以前に扱ったアンドロイドのBluetoothテザリングですが、最近のWindowsアップデートにより、Windows 8.1でIntel Atom系プロセッサのマシンでも利用が可能になったようです。

Windows 8.1でAtom系のプロセッサであるIntel Z2760(開発コード名: Clover Trail)やZ3740(開発コード名: Bay Trail)を搭載したマシンには、Broadcom社のBluetoothコントローラが搭載されています。この組み合わせでは、今年の初めぐらいまで、アンドロイドの「Bluetoothテザリング」で接続することができませんでした。初代Surfarce RTも同様で、Bluetoothテザリングに接続することはできませんでした。

Bluetoothテザリングが可能な場合、Windows 8.1の「デバイスとプリンター」に登録されているアンドロイド機のアイコンを長押し(または右クリック)して表示される右クリックメニューにある「接続方法」で「アクセスポイント」が表示されます。以前は、ここに「アクセスポイント」ではなく「直接接続」が表示されていました。

Atom系以外のマシンで、他社のBluetoothコントローラーを搭載している場合、「アクセスポイント」が表示されていて、アンドロイドのBluetoothテザリングが利用できていたので、デバイスドライバ側の問題かと思いましたが、その関連のアップデートはなく、また、Windows RTでも同様にBluetoothテザリングに接続可能になったため、どうやらWindows側の問題だったようです。

アンドロイドの「Bluetoothテザリング」は、BluetoothのPANプロファイルで定義されているNAP(Net Work Access Point)というロール(役割)として動作し、これに接続するためには、PANプロファイルのUSERというロール(略してPANUと呼ぶことがある)をもっていなければなりません。少なくともアンドロイドはPAN-NAPを実装していて、Windows 8.1はPAN-PANUを持っているはずなのですが、NAPに接続できる機種とそうでない機種がありました。

KB290440のインストール前、ペアリングしたLTE版Nexus 7に対して「接続方法」は「直接接続」となっていた

Windows Updateのあと、再起動し「接続方法」を選ぶと「アクセスポイント」が表示されるようになった

Updateを確認しAtomタブレットでBluetoothテザリングを利用可能にする

手元にあったAtomの8インチタブレットやWindows RTなどで試した結果、以下のようにすればBluetoothテザリングが使えるようになるようです。すでに使えるようになっている場合もありますが、アンドロイド機と再度ペアリングをしないと接続先として「アクセスポイント」が選択できないこともありました。

まずは、Windows UpdateでWindows側を最新状態にしておきます。手元の機器を調べた感じでは「KB2904440」のアップデートがインストールされていればいいようです。しばらくネットワークに接続していなかったWindows RTを起動し、以前ペアリングしたアンドロイド機で「接続方法」を表示させたところ、「直接接続」となっていました。その後、無線LANに接続し、KB290440のインストールが終わったあと、「接続方法」を見ると「アクセスポイント」が表示さすれるようになりました。

Windows Updateを確認するには、コントロールパネルから「Windows Update」を開きます。次に左側にある「更新履歴の表示」を見ます。ここにインストールされたWindows Updateの一覧があり、その中で「Windows 8.1用更新プログラム(KB2904440)」を探します。64bit版Windowsでは「Windows 8.1 for x64-Based System用更新プログラム(KB2904440)」という項目を探します。現状のAtomプロセッサを搭載したWindowsタブレットは、32bit版Windowsが搭載されているはずです。

ない場合には、Windows Updateの「更新プログラムの確認」を行い、インストールを行います。このとき、念のため、インストール後にシステムを再起動しておきます。

すでにアンドイロド機とペアリングされているなら、コントロールパネルの「デバイスとプリンター」を開き、該当のアイコンを右クリックして「デバイスの削除」を行います。

その後、Bluetoothテザリングを行うアンドロイド機とペアリングを行います。その後アンドロイド側では「設定」 ⇒ 「無線とネットワーク」 ⇒ 「その他」 ⇒ 「テザリングとポータブルアクセス」を開き、「Bluetoothテザリング」をオンにしておきます。PC側でペアリングにより登録されたアンドロイド機のアイコンを右クリックしてメニューから「接続方法」を選べば「アクセスポイント(A)」という項目が表示されます。これを選択すれば、接続は完了です。Bleutoothテザリングによりインターネット接続が可能になっているはずです。

「アクセスポイント(A)」が表示されず「直接接続」になるような場合、PC、アンドロイドの双方でペアリングを解除し、再度ペアリングを行ってみます。筆者が試したかぎり、メニュー項目が「直接接続」になってしまったり、アクセスポイントへの接続がエラーになることもありました。不安定なときにはPC側の再起動やデバイスの再ペアリングなどが必要なのかもしれません。

PC側から接続を簡単に行うには、「デバイスとプリンター」から該当のアンドロイド機のアイコンをデスクトップにドラッグしてショートカットを作成し、これを右クリックして「接続方法」から「アクセスポイント」を選択するのが一番簡単なようです。

また、アンドロイド側は、Bluetoothテザリングをオンオフするアプリなどもありますが、再起動したときに自動的にBluetoothテザリングをオンにする「Bluetooth Auto Tethering」というアプリがあります。ただし、再起動したあとBlueoothテザリングがオンになるまで少し時間がかかります。スタート画面などのウィジェットが全部更新されるぐらいまで待つ必要があります。起動してすぐ「設定」 ⇒ 「無線とネットワーク」 ⇒ 「その他」 ⇒ 「テザリングとポータブルアクセス」を見てもオンになっていないので、「動かない」と誤解しないようにしてください。Nexus 5/android 4.4(Kit Kat)でちゃんと動作しています。クライアント側だけ操作すれば良く、わりと便利です。ただし、手動で「Bluetoothテザリング」をオフにしてしまったときには、手動でオンにするしかありません。

Windows RTでは、Bluetoothテザリングが可能なアンドロイド機のプロパティを表示させると「サービス」タブに「パーソナルエリアネットワークアクセスポイント」が表示された。x86版Windowsでは表示されない

本稿は、2014年1月27日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。