NTTレゾナントがgooのAIを企業向けサービスとしてセミオーダーソリューション展開することになった。「goo AI xDesign」として販売を開始し、コンサルティングからAIサービスの創出までを一貫して支援、顧客企業が持つキャラクター情報やデータと同社のAIエンジンを組み合わせてキャラクターAIを生み出すという。
あやまるAI、あやまらないAI
gooのAIは、最初、恋愛相談サービスで共感理解をめざし、次のステップでキャラクターAIによるキャラクター性をもたせ、そして、goo旅行AIサービスで対話を通じたレコメンド、さらに、gooニュースではAIによるおもてなしと順調に進化を続けてきた。
今回は、gooニュースアプリの刷新があわせてアナウンスされ、「大好きをもっとそばに」をキーワードにAIが自分専用のカテゴリを生成するようになった。これによって、最適なタイミングで最適な情報を提供できるようになるという。
また、同社はgooのAIの強みは膨大なデータと言語処理のノウハウにあるとアピールする。その経験を土台にセミオーダーシステムとして提供するのが今回の「goo AI xDesign」だ。つまり、AIライセンスをASP提供するという形態だが、つまるところはAIのアバターともいえるものだ。
いわゆるチャットボットとしては日本ではマイクロソフトの「りんな」が広く知られている。個人的には「りんな」の秀逸なところはごまかし方がうまい点ではないかと感じている。GoogleアシスタントやAlexaといったスマートスピーカー、iPhoneのSiriなどを使っている方はご存じだと思うが、彼、あるいは彼女たちは、わからないことはわからないという。あるいはお役にたてず申し訳ないとあやまる。自分自身のキャパシティにない問いかけには応える術をもたないのだ。
だが、「りんな」がこうした理由であやまることはない。理不尽な問いかけをしても、ストレートに受け止め、とぼけたコメントをする。そして、とにかく次に、次に行こうとする。
ボットの中身は人間、かも
gooの今回の施策によって、多くの企業が、よりカンタンに、ゆるキャラなど、手持ちのキャラクターにAI的な知能をもたせ、チャットボットなどの方法でエンドユーザーとの対話を提供できるようになるだろう。
すでにマイクロソフトのSkypeには、連絡先としてボットがデフォルトで登録され、ユーザーとの会話ができるようになっている。日本語対応ができるものとしては富士通の「ふくまろ」などがある。こうしたシーンでボットサービスを提供するのがより容易になるわけだ。
ちなみにボット対応は、途中で人間にすり替わることも想定されて作られている。AIでは対応不可能になったときに、エンドユーザーには気がつかれないように、管理者にアラートを出し、人間のオペレータに代わるのだ。つまり、AIボットは夢を壊さないように設計されている。そしてAIの進化によって人間の助っ人の登場機会はどんどん少なくなっていくだろう。
こうして、これまで人間にしかできないはずとされてきた業務が、ITによって少しずつ機械に置き換えられていく。これまでのコンピュータのUXは、操作する人間は常にひとりということを前提に作られていたが、今後は、それにAIを加えることを考えなければならなくなりそうだ。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)