ケーブルテレビの最新技術や関連製品の展示会「ケーブル技術ショー」が東京国際フォーラムで開かれた。ケーブルテレビ事業者向けの展示会ではあるが、ケーブルで常時ネットワークに接続されているメリットを生かした興味深い展示もいろいろ見受けられた。

  • 業界関係者でにぎわうケーブルテレビ関連の展示会「ケーブル技術ショー」。写真はJ:COMブース

J:COMブースでまず目を引いたのが、J:COMが個人向けに提供している一戸建て向けの防犯カメラサービスを、全国のケーブルテレビ事業者向けに提供する卸サービス。

特徴が、専用のネットワークカメラをJ:COMが販売ではなくリースで提供するので、ケーブルテレビ事業者がネットワークカメラの在庫を持たなくてよい点。さらに、ケーブルテレビ事業者が工事を委託している業者に対し、J:COMが工事のノウハウを提供すること。資本力が小さく、デジタルまわりの知識に乏しいケーブルテレビ事業者でもサービスを提供できる。

  • 防犯カメラサービスで提供するネットワークカメラ。人物を検知した際に光るLEDが大きく目を引く

  • 知識やノウハウ、資金の乏しい小規模のケーブルテレビ事業者に対し、J:COMがノウハウを積極的に提供する。ネットワークカメラの買い取りも求めない

J:COMブースでは、J:COMのネットワークを活用した外部企業のサービスや製品も紹介していた。QIZNALO(きづなろ)が開発を進めている「骨格診断プラットフォーム」は、自宅のリビングなどにAI搭載カメラを搭載し、居住者が転倒したことを検出するとオペレーターに通知が飛び、救急要請をしてくれるサービス。

このサービスで特徴的なのが、カメラがとらえた人物の画像をもとに骨格を検出し、骨格のデータをクラウドに送信して転倒検知に利用すること。映像をそのままクラウドに送信すればよいのではと思いがちだが、プライバシー保護のため人物が特定できる画像をそのままクラウドには送信しない流れになりつつある。それに対応すべく、骨格データに変換して送信するわけだ。

現時点では検出できるのは転倒検知に限られるが、今後は歩き方や歩く速度、重心の偏りなど日常のデータをもとに、認知症などの可能性を検出できる可能性があるという。

  • きづなろの骨格診断プラットフォーム。人物の動きを骨格データに変換し、リアルタイムでの転倒検知を可能にする

  • 室内に設置する専用のネットワークカメラ。録画機能を省いた代わりに、人物を骨格データに変換する機能を内蔵している

  • 将来的には、自覚症状のない認知症なども発見できるようにしたいという

もう1社、ZEROが展示していたのが、フードロスをうたうネットワーク接続型の冷蔵庫型自販機。賞味期限が近い、パッケージが変わった、パッケージ汚れなどの理由でスーパーなどで販売できなくなった食品を入れ、企業のオフィスや工場などに設置するサステナ自販機。アプリで購入手続きをするとフロントドアのロックが外れ、商品が取り出せる。

ロック解除の条件は自由に変えられるので、出社時間帯のみロックを解除して無料で飲み物を提供する、残業時間帯になったらロックを解除して軽食を提供する、といった柔軟な運用が可能。

  • ネットワーク接続型の冷蔵庫型自販機。ネットワーク経由でロックを解除できるほか、顔認証などでもロック解除できるという

  • ECサイトでの購入→受け取りを基本機能とするも、ロック解除の条件は自由にカスタマイズできるので、さまざまな利用シーンに対応する