2021年5月3日、4日の2日間、埼玉県、さいたま市が後援するeスポーツイベント「eSports SAITAMA FESTA 2021(eスポSAI)」がオンラインにて開催されました。

トークセッションとeスポーツ大会で構成されたeスポSAI

3日は「埼玉×eスポーツ」をテーマに、オンラインディスカッションを開催。第1部では、KADOKAWAの藤岡迅彦氏、Cygamesの川上尚樹氏、ジェイコムの国分多喜夫氏が登壇します。

KADOKAWAは東所沢にeスポーツイベントの会場にも使われるところざわサクラタウンを展開し、Cygamesは『Shadowverse World Grand Prix 2019』の開催地に大宮ソニックシティホールを使用。ジェイコムは埼玉のイベントやeスポーツイベントなどの番組放送、運営をするなど、いずれも埼玉に大きく関わっています。

埼玉でeスポーツする意味や利点、今後のeスポーツ、ライブエンターテインメントの行く末などが語られました。

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    埼玉でeスポーツイベントの運営や放送を行っている代表的な企業が集まり、埼玉とeスポーツについてディスカッション

第2部は、川口出身タレントの椿彩奈さん、川口在住で全国都道府県対抗eスポーツ選手権では埼玉代表として出場した『ぷよぷよeスポーツ』のlive選手、『eFootball ウイニングイレブン』のプロ選手で唯一の埼玉在住者として活躍するまーさん選手、そして愛知県出身で『モンスターストライク』のプロチームアラブルズのリーダーを務めるKEVIN選手が登壇。eスポーツ選手の地位とキャリアや、地方×eスポーツでできることなどをテーマにさまざまな意見が交わされました。

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    埼玉出身者、在住者のeスポーツ関係者に、KEVIN選手を加えた第2部のトークセッション

3日には『ぷよぷよeスポーツ』の大会「SAITAMA CUP」も開催。オンラインで全国から誰でも参加できるトーナメントで、優勝者とプロのlive選手が対戦するエキシビションマッチも行われました。

live選手は、大会オープニングにゲストで登場した大宮アルディージャVENTUSの望月ありさ選手と仲田歩夢選手とも対戦します。最初の15秒操作禁止、回転禁止、高速落下禁止という鬼ハンデルールを採用。仲田選手は練習してきた階段積みで対応するも、live選手はハンデをものともしない4連鎖で勝利です。

大会は、本戦決勝トーナメントベスト16に残った唯一のプロ選手であるSAKI選手が優勝。プロの実力を遺憾なく発揮していました。

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    『ぷよぷよeスポーツ』のSAITAMA CUPのオープニングに大宮アルディージャVENTUSの望月選手と仲田選手がゲストで出演。live選手との対戦もありました

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    SAITAMA CUPはSAKI選手が優勝

2日目は『鉄拳7』を使用したトーナメント「SONIC CUP」が行われました。3人1チームの団体勝ち抜き戦です。参加チームは8チーム。その多くがプロライセンス保持者の実力者ぞろいです。

決勝戦は破壊王選手、加齢選手、用心BΩY選手のチーム「南の帝王」と、チクリン選手、弦選手、NOROMA選手のチーム「天鳳」の対戦。「南の帝王」は大阪在住の選手による編成で、「天鳳」は九州在住の選手による編成です。

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    実況はハメコ。氏、解説はゆうゆう選手が担当

「南の帝王」は八面六臂の活躍を見せた加齢選手が先鋒に登場し、チクリン選手を破ります。しかし、続く「天鳳」のエース弦選手が中堅で登場し、加齢選手を撃破。「南の帝王」はリーダー破壊王選手登場するも敗退してしまいます。破壊王選手は初めての試合が決勝戦で弦選手という厳しい条件下での対戦でした。

しかし、そこから「南の帝王」大将で登場した用心BΩY選手が、弦選手、NOROMA選手を破り、見事逆転勝利を手にします。用心BΩY選手は使用キャラクター、マードックの得意技タックルからの3択すべて右打ちを選びながら、後半すべて通す信念が光っていました。

今回は新キャラクターであるリディアが登場しての大会でしたが、早速使用したプレイヤーも。ほかにも選手の代名詞と呼ばれるキャラクターが使われており、バラエティ豊かな大会となりました。

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    加齢選手のキレッキレの巌流の活躍により危なげなく、決勝戦へコマを進めた「南の帝王」

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    世界最強の呼び声高い弦選手は新キャラのリディアを使用

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    用心BΩY選手が、弦選手、NOROMA選手を破り優勝を決めました

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    各選手とはZoomでつながっており、オンラインながら選手の話を聞けました

運営として参加したプロゆうゆう選手にインタビュー

今回のイベントからもわかるように、埼玉県はeスポーツにかなり力を入れています。2019年3月には、大宮ソニックシティにて、埼玉ゲームシティを開催。『Shadowverse』の世界大会である「Shadowverse World Grand Prix 2019」は、同じくソニックシティホールが使用されました。

