コロナ禍がそろそろ収束の動きを見せているのか、それともまたぶりかえしそうなのかは定かではない。でも、とりあえず、この3年間の巣ごもりや在宅勤務などのテレワークで身についたノウハウは、今後のライフスタイルでも活かさなければならない。

  • 在宅勤務をしていると猫をやりすごすノウハウが身につくことも(写真提供は編集部)

在宅勤務はノートPCの画面が小さく感じる?

たとえば、コロナによる行動制限によって、パソコンでのオンラインコミュニケーションをMicrosoft TeamsやZoomなどのプラットフォームで実践するのは当たり前になった。

そこで改めて気がつくのは、なんだかノートPCの画面がやけに小さいということだ。14インチ前後の液晶画面でも、以前はそのようなことは思わなかったのに、最近になって、狭く感じるようになったというのは、自分のパソコンの使い方が拡張された結果だ。

オンライン会議のアプリと同時に、別のアプリを併行して使ったり、ブラウザで資料を参照しながらセミナーを受講するといったケースは多い。メモは手帳に手書きするというわけにもいかず、どうしたって画面ひとつでは足りないのだ。その先には狭い画面をものともしない達人の領域があるが、そこまで達するべく努力するのはビジネスの本筋ではない。

パソコンでの作業中、ちょっとややこしい作業になってきたとき、ノートパソコンの比較的小さな画面ではイライラする。アプリの切り替えもめんどうで煩雑だ。資料を参照しながら何かをしたいとか、地図を見ながら、あれこれ検討したい、あるいは、プレゼンテーションや動画などを見ながら、メモ等の作業をしたいといった場合はどうすればいいのか。

そんなときは、傍らのテレビにパソコンをつないでしまえばいい。ほとんどすべてのパソコンは、HDMI出力端子を装備しているので、ビデオレコーダーをつなぐのと同じ要領で、テレビにパソコンをつなぐことができる。ケーブルは、100均ショップでも数百円で手に入るくらいにポピュラーなものになってきている。

パソコンをテレビにケーブルで接続し、デスクトップを拡張するように設定すれば、作業できる画面が2画面になる。パソコンとテレビの位置関係も揃えれば使いやすくなる。

大画面のテレビにパソコン画面を無線でキャスト

とりあえず、これが理想なのだが、最近のテレビはGoogle TVの機能が搭載されていたり、独自のパナソニック・ビエラなどを含めて、ほとんどの製品でパソコンからの画面キャストを受けることができようになっている。

いわゆるChromecast互換のキャストを受信できれば、パソコンの画面を複製したり拡張したりせずに、Windowsであれば、EdgeやChromeブラウザで表示中の特定のタブだけをテレビに投影することができる。

  • Chromeブラウザで開いたタブをリビングのテレビ(と接続したChromecast)にキャストできる。画面設定などは不要だ

何よりも、HDMIケーブルを使わないで、ワイヤレスで投影ができるのが気軽だ。わざわざテレビにケーブルを接続するのではなく、思いつきで、その場で瞬時にキャストができる。

キャストには「投げる」という意味があるが、まさに、コンテンツを投げるイメージだ。「投影」という熟語にも投げるという漢字が使われている。リビングルームのソファでノートPCを開いて、あれこれブラウズしているときに、家族に見せたいページが見つかったら、その場でキャストすれば、テレビの大画面に投影される。

同様に、仕事や勉強の作業でも、ブラウザで参考文献を開き、それをテレビに映し出して、ノートPCの画面ではエディタやワープロなどを、そのウィンドウに重ねて作業を続ければいい。アプリの後ろにあるブラウザのウィンドウは、テレビに表示が投影されているので、見えなくなることはない。条件は、PCとテレビが同じネットワークにつながっていること。それだけだ。

14型前後のノートPCの画面を50型前後のテレビなどに投影すると、ちょっと表示が大きいかなという印象もあるが、たいていの場合、テレビは少し離れた位置にあるだろうから、ちょうどよかったりもする。もし調整が必要ならブラウザのズーム機能を使って見やすいサイズにすればいい。

  • マイナビニュース +Digitalのタブ(Chromeブラウザ)を、リビングの37型テレビにキャストしたところ

ちょっとした工夫とデバイスの活用で世界を拡張できる

Ctrl++(プラスキー)やCtrl+-(マイナスキー)によるズーム倍率増減も覚えておくと便利だ。ちなみにタブを投影する建て付けなので、ウィンドウのサイズや縦横比によってはテレビの画面一杯に表示されないこともある。ここはひとつ、画面を最大化するなり、F11で全画面表示にするなりで、テレビの広い画面を有効に活かそう。

もし、少し古いテレビでChromecastに対応していない場合も、4K対応のアダプタが数千円で入手できる。これをテレビのHDMI端子に装着しておけば、テレビにビルトインされたものと同じように、大画面へのキャストができる。もちろん、PCのみならず、スマホの画面に表示されているYouTubeやNetflixなどの動画の投影もできる。まさにインテリジェントなリモコンだ。

使い慣れたスマホでコンテンツを選び、それをテレビに投影することができる。自宅のテレビや会社の会議室のテレビにChromecastの機能がないかどうかを確認してみよう。ちょっとした工夫と既存デバイスの活用で世界が大きく拡張できるはずだ。