2026年のCESに出展したLGエレクトロニクスは 「Zero Labor Home=家事負担ゼロの家(暮らし)」という、AIホームの近未来の理想型を打ち出しました。ヒューマノイドロボットの「CLOiD」(クロイド)もお披露目したLGのブースをレポートします。
LGホームは、家事にかかる時間と手間からユーザーを解放する
LGには70年以上、世界中でさまざまな生活家電を展開してきたグローバルリーディングブランドとしての自負と自信があります。インターネットにつながる「スマート家電」も、2010年代中頃からThinQ(シンキュー)シリーズを韓国や欧米に展開し、スマホやスマートスピーカーで遠隔操作ができる生活家電の未来をリードしてきました。
だからこそ「LGには他社にはない、生活者の暮らしに関する豊富なデータの知見がある」と語るのは、2025年11月にLGエレクトロニクスの新しい最高経営責任者(CEO)に就任したリュ・ジェチョル氏です。CES開幕前日に開催したプレスカンファレンスで、ジェチョル氏はLGが描くAIホームのビジョンとして、同社が提供するサービスやテクノロジーを通じて「ユーザーに大切な時間を取り戻してもらうこと」であると述べています。
具体的には「家事からの解放」と、スマート家電がユーザーの暮らしをさりげなく見守る「アンビエント・ケア」のコンセプトです。特に、デバイスと生成AIが連携して、ユーザーが家事にかける負担を心身ともに軽減するために、AIを搭載する生活家電とともに、ユーザーに成り代わって家電を操作・使いこなしてくれる“指揮者”としてのヒューマノイドロボットを提案。そのコンセプトモデルである「CLOiD」(クロイド)を、2026年のCESでお披露目しました。
振り返ってみれば、LGは2018年のCESで「CLOi(クロイ)」という、ユーザーと“おしゃべり”をしたり、簡単な家電の操作を引き受けてくれるコミュニケーションロボットを発表していました。このクロイさんをベースに、より人間に近いフォルムに仕上げたヒューマノイド(人型)ロボットが最新のCLOiDさんです。まだ商品化の予定はなく、今年のCESでは家庭用ロボットのコンセプトモデルとして披露されました。
LGのアクチュエーターの技術を活かしたヒューマノイドロボット
実は、LGは業務用・産業用のロボットにも積極的に進出してきた会社です。LG CLOi ServeBot、CLOi GuideBotといった配膳や空港の施設案内、受付・誘導といったサービス業務に携わる補助するロボットが、すでに人と一緒に社会の中で活躍しています。2025年1月には、米国のロボティクス企業であるBear Roboticsに対して過半数株式を取得し、経営権を握るパートナーシップに発展しています。
ロボットの性能を決めるとも言われている「アクチュエーター」という、電気の力をロボットの関節部分の動きであるトルク(ねじり・回転の力)に変える部品についても、LGには豊富な知見があります。2026年のCESでは、新しいアクチュエアーターのブランドとして「LG Actuator AXIUM」(アクシウム)も立ち上げています。同社のロボットにだけでなく、アクチュエータを外部パートナーにも提供することで、今後のロボティクスに関連するテクノロジーの発展を支える姿勢を前面に打ち出しています。
筆者がLGのブースを取材した際は、まだプレス限定のプレイベント期間だったこともあり、ブース内に十分なスペースがありました。そのため、複数のCLOiDが道案内をしたり、デモンストレーションゾーンで洗濯物をたたむ様子などを見ることができました。動画を撮ってきたのでご紹介します。
【動画】ブースをガイドするCLOiD。コミュニケーションはまだCLOiDからの“一方通行”でした
【動画】洗濯物をたたむCLOiD。手つきはゆっくりですが正確です
CLOiDには、ユーザーとおしゃべりしたり、LGのThinQシリーズを中心とするスマート家電を操作する機能などを追加することが、今後も継続的に検討されているようです。LGが外部パートナーと共同開発するチップセットを頭脳として備えながら、その時々で最良のLLMを組み合わせて生成AIに関わる「できること」も今後増やしていくそうです。デザインは最終形ではありませんが、今回お披露目されたCLOiDは、人と一緒に暮らせるヒューマノイドロボットの豊かな可能性を感じさせてくれるロボットでした。
本体の厚さがわずか9ミリの有機ELテレビが誕生
このほかにも、2026年のLGのブースでは、本体の薄さがわずか9ミリという“True Wireless Wallpaper TV”を銘打つ有機ELテレビのフラグシップ「LG OLED evo W6」が発表されました。LGは、超薄型と銘打つ「Wallpaper Design」の有機ELテレビを2017年に発表しています。Wallpaper(壁紙ほどに薄い)を特徴に掲げるプロダクトラインが、今年あらためてリブートした格好です。CESのブースのエントランスでは、38台のevo W6を並べたビデオインスタレーションが来場者を歓迎しています。
evo W6は本体を薄くする代わりに、チューナーや入出力端子を「Zero Connect Box」という外部筐体にまとめました。パネルに搭載する新しい映像エンジン「α11 AI Processor Gen3」が、映像の明るさや色合い、解像度などを最適化しながら、コンテンツに合わせて常にベストクオリティの映像を表示します。ゲームをプレイする際、画面のリフレッシュレートを最大4K/165Hzまでブーストする機能も、同社のゲーミング用ディスプレイの開発から得た知見をもとに投入されています。
「LG Gallery+」という、テレビのユーザーのために4,500種類を超えるデジタル画像のコレクションを提供するサービスもあります。evo W6を壁掛け設置にしておけば、コンテンツを視聴していない時にはテレビを絵画のように楽しむことができます。
LGは韓国や中国、欧米で、冷蔵庫や洗濯機など地域のユーザーのニーズに応える仕様を盛り込んだ、さまざまなカテゴリーの生活家電を展開しています。そのプレミアムレンジである「LG SIGNATURE」シリーズが、2026年にはデザインコンセプトが異なる3つのシリーズに拡大します。落ち着いた雰囲気の「Seamless」、スタイリッシュさを強調した「Iconic」、ラグジュアリー感を高めた「Tailor」が、それぞれユニークな機能を持つ冷蔵庫や洗濯機など同一カテゴリーに渡って幅広く揃います。
CESで発表された製品は先に韓国で発売され、米国に導入される時期は今年の後半以降になりそうです。生活家電のニーズには地域差があるため、LG SIGNATUREの豪華なラインナップをそのまま日本市場に投入することは難しいかもしれませんが、フロントドアに透過型OLEDを搭載して、冷蔵庫の中にある食材をもとにした料理のレシピ提案などを考えてくれるスマート冷蔵庫は日本でも人気が出そうな気がします。
2026年のCESのLGブースは、地に足をつけながら発展してきたスマート家電とテレビの最新ラインナップと、イノベーティブなヒューマノイドロボットが一堂に集まる豪華なコンテンツが盛りだくさんでした。









