2022年12月25日にオフラインにて、『ストリートファイターV チャンピオンエディション(ストV)』のeスポーツ大会「CAPCOM Pro Tour 2022 ワールドウォリアー 日本大会(CPTWW)」の決勝大会が開催されました。

  • 決勝大会は無観客オフラインで開催されました

「CAPCOM Pro Tour(CPT)」は、1年を通じて世界各地で開催される大会。地域ごとに実施されるオンラインプレミアのほかに、オフラインプレミア、そして新たな大会群「ワールドウォリアー」が行われます。それぞれの大会の優勝者には2023年2月に北米ロスアンゼルスのハリウッドで行われる世界大会「カプコンカップ」への出場権が与えられます。

オンラインプレミアとCPTWWは、地域ごとの開催のため、日本人選手の「カプコンカップ」出場枠が2つ用意されていることになります。

オフラインプレミアは、ラスベガスで開催された格闘ゲームの祭典「EVO 2022」で行われました。世界各国から参加者が集まる大会だったので、当然日本人以外の選手が出場権を獲得する可能性がありましたが、日本のカワノ選手が優勝したことで、日本人の出場選手が1人増えた形です。

さらに、カプコンカップには最初のプログラムとして「Last Chance Qualifier」があります。そこで優勝すれば本戦に進出でるので、日本人選手の出場は最大で4人です。

CPTWWは、オンラインで開催されるトーナメントで、成績に応じたポイントが付与されます。全5戦のトーナメントで稼いだポイントの総数の上位8名が今回のCPTWW決勝大会へ進出しました。

第5回大会終了時の上位8名のポイントは以下の通り。

ぷげら選手:136pt
ガチくん選手:121pt
ときど選手:120pt
ひぐち選手:116pt
Shuto選手:102pt
竹内ジョン選手:93pt
藤村選手:81pt
ヤマグチ選手:76pt

さすがにワンデイトーナメントとは違い、安定した結果を残さないといけないので、決勝大会進出者はいずれも劣らず強豪ぞろいです。年齢層でみるとベテランが2人、中堅が2人、若手が4人。若手の台頭がみられる結果となりました。

トーナメント枠の選択権はポイントの上位順にありますが、順位の優位性はそこだけ。CPTWW決勝大会に出場するファイナリストは全員ウイナーズサイドからの参戦となるので、ほぼ同条件での対戦です。

ポイント1位のぷげら選手は、選択順5番目を指定します。その結果、4番目までに2つの組み合わせが決まる状態になり、ぷげら選手は空き枠に入ることになりました。

すると、次の選択順のときど選手に狙い撃ちされてしまいます。しかも、ときど選手が狙い通りに勝利。そのほか、藤村選手、Shuto選手、ガチくん選手の3人がウイナーズで初戦を突破しました。

  • ときど選手に指名され、初戦で対戦することとなったぷげら選手

第1回大会で優勝、第2回大会で準優勝と、序盤のCPTWWを牽引してきた竹内ジョン選手は、2連敗で敗退です。第3~5回はすべて1pt、SFリーグではあと一歩で勝ちきれなかったことから、好調ながら勝利に結びつかない状態が続いていましたが、今回の決勝大会でもその悪い傾向が出てしまいました。この試練を乗り越えてこそ、次のステージが見えてくると思いますので、今後の竹内ジョン選手に期待したいところです。

  • ある意味、CPTWWを牽引した立役者である竹内ジョン選手

ウイナーズ2回戦、初戦でぷげら選手をほぼ完封し、絶好調にみえたときど選手ですが、藤村選手とのルークミラーマッチで敗退します。お互いに譲らぬ展開でほんのわずかの差で藤村選手が勝利しました。

また、SFリーグ後半から八面六臂の活躍をみせるShuto選手が、CPTWWでも猛威を振るいます。ガチくん選手を3-0のストレートで下し、ウイナーズファイナルに進出しました。しかし、ウイナーズファイナルで藤村選手の前に倒れます。

ルーザーズサイドでは、ぷげら選手に敗れたガチくん選手と、またもやルークミラーマッチでヤマグチ選手に敗れたときど選手が、トーナメントから去ります。ヤマグチ選手とぷげら選手の対戦では、ぷげら選手がルークを得意としていることから、ヤマグチ選手が隠し球としてケンを出しますが、あと一歩及ばず、ここで敗退しました。

  • バイソン対策でケンを用意してきたヤマグチ選手

ルーザーズファイナルは、ぷげら選手のバイソン対Shuto選手のユリアンの対決。今、乗りに乗っているShuto選手が相手のうえ、キャラクターも初戦でときど選手が使っていたユリアンです。そのため、ぷげら選手の不利がささやかれますが、接戦のすえ3-2でぷげら選手がグランドファイナルへの切符を手にしました。

  • ぷげら選手は、ときど選手に引き続き、Shuto選手にもユリアンで苦しめられます

グランドファイナルは、藤村選手のルーク対ぷげら選手のバイソン。ルーク戦を得意としているぷげら選手とすべて3-1のスコアでウイナーズを駆け上がった好調の藤村選手の対決は、どちらに軍配があがるかわからない状態です。

しかし、ぷげら選手があっという間に3連勝でリセットを成功させると、グランドファイナルリセットでも3連勝を決め、優勝を決めました。

CPTWWの5戦でもっともポイントを稼いだ選手が、CPTWW決勝大会でも優勝したことから順当な結果となったと言えます。ぷげら選手はCPT 2022 日本大会でもグランドファイナルまで進出し、ももち選手に敗れていたので、まさに悲願の優勝、カプコンカップへの出場です。

  • グランドファイナルまで危なげなかった藤村選手ですが、バイソンに一度も土を付けられず、6ゲーム連取され敗北しました

  • 勝利した瞬間、感極まってしまうぷげら選手

コロナ禍以前、日本人選手は世界各国に飛び回り、カプコンカップへの出場権を目指して活動していました。その結果、出場選手の約半数が日本人選手でした。

現在はオンラインが中心となり、開催国の国籍を持った選手しか参加できない地域限定の大会が開催されるようになりました。

世界に『ストリートファイター』シリーズをeスポーツタイトルとして普及させるのであれば、以前のように日本人選手が出場枠を獲得するよりも、大会を開催した国や地域の選手が出場したほうが建設的だと言えます。

ただ、プレイ人口の多さ、選手レベルの高さから、もう少し日本人選手が出場できる枠は増やしてもいいのではないでしょうか。ファイジカルスポーツでも、ほかのeスポーツでも、前年に活躍し、好成績を残した国は出場枠が拡大するのですから、せめて5枠は欲しいところです。

  • 日本人選手3人目のカプコンカップ出場者になったぷげら選手

カプコンカップは2023年2月13日~20日の8日間に行われます。最後のひと枠をかけた当日予選、48名の出場選手がノックアウトトーナメントに出場する16名に絞るグループリーグ、北米、日本、ヨーロッパから各2チームが出場するストリートファイターリーグの世界大会、そしてカプコンカップのTOP16トーナメントが用意されており、8日間がまさに『ストリートファイターV』一色となるフェスです。TOP16は必見なので、今から有休申請をしておいて損はないですよ。