セイコーエプソンは、2025年度第3四半期(2025年4月~12月)の連結業績を発表した。売上収益は前年同期比2.0%増の1兆438億円、事業利益は同13.7%減の637億円、営業利益は同7.1%減の583億円、税引前利益は同12.6%減の587億円、当期利益は同25.2%減の354億円の増収減益の決算となった。
また、第3四半期の3カ月間(2025年10月~12月)の業績は、売上収益は前年同期比7.7%増の3765億円、事業利益は同15.0%増の264億円、営業利益は同2.5%減の272億円、税引前利益は同18.6%減の280億円、当期利益は同30.4%減の168億円となった。
セイコーエプソン 執行役員 経営管理本部長の水上昌治氏は、「中国や欧州などで軟調な需要が継続したものの、社内計画を若干上回る実績となった。なかでも、プリンティングソリューションズやマニュファクチャリング関連・ウエアラブルは堅調に推移した一方で、ビジュアルコミュニケーションは、厳しい事業環境の影響を受け、教育やイベント向け案件が減少した。前年同期に対しては米国関税の影響を受けるなか、円安の進展により、為替のプラス影響もあり、増収減益となった」と総括した。
社内計画に対しては、売上収益で約150億円、事業利益で約40億円の上振れになったという。ビジュアルコミュニケーションは計画に未達だったが、プリンティングソリューションズは一部顧客からの受注増があり、想定以上に推移。マニュファクチャリング関連・ウエアラブルは計画に沿って推移した。
第3四半期(2025年10月~12月)のセグメント別業績は、プリンティングソリューションズ事業の売上収益は前年同期比8.5%増の2770億円、セグメント利益は同4.1%増の346億円。そのうち、オフィス・ホームプリンティングの売上収益は前年同期比3.1%増の1899億円、セグメント利益は同18.8%減の161億円。内訳は、SOHO・ホームIJP(インクジェットプリンタ)の売上収益は前年同期比3.4%増の1504億円、オフィス共有IJPの売上収益は前年同期比6.8%増の229億円となっている。
「SOHO・ホームIJPは、先進国では低調な市場環境が継続したことで販売台数が減少。だが、新興国では大容量インクタンクモデルの堅調な販売が継続した。本体の販売台数は社内の計画が予想を上回ったほか、販売価格は全体的には安定的に推移し、前年同期並みとなっている。インクの販売も予想を上回っている。オフィス共有IJPは、西欧や北米での販売が減少したものの、日本や南米、中東、アフリカなどで順調に拡大した」という。
商業・産業プリンティングの売上収益は前年同期比22.5%増の872億円、セグメント利益は37.6%増の185億円となった。そのうち、商業・産業IJPの売上収益は前年同期比27.9%増の662億円、小型プリンターほかの売上利益は同8.2%増の210億円となった。
「商業・産業IJPでは、2024年12月に買収したFieryが加わったほか、完成品やプリントヘッド外販の増収が貢献。完成品は顧客の投資抑制が継続しているが、フォトやサイネージ、ラベルなどで、エントリーモデルや新製品の販売増加があった。プリントヘッド外販は、主要市場である中国向け需要は回復には至っていないが、前年同期には生産設備の切り替えのため、出荷調整を行っており、今年度は販売が増加している。小型プリンターほかは、欧米の主要地域での安定的な販売が継続している」という。
ビジュアルコミュニケーション事業は、売上収益は前年同期比7.0%減の474億円、セグメント利益は同61.8%減の31億円。「プロジェクターが、教育やイベント向け案件の減少に加えて、ホーム領域でも減少した。米国関税の影響もあり、売上収益およびセグメント利益とも社内計画には未達だった」という。
マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業では、売上収益は前年同期比18.2%増の523億円、セグメント利益は前年同期の24億円の赤字から、28億円の黒字に転換した。
同セグメントのうち、マニュファクチャリングソリューションズの売上収益は前年同期比15.5%増の63億円、ウエアラブル機器の売上収益は前年同期比2.7%増の101億円、マイクロデバイスほかの売上収益は前年同期比12.5%増の295億円、PCの売上収益は前年同期比83.1%増の70億円となった。
