マウスコンピューターが毎年夏に開催している「親子パソコン組み立て教室」が、今年も"夏休み"にあわせて、8月14日と15日の2日間にわたり開催された。全国の小学6年生親子が参加募集の対象で、親子で力を合わせて「自分だけのパソコン」をつくりあげる体験イベントだ。マウスコンピューターの軣秀樹社長は「未来のためにも、子供たちに"ものづくり"の体験の場を提供したかった」と開催の意図を話す。開催当日の様子をレポートしたい。

  • マウスコンピューター飯山工場の様子。この実際の生産設備を利用して「親子パソコン組み立て教室」が開催された。パソコンの組み立てや工場見学を通して、最新のIT技術やパソコンに関する理解を深めることができる。初開催は2010年ということで、すっかり夏の定番イベントだろう

    マウスコンピューター飯山工場の様子。この実際の生産設備を利用して「親子パソコン組み立て教室」が開催された。パソコンの組み立てや工場見学を通して、最新のIT技術やパソコンに関する理解を深めることができる。初開催は2010年ということで、すっかり夏の定番イベントだろう

「親子パソコン組み立て教室」は、マウスコンピューターが小学生親子を対象に開催している毎年夏の恒例イベントだ。会場となったのは同社の生産拠点である長野県飯山市のマウスコンピューター飯山工場。参加者は、実際にパソコン生産で使用している同工場内の設備を利用して組み立てを体験する。

  • マウスコンピューターの軣秀樹社長。「親子パソコン組み立て教室」を通して「子供たちに"ものづくり"を体験してほしい」と話していた

  • 豊かな自然をたたえる長野県飯山市。最近は新幹線の駅もでき、より観光しやすくなった。一方で良好な人的資源や流通網により、古くから製造業の工場が集積。ここにマウスコンピューターの生産拠点、飯山工場がある

開幕にあたり、主催者挨拶としてマウスコンピューターの軣秀樹社長が登壇。来賓に飯山市の市政関係者らも駆けつけ、子供たちとその保護者にものづくりの価値や、自然豊かな飯山市の魅力を話した。

  • 飯山市副市長の伊東ゆかり氏が、全国から集まった親子に挨拶

  • 今回のパソコン組み立て教室の横尾校長先生が開幕を宣言

そして教室がスタート。まずは「座学」からで、基本的なパソコンの仕組み、どうやって動作しているのか、それぞれの部品にどんな役割があるのかの講義が行われた。パソコン生産の実践に備えて、ドライバーの使い方といった基本的なことから、CPUの組み付け方といった専門的なことまで、組み立て方のレクチャーも行われた。なお、講師陣は飯山工場で働く現役のスタッフで、まさに現場のプロの知見に触れることができるものだった。

  • まずは「座学」から。座学と聞くと退屈で眠くなりそうだが、この教室の座学は一味違う。身を乗り出して講義に聞き入る子供たちの姿も見られた

  • パソコンの組み立て方のレクチャーだけでなく、パソコンを仕組みから学ぶことができる内容になっている。CPUやGPUの役割や、メモリやSSDが何をしているのかなど、かみ砕いて解説しており、わかりやすい

座学が終わればいよいよ組み立てだ。ここでは小学生親子の各組それぞれにサポート要員として、ここでもやはり飯山工場の現役スタッフ「先生」として付き添う。

最初のステップはパソコンを構成する部材のピックアップから。飯山工場での実際のパソコン生産に沿った手法で、各自が部材ピックアップ用の管理シリアル入りの「地図」を手に、コンテナを転がして工場内の部材倉庫を回る。最新のパソコンパーツの山から目当ての部材を探索する模様に、「宝探しみたい」という感想もあった。

  • 部材集め。特製の「地図」を片手に、コンテナを転がして工場内をめぐる

  • 地図には工場のマップに「お宝」の所在地が重ねられており、ついでに製品の管理シリアル&バーコードも添付

  • 細かい部材のストック場所では、地図のバーコードを読み込むと、お目当ての部材の場所を「点灯」で教えてくれるという仕掛け。実際の製品生産での部材ピックアップと同じ仕組みを体験できる

