「ヴィンテージTシャツ」の世界が盛り上がっているようです。どんなTシャツが人気? 実際、どんな価格になっている? ひょっとすると、私たちのタンスにも「お宝」が眠っている? 東京・原宿にあるヴィンテージTシャツ専門店「01:00ne」(ワン)の代表取締役・多田周平さんに話を聞きました。
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いつから盛り上がり始めた?
ヴィンテージTシャツの人気が急激に高まり、取り引き価格も急騰している。そんな話をテレビや雑誌などのメディアでよく見聞きするようになりました。盛り上がりの発端は数年前。10代~20代の若者がバンドTシャツを好んで着用することがメディアで取り上げられ、話題になったのがきっかけです。
「4~5年前はロックバンド好きが中心でしたが、ここ数年はファッション好きにも認知されています。ジャスティン・ビーバーやトラヴィス・スコットといった海外アーティストが、ハイブランドの洋服とヴィンテージTシャツをミックスした着こなしを流行らせ、興味を持つ人が増えました」と多田さんは振り返ります。
価格も急騰しています。多田さんに最近の値動きを聞くと、価格の上がり幅が最も大きかったのが2025年で、「バンドTシャツのメジャーなものに絞ると、それまでの2~3倍」の価格で取り引きされるようになったそうです。2~3万円だったTシャツが5~6万円に上がるケースはざらで、中には、2年前に100万円だったTシャツが昨年は300万円、あるいは600万円で売れるケースも。グラム単価でいえば、希少なヴィンテージTシャツが金(貴金属のgoldです)より高かった時期もあったのでは? と多田さんは話していました。
なぜ高額化?
高額化の理由は世界的な人気とTシャツ自体の希少性にあります。流通ルートが限定されていたり、特定の会場だけで販売されたりしたTシャツは、特に高値で取り引きされます。
その中でも、人気ロックバンド「ニルヴァーナ」のTシャツは知名度も高く、高値で取り引きされるケースが多いそうです。
さらに、「ブートレグ」とよばれる非正規品も高額化しています。多田さんによると、「ライブ会場の駐車場で販売されていたような(非オフィシャルな)Tシャツが、今では評価されているケースもあります」とのこと。
ブートレグは当時(1990年代が多かったそうです)、ファンあるいは商売人が、イベントを訪れるファンに販売するために作ったアイテムがほとんど。誕生の背景としてはグレーな点もありそうな感じですが、オフィシャルグッズではない分、それだけ希少な品物でもあり、中にはコアなファンの熱量が込められたものも存在します。当時はかなり安く買えたのではないかと思うのですが、今では激レアなアイテムとしてヴィンテージTシャツの世界で人気を集めているのです。
資産価値としてはどうなの?
高価なヴィンテージTシャツの購入者について聞くと、多田さんから意外な話が聞けました。「ハイブランドファッションの購入に疲弊した方」がけっこういる、というのです。
「ハイブランドはシーズンごとに新作が出て、型落ちを嫌がる人が多いんです。ヴィンテージTシャツはそもそも型落ちが前提なので、時期を問わず着続けられます」
ハイブランドが出すトレンドを押さえたアイテムを毎年買う。去年の服は、もう着ない。そんなサイクルに疲れた人たちにとっては、古びない(あるいは、すでに古びている)ヴィンテージTシャツが魅力的なのかもしれません。
では、ヴィンテージTシャツの資産価値はどうなのでしょうか。「ハイブランドのアパレルは、次の年になると購入時の2~3割しか価値が残りませんが、ヴィンテージTシャツなら価格上昇の可能性もあり、購入時より安くなったとしても、6~7割で売却できることがあります」と多田さんは語ります。
ヴィンテージTシャツの大きなメリットは、着用して汚れや穴ができても、価値があまり変わらないことにあります。これを多田さんは「着ながら楽しめるアート」と表現します。
「古さを好む人が多く、色褪せも魅力。Tシャツとしての機能さえ残っていれば、普通の衣類と同じように扱って問題ありません」
個人的な意見をいえば、腕時計や不動産と比べると、衣類は耐久性に劣り、資産価値としてはどうなのかな? という気がします。しかし、汚れていてもほつれていても価値が下がらないのであれば、着て楽しめるアート投資としても十分に成り立つと思います。
日本での循環マーケットを形成したい
店舗には数え切れないほどのヴィンテージTシャツが並べられています。どのように仕入れているのでしょう?
「アメリカが最も安くて品数も豊富なのですが、相場が上がり、日本と同じくらいになってきました。渡航費、運賃を考えると、タイやインドネシアに買い付けに行くことが多くなりました」
現在は日本国内での買い取りにも力を入れ、国内で循環するマーケットの形成を目指しているとのこと。コレクターが増え、売り先に困るような状況になりかけていたため、最近は買い取りや委託販売にも注力しているそうです。
オンラインやポップアップストアでの販売を行ってきた01:00neが東京・原宿に実店舗をオープンしたのは昨年のこと。インターネットで何でも買えてしまう時代だからこそ、実店舗での購入体験を高めていきたいといいます。
「Tシャツ好きの仲間やスタッフと談笑しながら、どのように自分のファッションに取り込んでいくか、試着しながら楽しめる店作りを目指しています。他店にはない豊富な在庫と良質なヴィンテージTシャツをたくさん取りそろえておりますので、足を運んでもらえると嬉しいですね」
ヴィンテージTシャツの状態やサイズ感は「一点物」に近いと多田さん。その中から自分の好みに合ったデザイン、サイズ感のアイテムを探すのがだいご味だといいます。Tシャツに詳しくなくても大歓迎とのことなので、少しでも興味がわいたら、一度は店舗を訪れてみる価値がありそうです。お店の商品は1万円台からそろっているそうなので、ヴィンテージTシャツデビューの敷居はそれほど高くありません。
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ヴィンテージTシャツのことなら、なんでも相談してほしいと多田さん。ちなみに、この日の着用アイテムは「古いクロムハーツ」のスウェットで、「袖なんかもパンクしまくっているのですが、ヴィンテージを売る人間としては、このくらいの方が個人的には好みです」とのことでした
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店名の「ワン」には「業界No.1」と、店と客のコミュニティが「1つ」になるという意味を込めたそう。「01:00」という表記にしたのは、時間が経過してもいいものを届けたいという意志を表すためとのことです
実家のタンスに埋蔵Tシャツあり?
最後に、私たちの自宅あるいは実家のタンスの奥に、お宝が眠っている可能性はあるのでしょうか。昔行ったライブで、ノリで買ったTシャツをビニール袋に入れたままにしている……こういう人は、かなり多いはずです。以下、多田さんのコメントを紹介します。
「ぜんぜん、あると思いますね。例えば、アメリカの映画の制作会社の倉庫から、昔の映画のTシャツがまとまった量で出てくる、ということがいまだにあるので、それを個人のご家庭というところにあてはめると、まだまだ、ぜんぜんあると思います」
過去に買った映画のDVDに「付録」のような形で付いてきて、今でも実家で「デッドストック」の状態で保管しているTシャツについて詳しく話すと、「それは珍しいですね……かなり価値が付くかもしれません」と多田さん。こういう形で眠っている「埋蔵品」は、日本全国の家庭単位で考えると、ものすごい量に達するのではないでしょうか。「2軍落ち」を経て「パジャマ」になってしまっているTシャツも、実は貴重なアイテムだったりするかもしれません。
ご家族あるいは年上のご親族に音楽好き、映画好きがいるという方は、念のため、次に会った際に「当時のTシャツとか、持ってない?」と聞いてみることをオススメします。








































