バリュートレーがオーディオビジュアルブランド「AVIOT(アビオット)」の新製品発表会を開催、完全ワイヤレスイヤホン2製品(TE-D01d、TE-D01e)と、ワイヤレスイヤホン1製品(WE-D01c)を発表した。
Qualcommのチップセットを内蔵
3製品の中でも圧巻はTE-D01dだ。このベンダーは製品に採用されているチップセットを公開している、情報公開の点で他社にはあまり見られない奇特な面を持っていて、オーディオ的な興味で注目されることに加えて、テクノロジー的な興味を持つユーザー層にも一定の支持を得ている。
そして、同社によればTE-D01dはQualcommのQCC3026を搭載している。このチップセット搭載機はすでに同社からTE-D01bとして発売済みだが、今回は、その発売からたった数カ月での新モデルとなる。
モバイルシーン、オーディオシーン、テクノロジーシーンなど、多方面から注目されているこのQualcommのQCC3026だが、これまで完全ワイヤレスイヤホンが抱えてきたさまざまな難点をクリアする。
つながること、それが一番大事
まず、音がいいとか悪いとかといったことを議論する前に、完全ワイヤレスイヤホンに求められるのは音が途切れないことだ。ワイヤレスなのだから多少の途切れは仕方がないと大目に見られてきた面があるが、この製品は、本当に音が途切れない。
音が途切れる原因のひとつは、監視カメラがBluetoothと同じ2.4GHz帯の電波を使っているからだそうだ。だから電車が駅のホームに入るとか、都市部の典型的な環境でオーディオ伝送の邪魔をする。そのときに途切れを起こすのだ。これは音楽を楽しく聴いているリスナーにとっては大きなストレスになる。
特に、右耳イヤホンがマスターになり、スマホからの電波を受信し、その信号を、改めて左耳イヤホンに伝送する仕組みを持つ製品では、左右の伝送が切れる可能性もあり、それも音楽の邪魔をする。
どうせ、と思って試してみた。TE-D01dを耳に装着した状態で、両耳を手のひらで覆ってみる。
途切れない……。何度も試したが大丈夫だ。満員電車の中でも大丈夫だった。今まで手にしたイヤホンで、これで途切れない製品は皆無だった。
さらにバッテリ駆動時間が長い。すでに書いたように、右耳イヤホンは左耳イヤホンに信号を送信しているため、受信だけすればいい左より右の方がバッテリをたくさん消費する。左耳と右耳のイヤホンが同じ容量のバッテリを実装していても、右耳のバッテリが切れれば、左耳側にまだバッテリが残っていても、それはすなわちバッテリ切れとなる。
ストレスフリーの世界にようこそ
QualcommのQCC3026はマスターを切り替えるロールスワップにも対応しており、マスターを左右切り替えられる、最大限にバッテリを活用できる。その結果、TE-D01dは最大9時間という再生時間を達成しているのだ。これもストレスフリーにつながっている。
ちなみに、QualcommのQCC3026は、左右のイヤホンが独立してスマホからの信号を受信する機能も持っている。「TrueWireless Stereo Plus」と呼ばれる機能で、Qualcommのモバイルプロセッサ「Snapdragon 845」以降の搭載機で実現されるものだ。まだこの機能を実装した端末が手元になく実際に試せていないのだが、早期の対応端末の登場を期待したい。そのとき、TE-D01dが何もしなくても勝手に対応できるのか、それともなんらかのファームウェアの更新が必要になるのか。いずれにしても、現時点でその必要性を感じられないほどに伝送は安定している。
完全ワイヤレスイヤホンも、いよいよ新しい世代に突入したようだ。ストレスフリーの世界にようこそ。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)