2026年2月3日に行われたIntel Connection Japan 2026のAI PC分科会のトリを務めたのはトヨタ・コニック・プロ社の福田智久氏だ。トヨタ・コニック・プロでは2022年に全社員に「Intel Core 7でRAM16GB、ストレージ256GB」というそれなりのパソコンを貸与していたが、Windows 10 EOLに加え、現行機の不具合頻発が全面リプレースの決め手となったという。
まだ使えるはずのパソコンがWindows 10 EOLとAI時代で陳腐化
トヨタ・コニック・プロ社はトヨタと電通グループが出資するトヨタ・コニックホールディングスの100%子会社で従業員は700名程。「ユルいのは会社のロゴだけ(福田氏)」という同社はトヨタグループのブランディングとモビリティ領域の新ビジネス創造を行う企業だ。会社名は知らなくても「トヨタイムズのプロデュース・運営を行っている会社」と聞くと親会社がトヨタと電通と言うのは納得できる。
この会社が前回貸与PCをリプレースしたのは2022年の事。企業系パソコンでよくある「Core i7でメインメモリ16GB、ストレージ256GB」というスペックだそうだ。これならば部署によって不満があるかもしれないが「4~5年は使える」はずだろう。
この目論見は二つの理由で崩れてしまった。一つはWindows 10のEOLだ。サポート費用を払って延命する事も検討したが「ブランディングなどの機密情報を扱う企業でWindowd 10を延命するのは問題がある」と判断された。
リプレースを決断したもう一つの理由は「ChatGPTの登場に伴うAIブーム」だ。トヨタ・コニック・プロでは2024年にAI導入の検討と次期PCの検討を開始した。
AI導入検討時にMicrosoft 365 CopilotのPoCを行ったが、ここで問題が発生した。現在のパソコンではスペック不足なのか「Teamsで相手と会議中に画面共有をするとCPUファンが回り出してその会議に流れてしまい『(ファンの音がうるさくて会話に支障が出るので)画面共有しなくていい』」と取引先から言われる事もあったという。また、AI利用に伴うデータ量増大でストレージ不足という問題も出てきた。
「次期貸与パソコンをAI PCにするか否か?」という課題に対し、「非AI PCにした場合、再リプレースを行うであろう2029年まで社員をAIを使えない環境に閉じ込め、社員の成長を止めてしまう」と判断した。4年間成長を止めた場合、取り戻すのが困難であると判断し、AI PCにする事を決断したという。
機種に関しては以前からハイブリッドワークを推奨しており、コロナ前からSIM内蔵PCを使用していた事、持ち歩くことで低消費電力の要求が高い事、CPU/GPUの負荷が高い部署もあるので性能が高く、社内システムを止めない実績からインテルCPUを採用することを決意した。
情報収集やテスト端末を借用してのテスト、NPUの性能とセキュリティレベルの高さから(第二世代Core Ultraの)vPROモデルということとなり、Core Ultra 7プロセッサーを搭載したPCでメモリは32GB、ストレージは1TBに全社員共通で貸与するという。同じスペックなのは「あの部署はハイスペックだけど、うちの部署は中ぐらい、みたいな格差を作りたくない。AIをみんなが使う環境にしたい」と意図を説明した。
一方調達方法やキッティング、配布方法を見直すことによってその部分のコストダウンを本体グレードを上げる事にした。
現在のAI活用はPoCを経て、全社員にCopilotのライセンスを付与。これもみんなが使う環境にする意図がある。PoC参加者に関してはアンバサダー向けの講習を追加で行い、他の社員に対しても初級の講習を実施した。
全社員がAIを使う気になれば使える環境を確保したうえで、AIを使って仕事を楽にすることを体感してもらい、さらにAIへの関心と理解・利用を進め、業務にAIを活用するフェーズへ移行したいと福田氏は述べた。
不確実な現代だが「AI時代が到来する」のは明白なので、その未来に備えた対応が必要だ。企業にとってAI戦略は生き残りのための「経営の再定義」と位置付けており、そのためにはAI PCの導入が第一歩であるとまとめていた。