ソニックシティでは、ほかにも『ウイニングイレブン』のまーさんユウタムCUPを開催。「まるまるひがしにほん 東日本連携センター」では『鉄拳7』の破壊王ゆうゆうCUPが開催され、川口の「SKIPシティ映像ミュージアム」では「遊ぶゲーム展」ステージ3まで開催されています。

元々、アニメや映画などのメディアを観光資源としてみている埼玉県だけに、eスポーツやゲームを使用した地方創生が行われるのは必然かもしれません。

そこで今回、「SONIC CUP」の解説者として、イベントに運営から関わった埼玉在住のゆうゆう選手に、埼玉県とeスポーツについて話を聞きました。

――早速ですが、ゆうゆう選手についてお聞かせください。

ゆうゆう選手(以下、ゆうゆう):UYUというチームに所属しているプロゲーマーです。大会に出場したり、動画配信をしたり、選手やストリーマーとして活動しています。

基本的に『鉄拳7』をプレイしていますが、最近は多くの視聴者に知っていただくために『ストリートファイターV チャンピオンエディション(SFV)』もプレイし始めました。

Twitchの「ゆうゆうチャンネル」で配信しています。ちなみに使用キャラクターは、『鉄拳7』がザフィーナとシャオユウで、『SFV』がユリアンです。

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    UYUに所属するゆうゆう選手

――ずいぶん振り幅があるキャラクター選択ですね。今回の「SONIC CUP」では、選手ではなく、解説で参加していましたが、運営として関わっていたのでしょうか。

ゆうゆう:「SONIC CUP」は決勝トーナメントの8チーム中7チームは招待チームですが、最後の1チームは予選からの勝ち上がり。私はその予選の運営を担当しました。

あとはTwitterの中の人ですね。一応、企画段階からも参加させていただきました。これまでステイホームカップ、ゆうゆうカップ、ゆうゆうクリスマスカップと3回関わらせていただいたので、今回で4回目です。

――企画段階では、どんなことをされたのでしょうか。

ゆうゆう:3on3のチーム戦にしたいと言い出したのは私ですね。団体戦が大好きなので、今回はわがままを言って団体戦にしてもらいました。

――選手として出場しなかったはどうしてでしょうか。

ゆうゆう:選手と運営の両方をやってしまうと、どこかでどっちつかずになってしまう気がしたんです。運営に関わるのであればそれに専念し、選手として出るのであれば運営には関わらないほうがいいなと。あとは、将来のことを考えて、もっと深く運営のことについて勉強したかったんです。なので、今回は選手としての活動はお休みしました。

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    大会では解説として活躍したほか、運営としても関わっていました

――埼玉県やさいたま市はeスポーツやゲームに力を入れているようですが、選手や運営からみて、どう感じますでしょうか。

ゆうゆう:そうですね。破壊王ゆうゆう杯とか、埼玉でさまざまなイベントに関わらせていただきました。埼玉県在住なので、地元がそういう動きをみせているのは、すごくうれしいですね。

――ゆうゆう選手からの要望や、今後やってみたいことはありますか。

ゆうゆう:今はコロナ禍のためオンラインがメインとなってしまうのでまだ先の話ですが、オフライン大会での大会演出はもっと楽しいものにしていきたいです。

会場に着いた瞬間から音楽や映像が流れるなど、アトラクションのようにワクワクするものにしたいですね。それでいて、大会ではゲームに集中できるように配慮もしたいです。

埼玉では、ソニックシティホールでeスポーツイベントも開催していますし、そういったすごい会場でイベントを開催してみたいです。大宮は利便性も良いですし、eスポーツ大会を開くには良い場所だと思います。

――今回の「SONIC CUP」では解説者としての役割もありましたが、そちらの手応えはいかがでしょうか。

ゆうゆう:とにかく初心者にも分かってもらえるような解説を心がけていました。ちょっとプレイしたことがある人でも、すべてのキャラクターのすべての技名を知っているわけではないですし、初心者ならなおさらです。

なので、試合と試合のインターバルで振り返りの解説をしたときは、身振り手振りのジェスチャーで技を説明しました。ああ、そんな感じの技出していたよねって思っていただければ、いいかなと。

――今後はどのような活動を想定していますか?

ゆうゆう:今回は運営として参加させていただきましたが、多くの人が私に求めているものは選手としての活動だと思います。なので、選手として活躍できるようにがんばっていきます。

それと同時に解説や運営も続けていきたいと思っています。現状はできないことが多いですが、その中でもできることを探してやっていきたいと思います。オンライン大会や動画配信も、もっとやっていきたいですね。

――ありがとうございました。

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    大宮の街並みを背景に

埼玉はeスポーツやゲームをバックアップする体制ができつつあり、ロケーションも悪くありません。在住しているeスポーツプレイヤーも多く、地元企業や地元スポーツチームとのコラボレーションなども始まっています。

eスポSAIの公式サイトには「アニ玉祭、国際映画祭に続く埼玉のイベントとしての成長を目指す」とあるので、今後の行く末に期待したいところです。