法人向け製品はほぼ出そろった? デスクトップはカスタマイズオプションが豊富

デル・テクノロジーズは、ビジネス向け製品となるDell ProおよびDell Pro Maxの新製品を発表しました。2025年からカテゴリ毎のサブブランド、たとえば法人向けノートパソコンならばLatitude、法人向けワークステーションならPrecisionを廃止。

個人/SMB向けのDell、企業向けのDell ProとワークステーションのDell Pro Maxの3ラインとして、それぞれを無印(BASE)、Plus、Plemiumの3グレードに分類してシンプルな名称にしています。

法人向けノートブックでいうと最上位のDell Pro Plemiumがすでに発表されていますが、今回はDell Pro/Dell Pro Plusのノートブックに加え、Dell Pro/Dell Pro Plusのデスクトップもタワー、スリム、マイクロとフルラインナップが出そろいました。さらにDell Pro Maxに関してもサーバーおよびノート計5製品を発表しました。

  • 今回発表された製品はかなり多めです。Dell Pro 14/16のマグタイトカラーモデル。説明では触れられていませんでしたが、低グレードのCPUとなります

  • Dell Pro 14/16のプラチナムシルバーモデル。こちらはCoreUltraやRyzen AIと上位グレードのCPUを使っています

  • Dell Pro Plus 13/14/16。Plusになるとアルミニウム筐体となり、グレードの差は歴然です

  • Dell Pro Plus 13

  • Dell Pro Plus 14。画面の幅が違うのにヒンジの下のキートップが同じなので、キーピッチが違うようです

  • Dell Pro Plemium 13/14。こちらは1月に発表済の製品です

  • Dell Pro 24 All-in-One。本体が邪魔なケースもあるのでAIO製品は根強い需要があります。ただ、モニターの寿命よりPCの寿命の方が一般に短いのが難点

  • そこでDell Proをピギーバックできるスタンドが登場。こちらはDell Pro Microをつけていますが、Slimに対応した製品が新製品となります(が、まだ見本が到着していないとのこと)

  • Dell Pro Slim。拡張性もソコソコあるデスクトップ製品も企業では強い人気があります

  • さらに大きなDell Pro Tower

  • 今回発表されたDell Proのデスクトップにはオプションモジュールを取り付けるスペースがあります

  • バックパネル側から見るとこんな感じ。HDMI出力オプションが付いていますが、様々なオプションが用意されており、今では工場や研究施設でしか使わなさそうなRS-232CやPS/2端子もありました

  • ワークステーションとなるDell Pro Max 14

  • Dell Pro Max 16。14/16共に今後NVIDIA RTX Pro 500クラスを搭載したモデルが予定されています

  • デスクトップワークステーションのDell Pro Max Micro

  • Dell Pro Max Slim

  • Dell Pro Max Tower T2。参考機なので右奥に見える電源は小容量もののでしたが、最大1500Wの電源まで用意されています

  • 昨年のAlienware aurora R16以降のデスクトップPCの電源ユニットでは12V出力しか用意されておらず、他の電圧はマザーボード内部で12Vから作成するようになっており、独自設計マザーボードとなっています

  • モバイルモニターのP1425。新製品になって16:10のアスペクト比で明るくなり、センサーが付いているので縦置きにすると自動的に縦長表示になります(注:右のパソコンのクローンモードなので中央しか写っていません)

  • 付属のUSB-Cケーブルはメーカー品としては珍しいL字コネクタケーブルで、ベース部分の幅を狭くしていることで縦置きでもケーブルは干渉せず、液晶部分にもゴム足がついているのが非常に良い作りです

  • P3425WT。UシリーズではないのでsRGB 99%対応のみですが、湾曲がゆるやかに設計されている点が特徴

  • 横から見るとあまり湾曲していないことがわかります。シネマやゲーミングの場合は従来製品をオススメしていました

冒頭、同社マーケティング統括本部 クライアント製品 ブランドマーケティング部長の佐々木邦彦氏がビジネスアップデートを説明。販売数は伸ばしたものの、シェアは0.5ポイント下落。昨年はSnapdragon製品も出荷が開始されAI PC元年といえる年になっています。

