米OpenAIは4月10日(現地時間)、AIチャットボット「ChatGPT」のメモリ機能を強化するアップデートの提供を開始した。対象はPlusおよびProプランのユーザーで、欧州経済領域(EEA)、英国、スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインを除く地域が対象となる。新しいメモリでは、ChatGPTが「過去の全チャット履歴」を参照し、よりパーソナライズされた応答が可能となる。

ChatGPTは、「カスタム指示」と「メモリ」を用いてパーソナライズできるようになっている。カスタム指示は、ChatGPTの振る舞いや回答の仕方などをユーザーが指示してカスタマイズできる機能である。一方、メモリはChatGPTが会話を通じて得たユーザーの情報(職業や興味・関心など)を記憶し、今後の応答に活用する機能である。例えば、会話でユーザーが記事を書く仕事であることを伝えると、記事作成やSEO対策に役立つアドバイスを前提とした回答が行われる。

新しいメモリ機能では、ChatGPTが過去の全ての会話履歴を都度参照できるようになり、これまで以上に個別最適化された対話が実現する。従来のメモリは、ユーザーのプロフィールや好み、行動パターンなどを把握する長期記憶に重点が置かれていたが、新機能では個々の会話内容もパーソナライズの対象となる。例えば、「昨日話した旅行計画の件だが」といった自然な会話の継続や、「先週末に話した内容をリストして」「以前おすすめされた本のタイトルは何だったか」といった依頼にも対応可能となる。これにより、ChatGPTとより自然に会話し、パーソナルAIアシスタントとして活用しやすくなる。

プライバシー保護および情報管理については、従来のメモリ機能と同様に、ユーザーが設定でオン/オフを切り替えられる。すでにメモリ機能を無効化しているユーザーについては、会話履歴の参照はデフォルトでオフとなる。

ChatGPTが記憶していることを調整したい場合、チャットで依頼すれば編集・削除が可能である。特定の会話でメモリ機能を使わずに利用したい場合は、「一時(Temporary)」チャットに切り替えることで、記憶を残さない状態でチャットが行える。一時チャットは、Web版では画面右上に表示される「一時」ボタンから有効にできる。モバイルでは、現時点でChatGPTアプリが一時チャット機能に対応していないため、一時チャットを利用するにはブラウザからChatGPTにアクセスする必要がある。