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ウイスキーは「飲む」だけじゃない? 樽ごと買って「投資」するという付き合い方

FEB. 19, 2026 08:00
Text : 室井大和
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株式や債権、不動産、インフラ、金など、世の中にはさまざまな投資商品があるが、ウイスキーを樽ごと買って、熟成による値上がりを待つという投資の方法があるということを初めて知った。具体的にはどうやって投資するのか。資産としてのウイスキー事業を手掛けるクレア・ライフ・パートナーズの担当者に「資産運用EXPO」の会場で話を聞いた。

  • ウイスキーカスク投資「ウイスキーボトル」

    ウイスキーの楽しみ方は「飲む」だけではない! 投資したら利益を得られる(かも)というのが新しい発見だった

年平均成長率は14.59%?

物価高や国際情勢の流動化などにより、さまざまな投資商品に注目が集まる中で、海外の投資家の間ではウイスキーの樽(カスク)に投資する「ウイスキーカスク投資」が活況を呈している。ウイスキーの樽を購入して熟成させ、価値が高まった樽を売却することでキャピタルゲイン(売却益)を得る中長期型の実物資産投資だ。

このウイスキーカスク投資、安定的な資産成長を見込めるとクレア・ライフ・パートナーズの担当者は話す。

「例えばワインの場合は、ブドウの出来によって品質が左右されることがありますが、ウイスキーには、大麦の実り具合は関係ありません。どんな樽でどれくらい熟成させたかで価値が変わります。ほったらかしで運用できるので、手を出しやすい投資だと思います」

  • ウイスキーカスク投資「ウイスキー樽」

    実物資産である以上、盗難や火災などによる損傷のリスクはある。ただ、保税倉庫で徹底して管理されているため安心なのだという。ウイスキー保管倉庫で火災が発生したことは、1875年以来、1度もないそうだ

クレア・ライフ・パートナーズの発表によると、2022年のウイスキーカスク市場の年間資本成長率は平均14.59%を記録しているという。

具体的に、すでに28年熟成した「ボウモア 1990ブルーチップカスク」を2016年に2,168万2,440円で購入したケースでは、熟成を3年進めて2020年に売却したところ、5,176万800円になったという。3年ちょっとで倍以上の金額になっているから驚きだ。

樽を買って保有するだけ?

ウイスキーカスク投資を始めるには何から手をつければいいのか。主な手順はカスクを選び、保有するという非常にシンプルなものだ。ただ、ウイスキー樽には膨大な数の種類があるため、成長を見込める樽を選定する目利きと情報収集が欠かせないという。

大前提として、投資できるのは、世界中にある各蒸留所が投資対象として開放しているウイスキー樽に限られる。どこのウイスキー樽なら投資できるのか、初歩的な情報収集は絶対に欠かせないと同時に、基本情報を知ることがウイスキーカスク投資への入口になる。

成長が見込める樽を選定する場合は、次のような指標が参考になるという。

一般的に、0~3年とあまり熟成が進んでいないウイスキー樽(ニューメイクと呼ばれる)は安価に購入できることが多く、リターン率も高めだが、その分、保有する期間も15年以上が目安になるなど長期戦となる。ただ、15年以上保有さえすればそれなりのリターンが見込めるので、初心者にもオススメとのことだった。

対して、すでに20~30年ほど熟成が進んでいるウイスキー樽(プレミアムと呼ばれる)は高価な上、リターン率が低め。保有期間も5年程度が目安となることが多い短期戦だが、熟成が進んだ樽は高価なため、売却時に買い手が見つかりにくいこともあり、上級者向けといえる。

必ず失敗する人の共通点とは?

樽の購入が決まったら、熟成させるための保有期間に入る。年間約2万円程度の保管料と保険料を支払う必要こそあるが、基本的には何もする必要がない。ただ、その間、自身が保有するウイスキーのサンプルを取り寄せて堪能したり、旅行をかねて樽が保管されている保税倉庫を訪問したりするといった楽しみ方ができるのも、ウイスキーカスク投資の魅力だ。

樽を売却する段階になったら、市場価値を分析する会社に調査を依頼して売却する。売却先(買い手)はかなり豊富にあり、ウイスキーカスク投資家や原酒を必要としているバイヤー(ボトラーズ)、樽の管理会社、蒸留所などさまざまだ。

ただ、投資に絶対はないというように、ウイスキーカスク投資にも利益率が伸び悩むことがある。主な理由は以下の通り。

ひとつは「アルコール度数が40度を切ってしまう」こと。アルコール度数が40度を切ってしまうと、スコッチウイスキーとして販売ができなくなってしまう。

「対策としては、正常に熟成しているかを確認する定期的なリゲージ(再測定)を行うことです。リゲージの目安は熟成具合に応じて5年あるいは10年に1回。自分で依頼するか、樽の管理会社から連絡がある場合もあります」(担当者談)

地政学的情勢不安によって「世界的にウイスキーを嗜んでいる場合ではない状況になる」こともリスクだ。実際、第二次世界大戦のときにはウイスキーの需要がかなり落ち込んだという。

とはいえ、こうした事態が発生する可能性は低そうだ。

  • ウイスキーカスク投資「ウイスキーボトルとポットスチル」

    実物資産だからこそのリスクをしっかりと理解することが、ウイスキー投資で損をしないために必要不可欠だ

  • ウイスキーカスク投資「ラガヴーリン16年」

    個人的によく飲んでいる「ラガヴーリン16年」。残念ながらラガヴーリン蒸留所の樽は投資として開放していないらしい

とはいっても、ウイスキーカスク投資で損をしている人も当然いる。その人たち全員に共通している特徴は、買って半年や1年という短い期間で売ってしまっていること。保有期間が短ければ熟成が進まないので、利益を得ることは難しくなる。

もちろん、どんな樽を何年保有したかで投資の結果も変わってくるし、さらには、インフレなどの情勢によって損益は大きく左右されるが、比較的、安定して利益を生み出せるのは確かなようだ。当然、投資である以上、損する可能性があることも覚悟しておくことは絶対に必要だ。

  • ウイスキーカスク投資「メーカーズマーク」

    樽への投資ではないが、瓶詰め本数が限定された希少なウイスキーも今後、価値が高まるといわれる


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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