コスパの高いノイズキャンセル機能つきの完全ワイヤレスイヤホンが充実してきた。なかでも15,000円前後はその激戦区といえるだろう。ハイエンド製品かと見まごうばかりのスペックでこの価格というのはちょっと驚きだ。
最近の注目は6月18日に発売されたばかりの「HUAWEI FreeBuds 6i」だ。価格は14,800円。同社は以前からオーディオ系のガジェットに熱心で、多くの優れた製品をラインアップしているが、今回の製品を借りてみて改めて驚いた。前のモデルよりもアクティブノイズキャンセリング性能が100%向上、ドライバーの駆動力も50%向上という、なんともダイナミックな刷新だ。
最初にスペックやプレスリリースのうたい文句を見たときは何かのまちがいかと思ったのだが、発売前の製品を実際に試聴してみてびっくりした。この数字は決して大げさではないと納得できるものだった。もっとも円安の影響もあるのだろう、前モデルより値上がりしているのは悩ましい。
同価格帯の製品では、この春にリリースされたNothingのEar (a)に注目していたのだが、そのポジションを揺るがすかのようだ。実力が拮抗しているともいえる。もう、この価格帯ならどちらかを選んでおけば間違いなさそうだ。
両製品ともにLDACコーデックに対応し、対応スマホであればハイレゾ再生を楽しめる。また、マルチポイント接続などの便利機能もしっかり装備されている。
スティックをつまんで操作できるEar (a)
操作性の点ではNothingのEar (a)が好ましい。いわゆるボディのタッチ操作ではなく、イヤピースから垂れるスティックをつまむ操作でさまざまな指示を与えるようになっている。親指と一差し指2本の指が必要となるが、その分誤動作が少ない。
タッチの場合は、意図せずさわってしまったときに再生中の音楽が一時停止したりするようなアクシデントが、それなりの頻度で起こる。髪の毛がフサッとかぶっただけで再生が止まるといったこともある。
ちなみにFreeBuds 6iは、こうしたアクシデントを回避するためなのだろう、シングルタップのアクションには操作を割り当てることができない。作った人が製品をちゃんと使っていることがわかる。
FreeBuds 6iはふくよかでインパクトある音作り
音質に関しては好みの問題だが、どちらの製品もしっかりとしている。個人的にはFreeBuds 6iのふくよかでありながらインパクトのある音作りは好みだ。
イヤホンでオーディオを楽しむためには、スマホやテレビなどにBluetoothで接続する。音楽などを楽しむだけならOSの標準機能を使って接続するだけでいいのだが、今回紹介するような価格帯の製品でも、豊富な機能をフルに使うためにはコンパニオンアプリのインストールが必要になる。
利用するデバイスに各社が提供するアプリをインストールし、各種の設定を行うようになっているのだ。HUAWEIならAI LIFEアプリ、NothingはNothing Xアプリが提供されている。
ただ、AI LIFEアプリは、Android OSで通常アプリをインストールするときに使うGoogle Playで探しても見つからない。製品に同梱された説明書やパッケージに記載されたQRコードを読み取って参照する必要がある。
QRコードを読み取ると、ファーウェイのサイトが開き、そこからAI LIFEアプリをダウンロードする仕組みだ。ダウロードしようとすると、HUAWEIのアプリストアであるAppGalleryを経由するか、ストレートにダウンロードを続行するかを選択できる。どちらにしても、Android OSでは提供元不明のアプリをインストールすることを許可しなければならない。
話しながら自由に取り外しできるのも魅力
アプリを使わないとできないのは、ファームウェアのアップデートとノイズキャンセルの強さのデフォルト値設定、またLDACの利用などだ。それなりに重要なことばかりだから悩ましい。
別のデバイスがあればそれを使って設定をすませ、常用のデバイスではOSの標準機能で接続して使うといったワザもあるが現実的ではない。このあたりの不便は早急に解決してほしいと思う。iOSでは、一般アプリと同様の手順でコンパニオンアプリを導入できるのだから、Androidユーザーとしては余計にそう思う。
最近は、電話で通話しながら、完全ワイヤレスイヤホンを片耳だけ使うことも多い。打ち合わせ内容をパソコンにメモ入力するようなときに、両手が自由になるし、外部の音も聞こえるし、自分の声も聞こえるので何かと便利だ。音楽に没頭するだけでなく、そういう使い方もできる完全ワイヤレスイヤフォン。ひとつあるときっと重宝する。