日立製作所笠戸事業所が、外国人技能実習制度を利用していたフィリピン人実習生20名を「とりあえず解雇」することにしたそうだ。

「解雇」とはそんなビール感覚のものだっただろうか。ちなみに、この「とりあえず解雇」は日立製作所の会長の発言である。

なぜ「とりあえず解雇」をすることになったかというと、グランドメニューをゆっくり見るためではない。実習生のビザが「働いてはダメなやつ」に変更され、このまま雇用すると違法になってしまうため、「とりあえず解雇」することにしたそうだ。このビザがワーキングビザになればすぐ復職させるという。

外国人技能実習制度の「世紀末」な状況

復職させるのは良いが、その前に何故ビザが変更になったか、である。

まず「外国人技能実習制度」というのは、Wikipediaによると『「技能実習」あるいは「研修」の在留資格で日本に在留する外国人が、報酬を伴う技能実習あるいは研修を行う制度』だ。目的は、発展途上地域が発展するための人材の育成、そして、少子高齢化で労働力不足の日本が人材を得るためでもある。

実習生は賃金をもらいながら技能を習得でき、日本企業は労働力が得られる。一見ウィンウィンな制度に見えるが、その実情は世紀末級に荒れている。今回の日立の問題ですら、雑魚キャラがジジイから種モミを奪ったぐらいの「氷山の一角」であり、もっとすごいサウザー級、ラオウ級の問題がこの制度により起こっているという。

この外国人技能実習制度で、実習生は最長3年日本に滞在することができる。しかし、今回「とりあえず解雇」される実習生はまだ1年程度しか働いていない。何故引き続き雇用ができなくなったかというと、国の監督機関「外国人技能実習機構」から、2年目以降の実習計画の認定を受けられなかったためだという。

認定を受けられないということは「技能実習」ビザではなくなるため、雇うと違法になる。よって「とりあえず解雇」となったわけだ。何故認定が受けられなかったかというと「技術習得」が名目なのに、目的の技能を学べない作業をさせている疑いがあったからだ。

つまり「それ初日から出来てたやろ」というような単純作業や、「汚い、くさい、カメムシいない?」というような、日本人がやりたがらない3K作業をさせていたかもしれないということである。ついでに、キツくて危険な仕事もさせていた可能性もある。

日立の真意はわからないが、このように「技能実習」にかこつけて、まったく技能の身につかない作業を低賃金で長時間やってくれる人材を確保しようとする企業がある、というのが、「外国人技能実習制度」の抱える大きな問題だ。ウィキペディアにも「実質的な奴隷労働制度であると批判されている」などと激しいことが書かれている。

最低賃金を割っていた、などまだカワイイ方で、賃金の未払い、異議申し立てをすれば強制帰国、さらには強制帰国を脅し文句に性暴力を働くなど、まさに世紀末の様相である。実習生となった外国人の多くは「日本は安全な国」と思って働きに来ただろうが、全然安全じゃない。少なくとも外国人労働者にとってはモヒカンジープの国だ。

中には、未払い賃金の支払いを免れるため、中国人労働者をだまして中国につれて行き、そのまま中国に置き去りにしたという事例もあるそうだ。ここまで来ると、諸外国から真面目で大人しいと思われている日本人も「なかなかやるじゃないか」という気になって来る。

しかしこの外国人技能実習制度問題は、メロス激怒必至の日本側の邪智暴虐だけが原因ではない。実習に来る外国人側も、最初から技能習得ではなく「出稼ぎ」が目的で外国人技能実習制度を利用している側面があるという。

そういう外国人にとって仕事内容は何でも良く、むしろ定められた仕事を決められた時間しか出来ないとなると、「思ったより稼げない」ということになってしまう。そのため、自ら稼げる目的外作業や、低賃金でいいから時間労働をさせて欲しいという外国人もいるそうである。

日本企業側が真面目に制度内容を守ろうとすると、逆に外国人側が「おい話と違うぞ」となってしまう、韓流ドラマ級のすれ違いが起きているケースもあるのだ。

このように、外国人技能実習制度が本当に「発展途上地域のための人材育成」に使われているかというと、疑問なところがあるのが現状だ。

コンビニの20時閉店、受け入れられる?

ちなみに、都会に行くとコンビニのレジが外国人であることも珍しくない(我が地元だと腰を抜かすレベルの「事件」)。

コンビニは今のところ「技能実習」には当たらないため、「留学」という名目で働いている人が多いという。これに関し、コンビニ業界からは「コンビニも技能が身につくから外国人技能実習制度に入れてほしい」という声が出ている。

それに対しては「人手が足りてへんだけやろ」と総ツッコミが入っているようだが、このままいくと人手不足でコンビニが20時に閉まるようになってしまうかもしれない。果たしてコンビニが20時に閉まる生活に耐えられるだろうか。思うに、そうなったら文句を言う人は多いだろう。

今まで通り、小腹が空いたからと深夜二時に菓子パンを買いに行ける生活を維持するためには、我々は外国人労働力のことを真剣を考えなければいけない。