米Mozillaは、4月29日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 138」をリリースした。
Firefox 138は、いつも通りFirefox 137から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 137では、2025年4月8日にマイナーバージョンアップの137.0.1が、2025年4月15日にマイナーバージョンアップの137.0.2がリリースされている。
137.0.1では、以下の修正が行われた。
- ファイルのアップロード中にWindows上のフォルダーショートカットが誤ってファイルとして扱われ、ターゲットフォルダー内のファイルを選択できない問題の修正
- ウイルス対策ソフトウェアの「Qihoo 360 Total Security」がインストールされている環境で、ファイルをダウンロードするときにクラッシュが発生する問題を修正
- 起動時にクラッシュする問題の修正
136.0.2では、以下の修正が行われた。
- 一部のmacOSにおいて、about:loginsでパスワードをエクスポートするときにファイル ピッカーが表示されない問題の修正
- 新しいPDF署名機能のアクセシビリティの問題の修正
- コンテキストメニューを使用してスタイルエディターに貼り付けると、コードが2回挿入される問題の修正
- Firefox 137で導入されたXSLTサポートの機能的な回帰問題の修正
- 一部のWindows環境でホバー時にツールヒントがちらつく問題の修正
- 一部のHTML5ビデオプレーヤーでクリックしてもFirefoxが反応しない問題の修正
- クリックイベントでPreventDefault()が呼び出されたときにラジオ入力が正しく動作しない問題の修正
- 一部の環境で、更新を完了するためにブラウザを複数回再起動する必要があった問題の修正
また、セキュリティアップデートで、
- nsHttpTransactionの競合状態によりメモリ破損が発生する問題
深刻度は2番目に高い「Highl」である。今回は、137.0.2からのアップデートとなる。
Firefox 138のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 138は、図2のようになる。
新規に、Firefox 138をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。
[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。
Firefox 138の新機能
続いて、新機能であるが、以下のとおりである。
- Firefox 138の新機能がプロフィール管理機能である。仕事、学校、休暇の計画など、オンライン生活を個別のプロフィールに分割することで、プライバシーを保護し、効率化するものである。個々のプロフィールに名前を付け、アバターやカラーテーマで簡単にカスタマイズして認識しやすくし、素早く切り替えることが可能になった。ブックマーク、タブ、閲覧履歴とは完全に分離されている。この新機能は、progressive roll outである。
少しやってみよう。アカウントボタン(〇に人のボタン)から[新しいプロファイル]を選ぶ。
プロファイルのカスタマイズモードとなるので、名前、背景、アバターなどを選ぶ。
図5の[プロファイルを管理]から、プロファイルの選択が可能になる。
図7は起動時にっ表示させることもできる。
- 米国のユーザーを対象に、アドレスバーで天気予報の候補の表示が可能に。天気関連の用語や都市名を入力するだけで、アドレスバーのドロップダウンに結果が直接表示される。この新機能は、progressive roll outである。
- タブグループが、すべての地域やユーザーで利用可能に。タブを別のタブにドラッグし、一時停止してからドロップすることで、タブグループを作成できる。また、タブバー上でタブグループをドラッグすることで、位置を変更が可能に。
- Windows 11上のFirefoxでは、ポップアップ ウィンドウにアクリルスタイルのメニューが使用されるようになり、オペレーティングシステムのルック&フィールに適合するように。
- MacOSおよびLinux版では、タブストリップのコンテキストメニューを使用して、バックグラウンドタブからリンクをコピー可能に。
プロフィール管理機能や天気予報の新機能(米国ユーザーのみだが)はprogressive roll out(段階的に実装される)であり、その恩恵をうけることができない可能性もある。この点には注意されたい。
セキュリティアップデート
同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベースで11件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が4件、4段階で上から3番目の「Moderate」が6件、4段階で上から4番目の「Low」が1件となっている。
「High」では、
- Firefox Updaterにおける権限昇格
- macOS版 でのWebGLシェーダー属性のメモリ破損
- クロスオリジンフレーム内での「javascript:」でURIリンクを使用した際にプロセス分離バイパスが派生
- Firefox 138、Thunderbird 138で修正されたメモリ安全性の問題
が対応された。すみやかなアップデートをすべきであろう。