クリエイターが「ストックフォト」を活用して、自身のクリエイティブ素材を売り利益を得る方法を紹介していく本連載。今回は「基本技術審査のポイントから販売まで」を紹介していきます。

基本技術審査のポイントは"諦めないこと"

ほとんどのストックフォトサービスでは、出品希望者が写真を販売するうえでの最低限の技術が備わっているかを判断するために「基本技術審査」を行っています。審査基準はストックフォトサービスによって異なりますが、共通していることは「写真として成立しているかどうか?」、「ストックフォトに(商品として)適している写真か?」という点です。分かりやすい初歩的な例をあげると、ピンぼけやブレている写真は、確実に審査は通らないと思ったほうがいいかもしれません。また、ストックフォトでは構図が非常に重要な要素になります。広告などで使用されるストックフォトでは、写真の上に文字が配置されることが多いこともあり、文字を配置するための余白(コピースペースともいう)を考えた写真が多く販売され売れています。余白は必ずしも必要ではありませんが、主体の位置やバランス(曲がりや歪みにも注意)に関しては十分意識し、作品の意図が伝わる構図であることが重要になります。そして、暗いイメージの写真より明るいイメージの写真の方がニーズはあります。これらのことを考慮して審査用の写真を選ぶとよいでしょう。

基本技術審査のもうひとつの目的は、写真を販売するうえで「知っておかなければならないこと」、「やってはいけないこと」、「写真をより多くうるためにやること」を学ぶ場でもあります。その中でも、もっとも重要なことのひとつは「権利」です。個人で楽しむための写真撮影では問題は無くても「売る」となると、写してはいけないものや許諾(モデルリリースやプロパティリリース)に関するルールなどが多くあります。また、販売するうえで重要な検索用のキーワードやタグといった商品情報についても知っておく必要があります。その多くのことは、プロでない限り初めて知ることも多いと思います。ですから、最初の基本技術審査に関していえば「学ぶ」ということを前提に挑戦してみましょう。審査に通らなくても、基本技術審査は何度でも挑戦出来ます。そして、基本的に審査に通らなかった場合、その理由をフィードバックしてくれますので、諦めずに何度でも挑戦してみることが一番重要です。審査が通る頃には写真の技術やストックフォトに関する知識も身についていることでしょう。(審査や権利については今後本連載で詳しく紹介していきます)基本技術審査はストックフォトを始める上での勉強の場として諦めないことが最も大切なポイントです。

※PIXTAでは2010年9月より、写真をアップロードする基本技術審査から、一問一答の入門テスト形式に変わりました。全問正解すると販売が可能になります
画像:書籍「イラストで稼ごう」より

基本技術審査が通ったらいよいよ販売開始

基本技術審査(またはテスト)に合格すると、写真を販売する資格を得ることが出来ます。ただ、写真を販売するためには販売する写真についての審査を受ける必要があります。とはいえ、基本技術審査を合格しているのですから、自信を持って挑戦しましょう。ここでの審査では、写真のクオリティはもちろんですが、検索用のキーワードやタグといった商品としての情報の設定が重要なポイントとなってきます。ストックフォトはいくら良い写真でも検索でヒットしない限り絶対に売れません。自分の写真を一枚でも多く売る上でキーワードやタグは「写真に付けられた唯一の商品情報」なので非常に重要です。前述の「審査に備えて、必ず予習はしておきましょう」でもお話した通り、各サービスのマニュアルをよく読むことはもちろん、すでに販売されている写真を「買う人」の立場で検索してみることでキーワードやタグだけでなく「売れる写真」のことが色々と分かります。写真を売る側からみた検索は「売れる写真」のヒントが沢山ある貴重な情報源とも言えるでしょう。(キーワードやタグについても今後本連載で詳しく紹介していきます)

次回は「自分の写真を売るサービスの選び方」を紹介したいと思います。

LOCUS.AND WONDERS.


2006年に発足。デザイナーであり、アートディレクター、クリエイティブディレクターの黒田智之を中心にしたクリエイティブグループ。著書としてこれまでに書籍『写真で稼ごう』、『写真で稼ごう【撮り方編】』(共に弊社刊)などを執筆している。