最初におことわりしておきますねー。今回の話題は「リトマス試験紙が飲める」という話じゃあありません。「リトマス試験紙みたいな飲み物がある」って話です。食べ物もあります。これは、使ってナンボの知識なので、会社でも家でも、なにかのネタに使ってくださいませ。

リトマス試験紙といえば、いえば? 理科の時間でお世話になりましたよね。おぼえてますか? はい、赤いのと青いのがあって、何かの液につけると、色が変わる。おお、記憶だけを頼りに書くと、ちょっとあやしいなあ。まあ、そんなもんですね。平均的な大人の理科の知識は、小学校4年どまりという話しもあるそうです。言ったのは私ですが。

はい、ちゃんと調べます。リトマスは、濾紙(ろし)などにしみこませ、水に溶けたガスが酸性かアルカリ性(塩基性)かを調べる染料です。地中海沿岸などに広く生息するリトマスゴケというコケから抽出されたのが元祖ですが、日本でも松の木などにへばりついているウメノキゴケなどからも抽出できます。

リトマス染料を濾紙にしみこませたものをリトマス試験紙とかリトマス紙といい、中性で赤のものと青のものが市販されています。これに、例えば炭酸水やレモン水など、酸性の溶液をたらすと赤になり、アンモニアなど塩基性(アルカリ性)のものをたらすと青になります。小学生のころに、青になったらアルカリ(歩こう)性とかいうだじゃれで覚えましたねぇ。赤はリンゴのすっぱい酸性の色だとか。

さてさて、リトマス試験紙をちょっとググってみると、楽天とかでも通販で売っていますし、東急ハンズや科学工作キット売っているところでも入手できるみたいですね。だいたい50枚入りで300円くらいが相場です。理科教材通販のナリカなどでは、50枚×6個で850円ですから、みんなで買うならこっちがおトクですねって、ふつう買わないですよね。酸性雨なんかを調べたければ、もっと細かくpHがわかるBTBのような指示薬を使うのがふつうですし、酸性かアルカリ性かが知るだけしか能がないリトマス試験紙は、やはり学校の勉強専用という感じです。

が、食べ物で同じことがやれるとなるとどうでしょう? ちょっとお茶を入れるついでに、いたずらっぽくやることもできます。とりあえず、子どもを「へぇ」といわせる威力はあります。

まずは、紫キャベツです。リトマス試験紙代用の代表選手ですね。最近はふつうのスーパーでもみかけるようになりました。ふつうのキャベツよりちょっと高めですが、まあ数百円以内で入手できます。

紫キャベツは、酸性の液体をふりかけると液体がピンク色に、アルカリ性だと緑になります。サラダの彩りとして使うのが吉というか、他のことはやめたほうが…ああ、ラーメンやヤキソバと一緒にしちゃったら、かんすいはアルカリ性だから…みんなやらかしてますね。検索して楽しんでみてください。

紫キャベツ以外にも、ナスやショウガなんかでも同じことがやれます。ショウガは、なんというかガリを作るとピンク色になるわけですが、あれ、リトマス試験紙みたいな反応だったんですねー。

さて、飲み物ではハーブティーの1つである、マローブルー(ブルーマロウ)やマローブラックで同じように遊べます。最近はスーパーでも入手できますが、ハーブティーを置いているようなお店だと確実です。自然なやりかたとして、マローブルーをいれると鮮やかな水色になるのですが、それにはちみつ、レモンといれると見事な色の変化が楽しめますー。ぜひ、お試しあれ。

なお、紫キャベツやマローブルーなどでこの色変化をみせるのは、アントシアニン。ブルーベリーに豊富に入っていて「目にいい」といわれる物質です。モニターを見るのにつかれたら、これがいいといいながらやるってのも手ですな。

リトマス試験紙の色の変化 (出所:かがくナビ Webサイト)

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。