セイコーエプソンが導入コストゼロで、月々1万円からの定額従量料金で機器、インク、保守を提供するサービスを開始する。8月からのスタートだが、プリントアウトもまるで携帯電話のパケット定額のような様相を見せ始めた。

縛り5年の定額従量制を打ち出すスマートチャージ

国内のPPC用紙需要は2009年に底をついたものの、現在では次第に復活する状況にあるという。特に、コピー機の市場が伸びている。カウンター単価のダウンと保守、消耗品がセットになっていて、管理者の手間がかからないことがその大きな魅力となっている。

スマートチャージは、5年縛りで、コピー、プリント、ファックス、スキャンを1台でできるビジネスインクジェット複合機を貸与、月々の基本使用料金の中で、インクなどの消耗品や保守サービスが含まれるオールインワンプランとなっている。ただし、用紙だけは自前で調達する必要がある。

ターゲットにしているのは、毎月1,000枚から5,000枚までのコピーをするビジネス市場で、従来のコピー機との差別化につなげることをセイコーエプソンではもくろんでいる。

高生産性、高耐久性、大容量という3つのコンセプトを打ち出し、複数契約の場合は、それぞれの上限枚数を共有することもできる。4つのプランが用意されるが、そのうちもっとも安いプランは「スタンダードB」で、10,000円(税別)/月の基本料金で、モノクロ2,000枚、カラー600枚を印刷でき、それを超えた分はモノクロ1.5円/枚またはカラー5円/枚の従量制となる。インク切れなどは、機器からインターネット経由で毎日送られるレポートなどで検知され、自動的に送付されてくるという。もちろん、インターネットに機器を接続したくないユーザーは、自分でレポートを取得してエプソンに伝えることもできる。

「プリンタつきインク」の登場も現実的に!!

ビジネスインクジェットの定額制という点では、すでに日本HPが「インク定額パック」のサービスを開始しているが、今回のスマートチャージにはインクどころか機器代金も含まれる。日本HPのサービスに比べても十分な競争力を持つものだと同社は自信たっぷりだ。

日本HPがオフィス向けのプリントビジネスの市場を見ているのに対して、セイコーエプソンは複写機の市場をとりに行こうとしている点で、多少のスタンスの違いはあるが、基本的な見積もり量を誤らなければ、どれだけ刷っても同一料金というのは、管理する側にとってみれば大きな魅力になるだろう。

こうして、プリントの市場もまた、定額料金制に移行しつつある。セイコーエプソンでは、このビジネスの様子を見ながら、今後は5,000枚/月以上の市場や、1,000枚/月以下の市場も視野に入れていくという。すなわち、同社のカラリオでの印刷が定額制になることだって考えられるわけだ。まさに、スマホのパケット定額だ。5年縛りで途中解約には違約金が発生するという点でも似ている。そのうち、かつてのレンズつきフィルムのように「プリンタつきインク」的なパッケージが量販店頭に並ぶようなこともあるかもしれない。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)