この連載は「世の中で起こったホットなニュースを、一介のライター如きが安全地帯から炎上しないように微妙に言葉を選んで一刀両断!!」というよくあるコラムである。

書いている奴にとって「ホット」と感じられるのはソシャゲの更新情報以外ないので、テーマは毎回編集部が選んでいる。

しかし、今年に入って大きな話題と言えば、引き続きコロナウイルス関連、もしくは米国議事堂襲撃など、代わり映えがしないか、2021年に入ってから3回ぐらいしか外に出てない無職には荷が重すぎるやつしかない。

そこで編集部が何とか探し出してきたトピックが「ゆうちょ銀行のデビットカード・プリペイドカードの「mijica」のサービス終了発表」である。

どうやら「ホット」は諦めて、冷たい寄りのヌルいまで妥協することにしたようだ。しかもテーマに「半分ぐらいはコロナの話をして良い」と言い添えられてある。編集部的にも、これでノルマの2,000字ひっぱるのはキツいとわかっているようだ。

コロナ禍でも揺らがない「往年の名作」のビッグニュース

そんなわけで、お言葉に甘えて、半分ぐらいは名作漫画「SLAM DUNK(スラムダンク)」のアニメ映画化の話でもしようかと思う。

なぜなら、さっき「コロナの話題ばかり」と言ってはいるが、我がツイッターのTLでは、緊急事態宣言が出されたらしいときですら、スラダンの映画化の話をしている奴しかいなかったのだ。

「中高年のオタクしかフォローしていない」ことが一目瞭然だし、いつもであれば、ここで「…といっても、若人はカーネルおじさんとバスケをしたいロンゲが出てくる漫画、という認識しかないとは思いますが…」という自虐がはじまるところだが、命の母(notホワイト)を飲んで落ち着いて考えてほしい。

日本は超少子高齢化国なのである。つまり数だけで言えば若人の方が勢力は弱く、それは今後さらに加速する。

「若人は知らない」ということは、そこまで卑下するようなことではない、何故なら「知っている俺たち」の方が数は多いからだ。

つまり俺はこれからも「ちい、おぼえた」を使っていくという決意表明である。

このようにスラムダンクが中年以上の思い出作品であることは否めないが、今の若い人にも見てもらいたい作品だ。

特に、君たちの中ではバスケがしたくてしたくて震えているだけのロンゲでしかない三井は、一度挫折し、不良になったがまたバスケに戻ってきたというキャラである。

日本は一度ドロップアウトした人間に厳しい。だからこそ、三井が再度立ち上がり復活する様には希望が持てる。また、復活をとげても、一度挫折したことへのコンプレックスや無駄にした年月への後悔は消えていないという点もリアルだ。

小中学生の時読んでも面白かったが、大人になるとまた深く読めて、そして年を取るとみんな「小暮くん」のことを3割増しで好きになるという特徴もある作品なのだ。

不正利用への自衛、「mijicaかどうか」よりも気を付けたいこと

  • mijicaのキャラは親しみやすい見た目でしたが……

    mijicaのキャラは親しみやすい見た目でしたが……

すでに字数的に半分以上過ぎてしまっているし、確実にこのまま2,000字は行くので「mijica」に話を戻す。

「mijica」は前述どおり、ゆうちょ銀行のデビットカード・プリペイドカードなのだが、昨年に不正利用が相次いだことを受けてか、サービスを終了し、2022年春に新しいデビットカードに刷新することが発表された。

去年起こったこの手の事件といえば、ドコモロ座という夏の星座にaikoがぶら下がる前に不正利用されたことが記憶に新しいと思う。

しかし、あれはドコモ口座のシステムの弱いところが悪用されたのであって、「ドコモ口座を使っているかどうか」は関係なかった。第三者が他人のメアドを使ってドコモ口座を作れる状態だったのだ。

その後、連鎖的にさまざまな決済サービスの不正利用が発覚したが、特に管理がずさんだったと叩かれたのがゆうちょ銀行である。

mijicaの不正利用は、まず不正利用者が被害者のmijicaアカウントで会員サイトに不正にログイン。mijica間の送金システムを利用し、不正利用者のmijicaアカウント宛に入金するというシンプルなものであった。

本人確認用の番号を何度失敗しても無制限に入力できたため、総当たりで突破された可能性もあるという。発覚を遅らせるため、利用通知が届かないように通知の送付先を変えるなどの操作もあったようだ。

これは、mijicaのセキュリティが脆弱だったということである。実際、ゆうちょ銀行は、伝説のセブンペイと同様、「二段階認証」を導入していなかった。

mijicaはもともと地域限定で始まったサービスであり、全国に広がった今もそこまで知名度の高いものではなかったが、去年の騒動で余計ユーザーが離れ、続行不可能になったのか、この度のサ終となった。

日本は他国よりも遅れているキャッシュレス化を急速に進めており、サービス乱立のゴタゴタは大分落ち着いたものの、これからも新しい決済サービスは登場してくるだろう。

新しいサービスには、開始時の混乱を狙った不正利用者の登場がもはやセットになりつつある。

こういったシステムの穴をねらう輩というのは、火事場泥棒にしておくには惜しいほど頭が良い人間も多いため、ユーザーに気をつけろと言っても道端の「落石注意」ぐらい気をつけようがない。

しかし、サービスを選ぶ時点で「二段階認証」を使っているかどうかぐらいは確認した方が良い。専門家からすると、より正確には「多要素認証」というらしいが、どちらにしろ、それを使っているなら、サービスの公式サイトでこれでもかとアピるはずだし、不安なら「サービス名 二段階認証」でググるといい。

「二段階認証」の意味自体はそんなにわからなくてもいい。セブンペイの社長だって知らなかったんだから恥じることはない。