KDDIによるスタートアップ企業やエンジニアを対象とした支援プログラム「KDDI ∞ Labo」の参加5チームが決定、そのメンターやサポート企業などと共に発表された。各チームは、これから3カ月をかけて、彼らのアイディアをカタチにしていく。

このプログラムはKDDIがサービスの開発支援およびプロモーション、事業化支援、経営サポートといった内容の支援を行う対象を選抜することを目的にしたもので、2011年12月の第一期から数え、今回が7期目となる。

KDDIと共に、ベンチャーサポートを実施する13社がパートナー連合として参加、選ばれた企業やチームに対するメンタリングやサポートを提供する。

対象は「世の中に新しい価値を提供する革新的なサービス」とし、インターネットサービスに限らず、幅広い事業領域を対象としている。応募者はエントリー後、書類審査で選考されて参加が決定する。今回は、この参加決定チームの発表だった。

選ばれた各チームは、これからメンタリング企業のアドバイスを受けながら、3カ月後のベータ版リリースを目指す。このベータ版が発表イベントでお披露目され、その後さらに、KDDIからの出資、事業提携が検討され、会社設立や運営についてもKDDIからの専門的なサポートが受けられる。

起業を目指すベンチャーにとっては登竜門的なプログラムだ。こうしたプログラムは世の中に少なくないが、通信事業者が行うことと、通信やITとはまったく関係のない支援プログラムである点で、ちょっとした異色感がある。

今回の参加チームは5つある。各チームのサービス名と代表者、そのサービスコンセプトとメンタリング担当企業は次の通りだ。

・Dr. JOY 石松 宏章
医療者⇔医療者、医療者⇔患者/家族、医師⇔MR (製薬会社) を結ぶクローズドSNS(三井物産、KDDI)

・ポッサムゴッサム 福田 浩士
ウェアラブルデバイスを利用し、実空間とバーチャルを融合したゲームの提供(テレビ朝日、KDDI)

・BooksOn Demand 佐田 幸宏
誰でもブログを書くように本が執筆から出版・販売までが簡単にできるプラットフォーム。執筆段階から読者とコミュニケーションができる。(コクヨ、KDDI)

・Fem 松田 総一
画像解析とAI技術のディープラーニングを応用して、人間に最適だと思われる情報を提供し、AIが人間を理解し、さまざまなプロダクトへ同期するOS(セブン&アイ・ホールディングス、KDDI)

・sakaseru 西山 祐介
次世代の「花」のECプラットフォーム 個性あふれる花屋さんが集まり、お客さまには便利に高品質なお花のお届けを実現(プラス、KDDI)

2014年10月1日追記 記事掲載時、サービス名「sakaseru」の代表者氏名に誤りがありましたので、訂正しました。ご迷惑をおかけした読者の皆様ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。

なお、各チームのメンタリング企業以外に、サポート企業として近畿日本ツーリスト、ソフトフロント、大日本印刷、東急電鉄、凸版印刷、パルコ、バンダイナムコゲームス、三井不動産が名を連ねている。

優勝者に巨額の賞金が用意されているわけでもなく、栄誉は彼らのビジネスによってのみ獲得できるという点でも異色だ。栄冠の先には、ドロドロとしたビジネスの世界が待っているわけで、最終的には儲かる儲からないということが議論されることになるのだろう。KDDIという企業にとっても、新たなビジネスの芽を探し出すことができる点で、支援する側とされる側の間にWinWinの対等な関係が築かれているプログラムであるともいえる。

今回の発表会は、まだコンセプトがベータにもなっていないため、デモンストレーションではなく、単なるコンセプトがプレゼンテーションされただけであり、それぞれのチームのサービスの将来性はまだ未知数だ。各チームこれを3カ月という短い期間でカタチにする必要がある。今回のプレゼンテーションとは似ても似つかぬサービスに変わっている可能性もあるだけに、暮れの本発表が楽しみではある。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)