「マニュファクチャリングソリューションズは中国での案件獲得を着実に進めて増収。ウエアラブル機器は、堅調な販売が継続。だが、貴金属などの原材料費の高騰が影響した。マイクロデバイスほかは、地域やアプリケーションによって強弱はあるが、ビジネス機会を着実に捉えている」としたほか、「PCは、Windows 10のサポート終了に伴う需要が増加したものの、前年同期に会計処理見直しによるマイナス影響があったことが影響した」という。
一方、2025年度通期(2025年4月~2026年3月)の業績見通しを修正し、売上収益は11月公表値に比べて200億円増額の前年比2.0%増の1兆3900億円、事業利益は据え置き同16.3%減の750億円、営業利益は40億円増額の同10.8%減の670億円、税引前利益は90億円増額の同13.3%減の680億円、当期利益は据え置き同25.7%減の410億円とした。売上収益の上方修正は今年度2回目となる。
「第4四半期は厳しい見方をしているが、為替を円安前提に見直したことで、売上収益の計画を引き上げた。オフィス・ホームIJPやマイクロデバイスが堅調に推移する一方で、ビジュアルコミュニケーションは、厳しい市場環境が継続すること、プリントヘッド外販が中国市場での需要回復時期を先に見直したことを織り込んだ」という。
また、事業利益の増減要因については、販売数量は、ビジュアルコミュニケーションやプリントヘッド外販などでの市場回復の遅れを反映。価格は、オフィス・ホームIJPなどで価格低下を想定したが、前期並みに推移する前提に見直したことがプラス要素となった。部材や輸送費については、貴金属などの原材料費高騰の影響を反映したという。また、在庫削減に伴う利益マイナス影響の増加や、固定費の増加を反映。米国関税コストは最新の関税率を反映したことで減少したという。
部材価格高騰の対象となる貴金属は、金、銅、銀が対象になり、金は水晶デバイス、銀は時計のムーブメントでの使用が多いという。数億円レベルの影響だという。
メモリなどの調達価格の高騰については、「プリンターなどにメモリが入っているため影響がある。まずは、必要量を調達することが大切である。影響が出てくるのは2026年度になるだろう。いつまで続くのかは予測ができない。値上げなども考えているが、検討段階にある」と述べた。
セグメント別の見通しでは、プリンティングソリューションズ事業は、11月公表値に比べて、売上収益は260億円増額の前年同期比3.5%増の1兆140億円、セグメント利益は60億円増額の同10.3%減の1120億円とした。「大容量インクタンクモデルは、新興国を中心に堅調な需要が継続しており、販売台数の増加を見込む。販売価格は前回予想では低下する想定だったが、前期並みに推移する前提に変更した。商業・産業プリンティングは為替前提を見直したことで上方修正した」という。
なお、2025年度のインクジェットプリンタ本体の販売台数は、11月公表値に比べて45万台上方修正し、年間約1700万台とした。前年度実績の1660万台を上回ることになる。そのうち、SOHO・ホーム向け大容量インクタンクモデルは11月公表値に比べて25万台増加させ、約1355万台とし、構成比は約80%とする。また、SOHO・ホーム向けインクカートリッジモデルは20万台増加させて約305万台とした。オフィス共有IJPは年間約40万台の計画を据え置いた。
ビジュアルコミュニケーション事業は、売上収益は60億円減額の前年同期比12.2%減の1790億円、セグメント利益は30億円減額の同55.2%減の130億円。「厳しい市場環境の継続を見込んでおり、計画を引き下げる」とした。プロジェクターは、2025年度の年間販売計画を、11月公表値から5万台減少し、約130万台とした。2024年度実績は約155万台だったことに比べると13%減となる。だが、「プロジェクターは、大型スポーツイベントの影響でデマンドが高まる傾向があるため、その点には期待している」と述べた。
マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業の売上収益は10億円増額の前年同期比10.2%増の2000億円、セグメント利益は20億円減額の110億円とし、黒字転換を図る。「マイクロデバイスの売上げ拡大が継続することを前提としている」という。
なお、セイコーエプソンの水上氏は、「現在、次期長期ビジョンと中期計画を検討しており、別途、説明会を実施する。長期ビジョンは、エプソンの強みである省・小・精の技術を生かすことを念頭においたものになる。また、中期計画は、成長戦略と資本効率の追求を両輪とする」と位置づけた。