Q3に出荷された(NPUの入っている)Core Ultraの過半数がDELLが発売したもので、2024年にDELLが販売した40%程度が(NPUの入っている)Core UltraとAI PCの魅力を伝えつつ、製品を拡充すると説明しました。法人向けクライアント製品に関しては、Dell Pro MaxのPlus/Plemium製品を除いてラインナップが完成した感じです。

  • デル・テクノロジーズ株式会社 マーケティング統括本部 クライアント製品 ブランドマーケティング 部長 佐々木 邦彦氏

  • IDCの統計ではDELLの法人市場シェアは0.5ポイントダウンながら、世界第二位は保持。昨年はAI PC元年といえる年となりAI PCの出荷率は非常に高い

  • そこでDELLもAI PC、Copilot+PC、ディスクリートGPU搭載可能なDell Pro Maxとラインナップを強化

製品に関しては同社マーケティング統括本部 クライアント製品 ブランドマーケティング アナリストの倉田実奈美氏が説明しました。

  • デル・テクノロジーズ株式会社 マーケティング統括本部 クライアント製品 ブランドマーケティング アナリスト 倉田 実奈美氏

ノートブックではすでに発表済のDell Pro Plemiumに加えて、Dell Proで14/16インチでIntel/AMDプロセッサを使用した4モデル、Dell Pro Plusでは13/14/16インチでIntel/AMDプロセッサを使用した6モデルの10モデルを販売します。

ベースグレードとなるDell Pro 14/16はいわゆるプラスチック筐体ですが、ソリッドマグネタイト(黒)はレーザーテクスチャー仕上げ、シルバーはメタリック塗装仕上げとなっており、さほど安っぽさを感じさせない内容となっています。Pro Plusはアルミ筐体を採用です。

2025年Dell Proノートブック製品はすべて16:10アスペクト比のディスプレイで輝度300nitのパネルを使用しており、電源等の接続で酷使されるUSB-Cコネクタはねじ止めで半田付けをしないモジュラー型を使用。壊れにくさとメンテナンス性にメリットがあります。

  • Dell Pro Platinumはすでに発売済で、今回はDell Pro/Dell Pro Plus計10モデルを発売開始

  • すべて300nit以上と明るく、バッテリ容量もアップしている

  • モジュラーUSB Type-Cの対応やI/O基板の分離とメンテナンス性を上げており、マザーボードの一括交換を減らす工夫も。また、バックカバーにメッシュをつけてホコリ対策も

デスクトップ製品も筐体設計を一新。Dell Pro 24 All-in-One製品はCPUの異なる3製品、Micro/Slim/Towerと筐体サイズの異なるデスクトップは、Intel/AMDプロセッサを使用したベースグレードと、Intelプロセッサを使用したPlusモデル9モデルのラインナップとなっています。

筐体設計で面白いと思ったのが増設ポートの対応の広さ。新設計の70pinコネクタを経由するサブ基盤を使うことで、Thunderbolt4 / USB-C / HDMI / DisplayPort / 5GbE LAN / USB-A / VGA / Serial / PS/2と幅広いモジュールが用意されています。今でもRS-232CやPS/2を使っている環境はありますが、そのためにスロットを使うのはもったいなく、サブモジュールで幅広い構成に対応できるのはうれしいところです。

企業向けということで複数台の導入が当たり前ということで、梱包にも工夫があり、Microモデルなら8台、Slimモデルは4台、Towerモデルは3台までを1つの段ボールで運ぶマルチパック・ソリューションが用意されています。

  • Dell Proのデスクトップは12モデルを一気にリリース。新型筐体で静音性も増している

  • 「このポートが欲しい」という欲求にこたえるオプションモジュールに対応。少ないスロットを犠牲にしないというのもうれしい

  • 大量導入で大量の梱包資材が発生というのはよくある話ですが、最大8台を一つの段ボールに入れることで箱を減らし、リサイクル性も確保

通常のAll-in-OneモデルはPC側の製品寿命とモニタの寿命にアンバランスがありましたが、これに対してピギーバッグ型のモニタースタンドも用意されました。従来はMicroケースのMFS22だけでしたが、今回Slim筐体に対応するOSS25が加わりAll-in-Oneらしからぬ拡張性が得られます。

