• 昔は至る所にあった公衆電話もどんどん姿を消してゆく

NTT東日本とNTT西日本が電話帳(タウンページなど)と番号案内サービス(104番)の終了を発表した。同社はその理由として、スマホなどの普及で電話番号の検索方法が多様化したことや、タウンページへの広告掲載数が減少、番号案内の利用数も大幅に減少していることを挙げる。

こうした状況を踏まえ、紙資源消費の削減や環境負荷の低減を実現する観点からも、2026年3月末で電話帳と番号案内を終了するとしている。なお、これらの終了後は、NTTタウンページ社によるiタウンページで電話番号を検索することができる。目の不自由な方々のための点字電話帳は継続、また、障がいのある方を対象に電話番号を案内する「ふれあい案内」も提供を継続するという。

  • iタウンページは2024年秋にリニューアルを予定。電話帳だけでない、“総合ライフポータル”として生まれかわる

連絡をとりたい組織が1冊でことたりた電話帳

タウン誌の駆け出しライターだったころは、いろいろな問い合わせのために、東京23区50音別電話番号簿企業名編はとても役にたった。連絡をとりたい組織について、ほとんどは、この一冊でことがたりた。びっくりするほどの分厚さでもなかったので重宝した。発行されなくなってからも、ずっと使い続けてきた。

今、電話帳や番号案内がなくなっても何も困らないと思う層は少なくないだろう。そもそも企業等の組織が電話番号を公開しなくなっている。たとえば近所の郵便局の電話番号を調べようと思ってもわからないのだ。

サポート電話などは、電話番号を公開するにしても、多くは有料の0570から始まる電話番号だ。いわゆるナビダイヤルで、かけた人の電話番号に応じてつながる相手が変わる。東京からかければ東京の拠点につながり、大阪からかければ大阪の拠点につながるような仕組みを提供できてきた。

ただし、通話料金は有料なので、サポート窓口などで対応待ち行列が発生するような場合、しばらくお待ちください的なアナウンスをえんえんと聞かされてしまうことも少なくない。

その分の料金は、かけた側が支払う必要があり、しかも、定額料金は適用されないので正味20秒当たり11円が必要だ。改定されて以前よりは少し安くなったがまだ高い。これ、金額にすると10分間待たされたら330円、1時間待たされたら1,980円だ。本当にこれは腹立たしく、0570番号には、直通電話番号を併記しなければならないという条例でも作ってほしいくらいだ。

電話帳と番号案内の終了は時代の節目

とはいえ電話で通話するコミュニケーションの機会は、これからもどんどん減っていくだろう。デジタルネイティブな世代にとっては、むしろその方が都合がいいかもしれない。たとえ相手がAIでもだ。そもそも企業のサイトなどを開いても、その企業の電話番号が掲載されていないことが多い。大きな企業はもうエンドユーザーと電話で話をするといったことをしたくないようにも見える。

しかしSNSのダイレクトメッセージやチャットやメールでの連絡を積極的に導入している企業はまだそれほど多くはなく、ほとんどは電話による通話でのコミュニケーションになる。メールでのやりとりを望んでも断られることは多い。

通話でのコミュニケーションはその内容が記録に残らない。内容は自分の手でメモするしかないのだ。そんな非合理的なコミュニケーションが連綿と続けられている一方で、企業によっては一人のオペレーターが複数の顧客を相手にチャットでコミュニケーションするなどしている。

電話番号さえわかれば、遠く離れたところの見知らぬ相手とコミュニケーションができる。その相手先電話番号をまとめたものが電話帳、オペレーターによる電話番号案内が104のサービスだった。それがあと2年で終了するというのは、やはり、時代の節目なのだろう。

近しい人の連絡先ほどわからない

そもそも電話番号だって、誰もがスマホの電話帳をたよりに電話するようになって、家族の電話番号さえ記憶していないことが多くなっている。

これでは災害時などに、愛用のスマホの故障/紛失などで家族と連絡がとれなくなってしまう可能性がある。そういう状況にならないように、なんらかの対策をしておいたほうがよさそうだ。

インターネットが使えて、それなりのパブリック端末があれば、大きな組織や企業との連絡についてはなんとかなる。役所などで提供される行政サービスの利用についても同様だ。

でも、夫や妻、子どもの携帯電話番号はインターネットを調べても出てこない。親戚、知人、友人の電話番号もわからない。近しい人の連絡先ほどわからない。そういう時代だということを心して生きたい。