  • 工場内で、どんどん「お宝」を発見、収集して行く

  • これは確かに「宝探し」。工場のいたるところに高性能なパソコンパーツがゴロゴロ眠っている

部材が集め終わったら本番のパソコン組み立てだ。飯山工場で採用している「セル生産方式」に則り、各親子の生産ブースで部品からパソコンを組み上げていく。今年のイベントの2日間の開催日程は、大きく初日がデスクトップ型、2日目がノート型と分けられており、今回弊誌が取材したのはデスクトップ型の日だ。

  • いよいよ組み立て。パソコンの組み立て方や工具の使い方など、習ったばかりの知識をさっそく活かして完成を目指す

パソコンのスペックは各親子か事前に選んだものなので各自バラバラだが、傾向として、水冷ユニットや高性能GPUの選択率が高く、小学生の内はもちろん、中高生になっても、もっと言えばお父さんの趣味も入っていそうなゲーミングパソコンが多いように見えた。水冷ユニットの組み付けや、内部ケーブルの取り回しは小学生には少し難しそうだったが、そこは付き添う「先生」のアドバイスも受けながら、親子で協力して乗り越えていく。

  • この空っぽの箱が、世界でひとつだけの自分だけのパソコンへと変貌を遂げていく

  • 完成間近。部材の組み立ては終わり、最後に配線を整えたりシールを貼ったり仕上げの作業だ

そしてハードウェアが組み上がったなら、そこに魂を吹き込むソフトウェアのインストールと起動試験だ。組み立てブースから、これも飯山工場の生産と同様のインストールブースへとパソコンを移動させ、電源を入力。OSやドライバが走り出し、無事Windowsの起動画面が出現すると、喜びで思わず体が動いてしまったり、歓声を上げてしまう子供たちの姿が多く見られた。

  • 組み立てたパソコンをインストールブースへと運び、起動を確認。ついにパソコンの完成だ

  • 「世界にひとつだけの、自分だけのパソコン」が完成し、最後に校長先生から修了証書の授与式。きっと羨ましがられるので、お父さんに奪われないように頑張って使いこなしてほしい

マウスコンピューターの軣社長は、教室の開催にあたり、「夏休みの機会ということで、親子で楽しめる。子供にとって、親と一緒に自分も頑張ったという特別感のある記憶は、きっと長い間、思い出に残る。夏休みの自由研究の一環にも役立ててほしいと考えている」としたほか、「未来のためにも、子供たちに"ものづくり"の体験の場を提供したかった」と意図を話している。

  • マウスコンピューターの軣社長。教室の間、ずっと会場内を歩き回っていた

先にも触れた通り、この組み立て教室は、マウスコンピューターの特徴であるBTOであったり、複数の製品モデルに対応できる「セル生産方式」を学ぶことができる。軣社長は、セル生産方式に対し「古くからの生産方式であり、日本の"ものづくり"のスタートに近い生産。"ものづくり"の基本はセル生産だと思っている」と、工場の最適化の観点はもちろん、それを超えてセル生産に思い入れを持っているようにも述べていた。

  • 飯山工場は「ライン」ではなく「セル」であるから、ニーズにあわせた多品種BTOが可能になっている

軣社長は、今回に限らず、子供達に期待を込めて「多くの経験をしてほしい」と話している。なぜならば、「子供達のこれからの、将来の選択というのは、子供の頃からの経験から出てくる部分が必ずあると思う。だから、多くの経験をしてほしい。そして、その経験の中に、日本をささえる"ものづくり"の思い出があってほしい」と話している。

  • 今回の教室は応募抽選など少し参加ハードルが高いと感じるかもしれないが、マウスコンピューターでは、ほかにもキッザニア東京・甲子園で、それぞれ「パソコン工場」のパビリオンを設けていたりもする。こちらであれば、より気軽に"ものづくり"を体験できるかもしれない