前回前々回で説明した通り、Google Workspace版Gmailのチャット機能は無料版のハングアウト機能で進化しており、機能も充実しています。しかし、このチャット機能が真に本領を発揮するのは「チャットルーム」を使ってこそと言えるでしょう。

チャットルームとは、単に複数のメンバーとチャットをするだけでなく、コミュニケーションしながらさまざまな作業を同時進行できるワークスペースというべきもの。複数でチャットをする方法としては、複数人で通常のチャットをする「グループメッセージ」も存在するのですが、チャットルームはグループメッセージと決定的に異なる部分がいくつかあります。

その中でも最大の違いと言えるのは、会話のスレッド化ができることではないでしょうか。チャットルームでは1つのチャットルームの中に複数のスレッドを作成することができるため、例えば同じ部署内で「A社」と「B社」向けのプロジェクトを同時に進行しているような場合、「A社」と「B社」の2つのスレッドを作成し、それぞれのプロジェクトに合わせた内容をチャットで話し合うことができるのです。

スレッドを作成できないグループメッセージで同じことをやろうとすると、チャットのやり取りが非常に複雑になり、途中でどちらのプロジェクトの話をしていたのか分からなくなってしまうなどトラブル発生の元にもなりかねません。そうしたことから同じメンバーで複数の作業をこなすようなケースでは、スレッド機能が非常に役立つ訳です。

では、実際にチャットルームを作成してスレッドによる会話を始めるまでの手順を説明しましょう。まずは、Gmailの左ペインにある「チャットルーム」の「+」をクリックし、「チャットルームを作成」を選びます。

  • Gmailテクニック 第93回

    チャットルームを作成するには、左ペインの「チャットルーム」から「+」ボタン(1)をクリックし、メニューから「チャットルームを作成」(2)を選ぶ

ダイアログが現れたらチャットルーム名と参加するユーザーを入力して登録し、最後に「スレッド返信を使用する」にチェックを入れてから「作成」ボタンをクリックして下さい。チェックを入れないとスレッド機能が利用できないので注意しましょう。

  • Gmailテクニック 第93回

    チャットルーム名(1)と参加するユーザー(2)を入力した後、「スレッド返信を使用する」(3)にチェックを付けて「作成」(4)をクリック

すると、チャットルームが現れるのでスレッドを作成しましょう。チャットルームの最下部に「(チャットルーム名)の新しいスレッド」というボタンがあるので、それをクリックします。

  • Gmailテクニック 第93回

    チャットルームの一番下にスレッド作成ボタンが現れるので、これをクリックする

続いてメッセージを入力し、送信ボタンを押します。

  • Gmailテクニック 第93回

    後は通常のチャットと同様、メッセージを入力(1)した後に送信ボタン(2)を押せばスレッドが作成される

するとスレッドが作成されますので、後は参加している他のユーザーと、通常のチャットと同じ形でやり取りしていくだけです。もちろん他のスレッドを追加することも可能で、その時は先と同じように画面下のスレッド作成ボタンを作成し、チャットを始めればOK。ちなみにスレッドは、チャットルームを作成した人だけでなく、同じチャットルームの参加者であれば誰でも作成可能です。

  • Gmailテクニック 第93回

    新しいスレッドを追加するには画面下部のボタンを押せばよい。スレッドの追加はチャットルームの参加者すべてが可能だ

なお、スレッドには「フォロー」という仕組みが用意されています。スレッドをフォローすると、そのスレッドに新着メッセージがあったら通知をしてくれたり、右ペインのチャットルームの横に未読メッセージ数を表示してくれたりするなどして最新のやり取りを把握しやすくなります。

自分でスレッドを作成した場合は自動的にそのスレッドフォローされますが、それ以外のユーザーは手動でフォローする必要があります。フォローしたいスレッドにマウスカーソルを合わせると右上に「フォロー」ボタンが現れるので、これをクリックしてフォローして下さい。

  • Gmailテクニック 第93回

    新しいスレッドを追加するには画面下部のボタンを押せばよい。スレッドの追加はチャットルームの参加者すべてが可能だ

自分がそのスレッドのやり取りに関与する必要がなくなるなどして、フォローの必要がなくなった場合は、同じようにスレッド右上にある「フォロー中」のボタンをクリックすることでフォローを外すことができます。

もちろんチャットルーム内のスレッドも前回紹介したチャットの検索対象となることから、検索機能とスレッドをうまく組み合わせて活用すればよりビジネスコミュニケーションの有効活用ができるのではないでしょうか。