新興国を中心にスマートフォンを展開しているTECNOは、2025年3月にバルセロナで開催されたMWC 2025で「SPARK Slim」を公開しました。このスマートフォン、世界最薄を誇る超スリムなモデルです。
SPARK Slimはコンセプトモデルのため詳細スペックはすべては明らかにはなっていません。チップセットは非公開ですが8コアのプロセッサを搭載。どのクラスのチップセットになるかはわかりませんが、ここまで薄いモデルなのであえて高価格帯で出てくる可能性もあります。いずれにせよ販売時期は未定です。
カメラは5,000万画素を2つ搭載します。実際にスタッフがカメラの細かい操作を行ってくれましたが、しっかりと動作していました。望遠も2倍以上のデジタルズームに対応しており、結構いい感じに撮影できていました。試作品レベルではなくこのまますぐにでも売り出せそうな仕上がりになっているのです。
5.75mmという厚さは驚異的です。まず誰もが強度を心配すると思いますが、本体を持ってみたところボディーがゆがんでしまうことも無く、しっかりとした強度を保っていました。質量は146gとかなりの軽量です。実は開発時点では「iPhone 13 mini」の141gより軽い、140gを実現できたとのこと。ところがこの薄さでその重さにすると、持った場合にむしろ軽すぎてユーザーが本体の強度に不安を持ってしまう、と考えたとのこと。製品としての重さのバランスを考え、あえて146gに仕上げたとのことです。
本体の動きも問題なく、コンセプトモデルだから動作が緩慢、ということもありませんでした。ボディーの素材はホワイトモデルがセラミック、シルバーモデルが金属です。どちらも強度のある素材であり、また本体の薄さを際立てる仕上げにもなっています。
薄型スマートフォンと言えば、サムスンが2025年1月に「Galaxy S25 Slim」を発表しました。MWC 2025の会場でも展示がありましたが、本体スペックは非公開であり、また実機に触れることもできませんでした。Galaxy S25 Slimが発表されたときは世界中から大きな注目を集めましたが、TECNOは先に完動する実機を展示し、しかも来場者が自由に触ることができるモデルとして発表したのです。
これはTECNOのスマートフォン開発力がサムスンに追いついた、とも言えるわけです。しかも、このSPARK Slimより薄いスマートフォンはまだ他の大手メーカーからは登場していません(折りたたみモデルを除く)。TECNOはTranssionグループの1社ですが、Transsion傘下のItel、Infinixと合わせた3社のスマートフォン世界シェアはここのところ5位であり、Apple、サムスン、シャオミ、OPPOに次ぐ大手メーカーの仲間入りを果たしています。新興国で多くの製品を販売していますが、格安端末が売れているだけではなく、SPARK Slimのような先進的なモデルを開発する力を持っているわけです。
TECNOは低価格な2つ折りスマートフォンや、3つ折りスマートフォンを世界初で発表するなど、その技術力の高さはすでに業界でもよく知られています。MWC 2025では背面の色の変わるスマートフォン技術を展示するなど、新技術関連のアピールも積極的に行っていました。TECNO関係者によると同社は今後も新興国を中心に端末展開を行い、先進国に進出することはないとのこと。
しかしSPARK Slimの出来栄えは先進国でも十分通用するものであり、Galaxy S25 Slimより先に販売を開始すれば多くの消費者が興味を示すでしょう。しかも、Galaxy S25 SlimよりSPARK Slimのほうが厚さは薄いとのことで、そうなればサムスンが製品を先に出したとしても、SPARK Slimのほうに人気が集まる可能性は大いにあります。
サムスン、TECNO以外にも薄型スマートフォンを開発しているメーカーは多くあるといいます。Appleも次の「iPhone 17」シリーズに激薄モデルを投入する、という噂もあります。2025年は薄型スマートフォンが各社から出そろう年になるかもしれません。他社の動きにも注目したいところです。