TCLがクラウドファンディングのGREEN FUNDINGで新しいプロジェクターの支援を募っている。750 ISOルーメンという高輝度で、最大150インチの大画面をどこでも実現できるというポータブルプロジェクターTCL PlayCubeだ(製品ページ)。

  • TCL PlayCube。本体デザインはルービックキューブがヒントになっているそうだ

    TCL PlayCube。本体デザインはルービックキューブがヒントになっているそうだ

この記事の執筆時点で割引き後8万円台での入手ができるようだ。9月18日までは渋谷のTSUTAYAで商品の展示も行われているそうで、10月19日に支援募集を終了し、製品は2025年10月末以降に順次発送される。そのころには一般販売もされるということになりそうだ。

この製品を試す機会が得られたので、そのファーストインプレッションを紹介したい。

キューブが回転、自由に角度調整できる携帯プロジェクター

商品名に使われているCUBEという単語から想像できるように、この製品のデザインはルービックキューブがヒントになっているそうだ。

本体部分とスピーカー部分をひねるように回転させることで、スタンドや置き台を使わなくても任意のセッティングができるようになっている。

  • スピーカー部をひねって投影角度を調整できる作りになっている。回転機構は最大90度

    スピーカー部をひねって投影角度を調整できる作りになっている。回転機構は最大90度

画像補正機能が優れているので、物理的に角度や向きを設定し、投影位置を適当に位置決めしたあとに電源を入れれば、投影画像が自動的に補正されるので、プロジェクター設置時につきもののセッティングも簡単だ。

このプロジェクターは、約3時間の投影ができるだけのバッテリを内蔵し、いろいろな場所に持ち運んで使われることが想定されているので、このインスタントさは重要だ。

本体の重量は実測で1,316g、リモコンが59gあった。あわせて1.4キロといったところだろうか。少し重いノートパソコン程度の重量だ。サイズも約150×97×97ミリとバックパックなどに放り込んで携行できるほどには十分にコンパクトだ。

100Wの急速充電でバッテリー切れの不安が軽減

製品には100WのPD対応ACアダプタが同梱されていた。3時間のバッテリ運用では不安を感じるなら、というか、それがほとんどだと思うが、AC電源が使えるところではアダプタを携行するのが無難だ。スマホやパソコンと共用できるアダプタなので汎用性もあって心強い。

付属のACアダプタを持ち運ぶのが難しい場合は、スマホやパソコンと共用できる45W程度のコンパクトなアダプタやモバイルバッテリーでも電力供給が可能だ。それで利用時間を延命できる。試してみると30W程度のモバイルバッテリーでも充電は可能だった。内蔵バッテリーによる3時間の稼働時間と合わせて考えると、多様な電源に対応しているのは嬉しいポイントだ。

  • 同梱の100WのPD対応ACアダプタ、USB-Cケーブル、リモコン

    同梱の100WのPD対応ACアダプタ、USB-Cケーブル、リモコン

アウトドアでの利用には、このように多様な電源が使えるのがうれしい。だから3時間しかバッテリが持たないと考えるのではなく、非力な外部電源でも電力の供給はできて利用時間は延命できると考えたい。

内蔵バッテリの容量は66Whとのことなので、それで3時間ということは1時間あたり22Whを超える電力を供給できれば、実質的にバッテリは減らないと考えることもできそうだ。同梱されている100WのACアダプタは1時間の充電で30分駆動できるという急速充電のためのもののようだ。

理想的にはこのUSB-Cポートが充電のみならず、映像入力にも対応していれば、スマホやパソコン、ゲーム機などを接続して使ったりするのに便利なのだが残念ながら非対応だった。もっとも、スマホ画面の投影についてはChromecastやAirPlayに対応しているのでそれらを使ってワイヤレス投影するという手もある。

テレビ超えの150インチを天井に投影、新しい活用へ

一般的なテレビは画面の大型化が進んでいて、50型超の画面を使っている世帯は珍しくなくなっている。逆にいうとプロジェクターならそれをはるかに超える画面サイズが欲しい。

それでも今、日常的な居住空間に150インチもの空白スペースを探せるとしたら、やはり天井だろうか。

そんなときにもこの製品は便利だ。ただ、レンズ面の真裏の面に各種端子が装備されている。USB-Cポート、アナログオーディオ3.5mm出力ジャック、HDMI入力、USB-Aポートがある。

天井にレンズを向け、ACアダプタからレンズ真裏のUSB-Cポートに電源を供給しながら使うには不便かと思ったが、レンズを少し傾けて下部にスペースを確保すればケーブルの接続にも支障はない。投影画像は自動的に補正されるので、このあたりの使い勝手はさすがだと感心した。よく考えられている。

  • 背面に備えたインタフェース

    背面に備えたインタフェース

プロジェクターは特性上、排熱性能も気になるところだ。熱くなる製品は当然、その排熱も必要で、ファンの音がうるさい。この製品は長時間使っても、それほど熱くはなく、そのためファンの音も静かでほぼ気にならなかった。このあたりも重要なポイントだ。

テレビの大型化、モバイルディスプレイの浸透などで、プロジェクターが使われるシーンは変わりつつあるが、こうした機動性の高い製品は、その活用の幅を拡げるはずだ。時代が変われば、その時代に応じたフォームファクタが生まれるということか。