ゲーム実況やeスポーツの盛り上がりとともに、耳にすることが増えた「ゲーミングPC」という言葉。でも「なんとなくすごそう」とは思っていても、実はどんなPCかは知らない…そんな人も多いのでは?
この「今さら聞けないゲーミングPC」連載では、「今さら人に聞けないけど気になってる」「興味はあるけど、何から調べてみたらいいかわからない」という方に向けて、漫画でゲーミングPCの基本を丁寧に解説していきます。専門用語はなるべくやさしく、知識ゼロでもOK! PCゲームの世界へ、第一歩を踏み出してみませんか?
今回は、人気漫画家兼イラストレーターの「菅原県さん」に漫画化してもらいました!
ゲーミングPCには欠かせないGPU、そのGPUには「GeForce」と「Radeon」の2大巨頭があることはわかっていただけたと思います。ただ、GeForceもRadeonも種類がたくさんあるので、どれを選べば良いのか迷ってしまうことも。実は、GPUの型番(モデル名)には法則性があり、そこからある程度の性能の大小を判断することができるのです。
Radeonの法則
前回はGeForceの法則を解説しましたが、今回はRadeon編です。今回もいくつかのモデルを例に、解説しましょう。
- Radeon RX 9070 XT
- Radeon RX 9070
- Radeon RX 9060 XT
- Radeon RX 7900 XTX
- Radeon RX 7900 XT
- Radeon RX 7800 XT
- Radeon RX 7600 XT
- Radeon RX 6900 XT
- Radeon RX 6800 XT
- Radeon RX 6700 XT
- Radeon RX 6700
RadeonでもGeForceと同じく、まず注目するのは、数字の4桁目、千の位のところ。ここはGPUの「世代」を表しており、9000番台が現行最新世代のRadeonです。「世代」が変わると、半導体の性能や使える機能が刷新されるため、もちろん数字が大きいほど高性能ということになります。ところで、もう9000番台まで来ていますので、次世代は4桁を使い切って"1万"なのか? というのがちょっと注目です。
続いてちょっとややこしく、世代によって見る桁が違うのですが、2桁目か3桁目、10の位か100の位のところは、数字が大きいほど世代内での性能が高いことを表しています。同世代内であれば機能面で大きく変わらないものの、数字が大きいほど単純に処理能力が大きいことを表しています。9000番台からの10の位と、7000番台までの100の位の意味合いは同じなので、6700と9070は、どちらも同世代内ではミドルクラスやパフォーマンスクラスのGPUということを表していることになります。
実はこの数字、目安として一番わかりやすいのは、ライバルであるGeForceと見比べてみた時です。以下のように、世代をそろえると、世代内性能の数字は両社でだいたい同じクラスを狙ったものとなっています。
- Radeon RX 9070 XT → GeForce RTX 4070
- Radeon RX 9060 XT → GeForce RTX 4060
- Radeon RX 6800 XT → GeForce RTX 2080
- Radeon RX 6700 XT → GeForce RTX 2070
これを見て、「あれ? GeForce RTX 4080と戦うRadeon RX 9080とかは無いの?」と思われるかもしれません。現時点では、Radeon RXの9000番台は9070までしか登場していません。
GeForceの性能の上がり方が規格外すぎて、最新世代ではついにライバルRadeonをトップ性能で引き離した結果にも見えてしまうかもしれません。GeForceのハイエンド相当のモデルがRadeonのラインナップに存在しないというのは、Radeonファンにはやや寂しいかもしれません。しかしながら、9000番台のRadeon、エントリーからアッパーミドルクラスのゲーム用GPUとしてはコスパが非常に優れているということで、特にRadeon RX 9070 XTは世界規模で大ヒット商品になっていたりもします。
なお、モデル名の数字のあとに、「XTX」や「XT」などの文字が追加されていることがあります。もうお気づきかと思いますが、基本的には、これらの文字が付いていると、機能は変わらないものの処理性能が高いことを表します。GeForceで、性能強化版に「Ti」などの文字を追加していたことと同様のものだとお考えください。ただRadeonの場合、数字だけの通常版が出た後に強化版のXT版やXTX版が出ることもあれば、XTやXTXが先に出て、通常版は結局出なかったというパターンもよくあります。「XTXまで待つか」などと構えていると、肩透かしをくうこともあったりします。
ちなみにRadeonのモデル名ですが、「Rdeon RX」になる以前に、かなり昔ではありますが、「Radeon HD」というシリーズ名で製品をラインナップしていたことがあります。その当時、Radeon HD 7000とかRadeon HD 8000とか、かなり大きな数字のモデルまでシリーズが進んでいました。
なんでこんな話をするのかと言うと、例えば中古PCを探している際など、スペックのところで「Radeon HD 7870搭載」などの記載を見つけることがあるかもしれません。数字が大きいから性能高め? と思っても、実際は世代がかなり古く、Radeon RX 7800などとは比べようもないくらい低い性能であったりします。RXとHDでは時代が違いすぎるため滅多に無いとは思いますが、一応、「こんなこともあるんだ」と気をつけておきましょう。
さて、前回のGeForce編とあわせて、ここまでで、モデル名の法則から、そのGPUの性能がある程度は直感的にわかるようになれたと思います。これらはおおよその目安になりますが、では、もっと詳しく性能を確認したい場合や、実際に遊びたいゲームが先にあって、そのためにGPUを選ぶであるとか、自分の手持ちのGPUでどのゲームが遊べるのかを調べたい場合にはどうすればよいのでしょうか。実は、これらを詳しく調べることができる定番の方法があります。キーワードは「ベンチマーク」、そして「推奨スペック」と「推奨PC」です。次回は、これらの具体的な手法を解説したいと思います。
