GA4へ切り替えることでのメリット

導入のメリットについては第1回、第2回でも紹介しましたが、その他にも伝えきれなかったユニバーサルアナリティクスにはないGA4特有のメリットがありますので、最後に簡単にご紹介します。

探索機能

探索機能はユニバーサルアナリティクスのカスタムレポートよりも、より柔軟性と自由度の高いレポートを作成することができる新機能です。あらかじめプリセットされている多種にわたるテンプレートをもとに、自分でディメンション(デバイス、性別、日別、ページの場所、イベントなど)と指標(ユーザー数、セッション数、表示回数など)を組み合わせることができる「空白レポート」や「自由形式レポート」があります。

そのほか、これまでは設定が手間だった「目標到達プロセス」もこの探索機能を使って作成することができるようになります。また、ユニバーサルアナリティクスであった「ユーザーエクスプローラ」や「経路分析」なども探索機能に格納されており、自由にレポートを作成することが可能です。

  • 探索機能のテンプレート一覧

  • 探索機能の「自由形式」で作成したページ別のデータ

  • こちらは日別のグラフ。上と同じく「自由形式」でビジュアライゼーションの折れ線グラフを利用したもの

  • GA4のユーザーエクスプローラはディメンションや指標などを選べるようになり、ユニバーサルアナリティクスより柔軟性が高くなった

BigQuery

有料版のGoogleアナリティクス360のみで利用可能だった「BigQuery」がGA4では無料で連携できるようになりました。ただし、データ保存や抽出が一定量を超えると課金が発生します。

BigQueryとは、Googleが提供するクラウド上のデータウェアハウス(データの倉庫のようなもの)のことです。

このデータウェアハウスには、GA4の何億というイベントデータが蓄積されており、GA4と連携することにより、イベントデータを取得し、例えばGA4ではない他のBIツールを利用してデータを可視化できるようになります。GA4のUIに従って分析をするのではなく、取得したデータを吐き出し、ご自身の理想のデータの組み合わせや可視化が可能です。

機械学習

GA4は予測指標と機械学習を導入しており、収集しているデータから、将来的にユーザーが起こすと思われる行動を予測できるようになりました。

例えば、GA4には「アナリティクスインテリジェンス」という機能が備わっています。これは簡単に言うと、機械学習を使ってGA4の利用者にデータや改善のためのヒントを与えてくれる機能です。その一部に、機械学習を利用してGA4で蓄積したデータを自動的に分析し、お知らせをしてくれる機能「アナリティクスインサイト」があり、以下の2種類から使うことができます。

  1. 自動インサイト: データに異常な変化や新たな傾向があるとインサイト ダッシュボードに通知される

  2. カスタムインサイト:利用者が検出する条件を自分(自身)で設定(作成)し、条件に該当すると、インサイトダッシュボードにインサイトが表示される

ユニバーサルアナリティクスのカスタムアラートに似ている機能ですが、データに関する情報を、機械学習による予測をもってお知らせしてくれる新機能です。

アナリティクスインサイトは、「レポートのスナップショット」と「広告のスナップショット」のインサイトカードで確認できます。このインサイトカードに「自動インサイト」と「カスタムインサイト」の内容が含まれます。

  • スナップショットとは、自身でさまざまなカードを追加してカスタマイズすることができるダッシュボードのようなもの。カードには、例えばユーザー数やユーザー属性などのグラフが可視化できるものがあり、そのひとつとしてインサイトカードがある

ほかにも、GA4には「データドリブン アトリビューション」という、ユーザーがお客様のビジネスをどのように検索し、各広告に対してどのような操作を行ったかに基づきコンバージョンへの貢献度を割り当てる機械学習モデルを使った機能も備わっており、これもGA4ならではの大きなメリットとなります。

GA4になっても変わらないもの

これまで全3回にわたって、GA4がどんなものなのかを詳しく解説してきました。「GA4って何?」と聞かれて答えられるようにしたい方、GA4をあまりよくわかっていなかった方、GA4を導入、活用したいと考えている方々にとって、本連載が参考になりましたら幸いです。

そして今、ユニバーサルアナリティクスを利用している方の中には、もしかしたらGA4に切り替わることへ不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、これまでのユニバーサルアナリティクスでの経験があれば、GA4を使う基礎もできていると思います。本連載を参考にしながら、GA4に慣れて、使いこなしていっていただければと思います。

株式会社電通デジタル
エクスペリエンスプロデュース部門 馬場建至(ばば・たけし)氏
多業種、多サービスのデジタルマーケティング改善を担当。社内ではslackやTeamsを使ったGoogleアナリティクスやGTMなどの質問窓口を担当している。また社内外問わずGoogleアナリティクス講師を勤めており、23年度に入ってからGA4の普及活動を行っている。得意なジャンルはLPO、CRO。一般社団法人ウェブ解析士協会ウェブ解析士マスター。23年度版ウェブ解析士テキスト委員長。