よりも多い。

なぜ3つ持っているのかはわからないが、持っているということは3つ分のライセンスを購入しているのだろう、どれだけクリスタで漫画を描いても金がないはずである。

ただ月額がかかっていないのはPC版だけである、iPadで使用しているアプリ版はサブスクのみであり、これに月額1,050円ほどかかっている。

iPadはサブ機なので、料金が上がったら停止を検討できるが、もしPC版も謎の理屈で買い切り版を停止されサブスク版のみとなり、その金額が異様に高かったとしても、クリスタ漬けになった漫画家はとりあえず従わざるを得ないというのが現状だろう。

実は最近それと似たようなことを体験している。

私は文章仕事をWordで行っており、マイクロソフトの月額1,490円のサブスクを使用していたのだが、それが急に有無をも言わさず月額2,130円に値上げされたのだ。

年払いにすると割引になるのだが、それでも年間6,000円以上の値上げとなる。

テキストぐらいなら別のツールを使えばいいのかもしれないが、老になるほど新しいものに移行するのがダルいため、諾々と値上げを受け入れているという状態だ。

だがさっき調べたところ、この値上げはAI導入の為であり、値上げ前に「今更てめえがChatGTPに勝てんのかプラン」こと、従来の機能ブランを選んでおけば値上げを免れたらしい。

しかし、それももう時すでに遅しのようだ、やはり情弱は損をする、Wordでいくら文章を書いても金がないはずだ。

仕事に必須のツールが完全サブスクのAdobeは「動く」のか

  • 画像編集ソフトの勢力図の異変に、ただクリスタ民は慈悲を願う…

    画像編集ソフトの勢力図の異変に、ただクリスタ民は慈悲を願う…

だがその嘆きも「Adobe」ユーザーからしてみれば、片腹痛い話なのかもしれない。

漫画家がクリスタ漬けになっているのと同じように、デザイン界はPhotoshopやIllustratorなどのAdobe漬けだと思われる。

さらにAdobeは買い切りをやめてサブスクのみであり、ソフトを1つしか使わないのであれば月額1,480円のプランもあるが、全てのソフトが使用できるプランになると月額9,080円にもなるという。

高すぎるような気がするが、何せ業界がAdobe一強なため、諾々とサブスク代を納めるしかできず、いつしか「Adobe税」という言葉すら生まれた。

だがここにきて「Canva」に買収された画像編集ソフト「Affinity」が写真編集からベクターデザイン、DTPソフトまでを無料で提供すると発表したそうだ。

あまりにも極端すぎる奴が出てきて喜びよりも先に「罠」という文字が浮かんでくる。

無料に慣れたころに有料化し「いつまでも無料と思われては困る」という当たり前のことを言いだしそうな気がしてならない。

正直、仕事だと取引先との兼ね合いがあるため、一人だけ謎のソフトを使うことはできないし、使い慣れたソフトを捨てて新しいものに移行する方が高コストな場合もある。

ただ選択肢が増えることと、競合が現れることにより、Adobeが値段を見直すなどの変化は期待されている。

クリスタ勢がやられたくないことを全部やられているAdobe勢を前にすると、クリスタの料金設定は良心的と言わざるを得ない。

しかし今はまだ「漬け」ている最中なのかもしれない、数年後我々が「クリスタ税」を取りたてられていないことを祈る。