iPhoneの機種変更は、iOS 12.4のとき提供が開始された「クイックスタート」により激変しました。新旧のiPhoneを近くに置くだけで、これまでiPhoneに蓄積されたデータや各種設定をワイヤレス転送できるようになり、機種変更にまつわる手間は大幅に軽減されています。

しかし、クイックスタートは「iPhoneの複製」ではありません。新旧iPhoneにおけるiOSのバージョンが異なることもあり、転送されるのはシステムの設定情報にとどまります。アプリも設定情報や作成済データが新しいiPhoneへ転送されるに過ぎず、サードパーティ製アプリはApp Storeから本体を再ダウンロードする必要があります。

特定の端末でしか利用できない機能にも注意が必要です。たとえば、交通系ICカードは1台の端末にしか登録できない運用ルールがあるため、旧iPhoneのウォレットアプリから削除し情報を交通系ICカード運営会社のサーバへ退避させたあと、新iPhoneで登録し直す必要があります。クイックスタートを実行するだけでは、交通系ICカードは引き継げないのです。

Bluetoothイヤホンも同様です。イヤホン/ヘッドホンやキーボードなどのBluetoothデバイスは、「ペアリング」と呼ばれる登録手続きを行うことで利用可能になりますが、ペアリングはデバイス固有の48ビットアドレスを相互に識別したうえで行われるため、iPhoneを機種変更した場合はペアリングをやり直さなければなりません。クイックスタートでBluetoothイヤホンの設定は引き継がれないのです。

ただし、AirPodsなどApple製BluetoothイヤホンはiCloudに設定情報を記録しており、同一のApple IDでサインインすれば新iPhoneでもすぐに利用できます。慌てず確認してみましょう。

  • ペアリングしたBluetoothデバイスなど、クイックスタートの転送対象にならない情報もあります

    ペアリングしたBluetoothデバイスなど、クイックスタートの転送対象にならない情報もあります