  • AIOではなく、ピギーバックでモニターの裏にPCを置くというソリューションはマイクロ製品だけでなくスリム製品にも対応

ワークステーションのDell Pro MaxはMicro/Slim/TowerのデスクトップとベースグレードとなるDell Pro Max 14/16の5製品が登場。特にTower T2は最大1500Wの電源を搭載しており、Core Ultra 9Kをターボ継続時間無制限で動かせる上、NVIDIA RTX 6000クラスのBlackwellもサポート。Towerケースと言っても32Lなので非常に大きいわけではありません。

  • ワークステーションDell Pro Maxは5モデルを一気に発表しました

  • タワー筐体ならば最大1500Wの電源に対応し、かつターボを無制限に効かせて動作させることも可能。次世代GPUでも安心して使えます

  • ノートブック製品はモジュール型USB-Cポートを使用し、バッテリは顧客交換可能。ディスクリートGPUは今後対応モデルを追加投入予定

製品選びに関してマーケティング統括本部 クライアント製品 ブランドマーケティング アナリスト 沼田 智帆氏が最大4問30秒で最適な製品を提案する[Dell Client製品診断サイト}(https://event-ex.net/delltechnologies/dellpcselection/)を紹介しました。パソコンだけにとどまらず周辺機器の提案も行ってくれます。

  • デル・テクノロジーズ株式会社 マーケティング統括本部 クライアント製品 ブランドマーケティング アナリスト 沼田 智帆氏

  • 最適な製品を最大4つの質問で提案する「Dell Client製品診断サイト」がオープン。パソコンだけでなく周辺機器も提案します

モニターにも強いDELLは周辺機器も一括管理できるツールを紹介。AI PC導入のコンサルティングプランも追加

周辺機器に関してはマーケティング統括本部 クライアント製品 ブランドマーケティング シニア・アドバイザーの鈴木 快林氏が説明。DELLと言えばモニター製品に以前から定評があり、世界シェアは12連続No.1、QHD以上の製品やUSB-Cモニタもそれぞれ10/5年No.1の地位を誇っています。

  • デル・テクノロジーズ株式会社 マーケティング統括本部 クライアント製品 ブランドマーケティング シニア・アドバイザー 鈴木 快林氏

モニター製品も一部を除いてブランドカテゴリを変更していますが、今回は特に注目すべき3製品を紹介していました。P1425はポータブルモニターの製品ですが、向きの変更を自動的に判別するジャイロ機構が加わり、アスペクト比も16:10となってさらに輝度アップ。収納袋が同梱されているだけでなく、モニター側のUSB-CケーブルがL字になっており、ケーブルを下側になるように回転させてもケーブルが邪魔になりません。

U2725QE / U3225QEもUSB-C接続に対応するだけでなく、140Wの給電に対応し、アイケアにも配慮されていると紹介。環境配慮の点ではすでに1モデルを除いて発泡スチロールを排しており、さらに再生プラスチックの使用量も増えていると説明していました。

  • 新製品の中での注目製品。USB-CタイプではNo.1シェアというのもポイント。個人的にはP1425が欲しいです

最後に紹介したのがP3425WE。従来も曲面モニターはありましたが、性能が高いかわりにお値段もお高めなもの。対してP3425WEは曲率を押さえて製図などで表示物のゆがみを押さえて表示し、色域も99% sRGB程度と抑え目な分、お値段も88,000円と抑えめ(同じ32インチのU3425WEと比較すると2/3)。

  • 湾曲モニターと言うと、没入型で画質重視……で高いでしたが、あまり湾曲せずCAD等に向くP3425WEはリリース以降大人気とのこと

新しく利用できるようになった「Dell Display and Peripheral Manager」はモニターだけでなくDELL製周辺機器も一元管理、操作可能なもの。モニターの設定変更がパソコン上でできるようになり、あとで設定を呼び出しも行えるのはうれしいところ。おおむね2018年モデル以降の製品で使えるそうです。

