Headwolf社から軽量タブレットの新製品「Titan 1」が発売された。
Android 15搭載、アスペクト比16:10の8.8インチディスプレイを持つモデルだ。メーカーから実機を借用し、しばらく使ってみたインプレッションを紹介しよう。
モバイル通信とGPS機能に対応したAndroidタブレット
Headwolfは2016年に中国・シンセンで創業したタブレットベンダーだ。
ブランドコンセプトとして社名に含まれる「狼(wolf)」から連想できるように、探究心、挑戦、革新を理念として、高性能で低価格なユーザー体験の提供を目指しているそうだ。コストパフォーマンスの高い製品が得意なベンダーで、この製品も例外ではない。
搭載SoCはMediaTek Dimensity 8300で、12GB LPDDR5X、256GBのUFS 4.0ストレージをもつAndroid 15 タブレットだ。バッテリも7,200mAhと大容量ながら、重量は325gで本体の厚みも7.9ミリと日常的な利用にはうってつけだ。
何よりもモバイルデータ通信に対応しているのがうれしい。ただしさすがに5Gには非対応で、LTEまでの対応だ。しかもeSIMには非対応となっているが、2枚の物理SIMを装着できる。
昨今のタブレットは、iPad以外はほとんどがWi-Fiのみの対応なので、ここは高く評価したい点だ。たとえSIMを入れずにスマホのテザリングで使うのだとしても、モバイルデータ通信に対応しているほうがいい。
というのも、モバイルデータ通信に対応していれば、そのタブレットはほぼ確実にGPSを内蔵しているからだ。つまり、自分の位置情報を正確に把握できる。この製品も例外ではなく、ちゃんとしたGPSが使える。たとえばPokemon Goが遊べるかどうかはGPS機能の有無で決まる。GPSを持たないデバイスではGoogle Playからインストールすることもできない。
実際に使うかどうかは別として電話アプリもあって通話もできる。まさに大きなスマホだ。
生体認証については顔のみのサポートだ。その割り切り方が秀逸で、ものすごくシンプルでコスパと汎用性の高い製品に仕上がっている。究極の引き算で成立したタブレットだといえる。
絶妙なサイズ感でモバイル時のAI利用に最適
同社はこのデバイスをゲームのための製品と位置づけたいようだが、このサイズ感による圧倒的なモビリティや十分なパフォーマンスは、現在のカジュアルなモバイルでのAI利用にこそ向いているのではないかと思う。そのAIは6インチ超クラスのハイエンドスマホの画面サイズでも狭く感じるほどの饒舌さをもつからだ。
AIとまではいかずとも、たとえばGoogleレンズで知りたい対象を撮影して検索させたり、外国語で書かれた文書を撮影して翻訳させるといったことだけでも、画面は広い方が使いやすい。海外旅行に持参して、レストランのメニューを撮影して日本語で確認するといった用途での格段に高い使い勝手も重宝する。
こうした用途には大画面スマホといえども7インチ未満では小さすぎて、10インチ超のタブレットでは大きすぎるし重いゆえに向いていない。そういう意味で、頑張れば片手でつかめて、持ち運び時も気軽にカバンに入れられる8.8インチというのは、AIとの対話には絶妙なサイズであるといえる。
そして、さらにGPSが搭載されているということで、これからますます饒舌になるであろう地図アプリの使い勝手も格段に向上する。
Googleマップのライブビューなどはその典型だ。ナビゲーション中にカメラがとらえたリアルな映像に、進むべき方向を矢印などでオーバーラップ表示する機能などは、スマホではピンとこなかったが、このサイズになるときわめて実用的だと感じる。
それにカーナビとして使う場合にも重宝する。GPSを内蔵していないタブレットは、せっかくの大画面を宝の持ち腐れにしているということがよくわかる。
8.8インチで対話するAIコミュニケーション
また、Google翻訳の会話モードなどで同時通訳させるような場合にも、このくらいのサイズ感があると実用的だ。
画面の明るさも十分に明るく炎天下での使用にも困ることがなかった。UIについても実に素直で標準的だ。というかほぼほぼGoogle Pixelと同じで、標準に何も手を入れていないと思えるくらいで迷いようがない。ただし、Androidのバージョンは15で、最新の16ではない。ここは後日のアップデートに期待したいところだ。
10月に発売されたばかりで、価格としてはAmazonなどで6万円程度が設定されているが、各サイトともにクーポン価格などが設定され、この原稿の掲載時点(2025年11月11日)では4万円台半ばで入手できるようだ。日本国内での利用に必要な認証である技適や充電器のPSEについても問題ない。
このタブレットを選ぶのと同じ理由で2つ折りスマホも魅力的な選択肢だ。だが、天と地ほどの違いがある価格差に挫折……。でも、快適にAIを使いたい。そう思うなら、この選択肢をゲームファンたちだけのものにはしておかず、8.8インチで対話するAIコミュニケーションを手に入れた明日を想像してみよう。きっと世界は変わると確信するはずだ。