  • Dell Display and Peripheral Managerを無償提供。ディスプレイは本体ではなく、パソコンで操作できるのがメリットです

  • さらに近年製品が増えた周辺機器も一括管理設定ができます。モニターシェアの強みを生かして周辺機器も導入させたい感じです

最後にコンサルティングに関してサービスビジネス営業統括本部 サービスプリセールス本部 本部長 清水 聡泰氏が説明。

  • デル・テクノロジーズ株式会社 サービスビジネス営業統括本部 サービスプリセールス本部 本部長 清水 聡泰氏

生成AIをビジネスに活用することで大きな投資効果があると言われており、DELLもAI PCを大きくアピールしていますが、新しい分野ゆえに踏み出しに難しいところがあります。そこで直ぐに始められる生成AI活用をMicrosoft 365 Copilot で実現するために2つのサービスを紹介していました。

  • IDCの予測ではAIへの支出も多いし、企業は投資に見合う生産性向上と利益があると予測しているものの、ではどうやったら導入できるのか?で止まっている企業が多い

1つは「Microsoft 365 Copilot アドバイザリーサービス」でMicrosoft 365 Copilotのライセンス形態や具体的なユースケースを伝え、さらにペルソナ識別によるベストプラクティス使った最適な導入計画をご提供し、スムーズなMicrosoft 365 Copilot導入をサポートするというもの。こちらは1カ月150万円~の費用となっています。

もう1つは部門や役職に応じた最適なCopilot活用方法を提案する「ワークフォースペルソナ アセスメントサービス for Microsoft 365 & Copilot」。深いレベルでのペルソナ分析により、ユーザーグループ毎にニーズや優先項目、想定されるアウトプットを調査し、Copilotソリューションの最適化を図るサービスとなっています。調査を行うこともあり、調査から提案レポートの提出には最低2カ月かかり、費用も500万~となっています。

  • デルテクノロジーズのコンサルタントメニューにMicrosoft 365を使いこなすためのアドバイザリーと、より深いペルソナに基づいたアセスメントサービスを追加

  • 前者は約1カ月で150万円~で利用可能。後者は2カ月程度かかり、費用は500万円~

  • 部門ごとのペルソナとそれによってAIをこう活用できるというロードマップ提案を行います

なお、デルテクノロジーズ日本でのノートブックでCopilot+PCの構成比は1%未満という数字があったので、ここに関して見解を伺ったところ、AIに関しての強い関心はあるもののまだ本格的な導入に至っておらず、Copilot+PCの価格が比較的高いこともあり数字が弱いが、効果があるとわかれば導入は進むという回答でした。

筆者的にもMeteor Lake買おうとしたものの、Lunar Lakeまで待てという声を複数からいただいたこともあり、さらにLunar Lake第一製品が結構高くて足踏み中。まだAI PCを手元で利用していません。ただ、今使っているInspiron 14は繋ぎで購入したつもりだったこともあり、そろそろ買いたいと感じているところです。

Dell Pro製品を実際に見て触る機会として「Dell Pro Showcase」があります。東京のミッドタウン3カ所で実施です(日比谷、六本木、八重洲)。

Dell Proを中心に展示、体感できる内容となっており、この記事を書いている時点で行けるのは4月16/17日の東京ミッドタウン八重洲アトリウムのみですが、もしかすると今回発表された製品もあるかもしれません。

また4月23~25日に東京ビッグサイトで行われるJapan IT Week 春においても出展し、PowerEdgeサーバー、PowerScaleストレージなどと共に展示があるとのことです。

  • 本日の登壇者によるフォトセッション

  • DELL Proをいち早く触りたいという人のためのイベント「Dell Pro Showcase」を都内のミッドタウンで実施。4月は八重洲ミッドタウンにて行われます。写真は直近の六本木ミッドタウンでの様子。かんたんなアンケート回答で「Dell Pro tein BAR」がもらえます