2025年度の国内プロゴルフツアー開幕があと1カ月ほどに迫っています。12月まで続く長いシーズン、国内では24大会の開催が予定されています。各大会ではプロによる競技だけでなく、地域貢献やゴルフ・スポーツ普及のためのさまざまなイベントが開催されています。そんな例のひとつとして、2024年11月に開催された「カシオワールドオープン ゴルフトーナメント」でどんな取り組みが行われていたのかをご紹介しましょう。

  • カシオワールドオープン

    43回目の開催となる「カシオワールドオープン」

カシオワールドオープンは1981年に初開催。賞金王争いやシード権争いが白熱するシーズン終盤に開催されることもあって、毎年注目を集める大会です。主催社であるカシオ計算機の創業家である樫尾家が高知県出身という縁もあり、2005年からは高知県のKochi黒潮カントリークラブで開催されています。2013年からは石川遼選手がカシオに所属しており、ホストプロとして大会を盛り上げています。

2024年に開催された第43回大会でも、地域との交流や次世代を担う子供たちの育成を応援するさまざまなイベントが企画されています。とくに週末の土曜日・日曜日には人出も多く、出場選手によるジュニアクリニックやスナッグゴルフ大会、キッズエスコートなどが開催されたそうなのですが、筆者が取材することができた大会初日の木曜日もさまざまなイベントを体験することができました。

小学生を校外学習に招待、キッズエスコートも体験

今大会では、大会期間中に高知県の小学校を4校招待し、校外学習として試合観戦や中継現場の見学などの体験を提供しています。この日はそのうち1校の招待日にあたっていました。

  • 校外学習の子供たち

    ドライビングレンジ近くに集合して注意事項に耳を傾ける子供たち。このあと筆者もしばらく彼らに同行させてもらいました

  • 振り返り用のノート

    記念のキャップのほか、この日の学習を振り返るためのノートなども配布されます

校外学習の小学生たちは、まずは1番ホールのティーエリアに向かい、選手たちの第一打を見守ります。彼らのうち何人かは、出場選手と一緒に入場するキッズエスコートも務めていました。ちなみに最終日となる日曜日のキッズエスコートは、前日に開催されるジュニアクリニックの参加希望者が務めたそうです。

  • キッズエスコートの記念撮影

    キッズエスコートを務める子は、ティーエリア脇のボード前で記念撮影を行います

  • ティーショットを見守る小学生

    ティーエリア脇に並んでプロのショットを見守る小学生たち

  • 記念撮影ボード

    ちなみに記念撮影のボードには巨大サイズのG-SHOCKがデザインされています

ティーショット見学を終えた小学生たちは今大会では使われていないホールへ移動。ここでスナッグゴルフの体験を行います。スナッグゴルフはプラスチック製のクラブでボールを打って的に当てる、ゴルフの基本が身に付く遊びです。

  • スナッグゴルフの模様

    スナッグゴルフを楽しむ子供たち

  • スナッグゴルフの模様

    数球打ったら、自分たちでボールを回収しに走ります

体験コーナーは開催期間中の日中は開放されていて誰でも利用できるのですが、初日は平日で子供たちの来場が難しかったこともあり、あまり利用者の姿は見られませんでした。週末の土曜日には近隣の小学校から参加者を募って大会が開催されたそうです。

続いては大会グッズショップや地元自治体などのブースが並ぶ「ギャラリープラザ黒潮」で、カシオのブースを見学します。2023年度は同社のリサイクルについての取り組みを大々的に発信していたそうですが、今年は情報発信はやや控えめ。それでも、リサイクル素材やバイオマスプラスチックの活用について担当者が説明すると、子供たちもしっかり話を聞いていました。

  • カシオの取り組み1

    リサイクル素材の活用やバイオマスプラスチックの利用について、パネルや素材を展示していました

  • カシオの取り組み2

    こちらは環境に配慮した梱包材や食材からの染料抽出についての解説と実際の製品です

  • 担当者の説明を聞く子供たち

    担当者の説明を聞く子供たち

ちなみにこのブースでは、G-SHOCKの販売なども行っています。限定製品として大会ホストプロの石川遼選手のサインプリントモデルも用意されていました。

  • 販売ブース

    G-SHOCKや電卓など、カシオ製品を購入できます

  • 石川遼選手のサインプリントモデル

    石川遼選手のサインプリントモデル

  • ベルトのサインプリント

    ベルトのサインプリント

  • ペットロボット「Moflin」

    ペットロボット「Moflin」は子供たちに大人気

そして最後に、テレビ局の中継センターを見学しました。普段は見られないテレビ中継の裏側に、子供たちは興味津々という感じです。テレビ局のスタッフは、まだ木曜日の午前中ということもあってか、ややのんびりした雰囲気です。

  • テレビ局の中継センター

    テレビ局の中継センター。ところ狭しと機材が並べられており、数人ずつに分かれて見学を行っていました

ここまでで、内容もりだくさんの校外学習は終了。招待する小学校は大会ごとに変っていくそうですが、こんな機会がある子供たちをうらやましく思いました。

さまざまな屋台で地域のお祭りのよう

お昼になると人出もだいぶ増えてきます。ドライビングレンジの近くには飲食スペースが設けられ、地元の飲食店がさまざまな屋台を出しています。まさに年に1度のお祭りといった雰囲気です。

  • 屋台

    さまざまな屋台が並びます

  • 飲食店と

    飲食テントは大賑わい

  • キッズスペース

    バンカーを砂場がわりに、子供が遊べる「こども広場」。ここにはロゴスがアウトドアグッズの体験コーナーを設置していました

先ほども書いたとおりこの日は平日。イベントは週末に開催されるものが多かったのですが、年配の方を中心に会場の雰囲気を楽しむ方が多数来場していました。おそらく、週末はもっとにぎわうことでしょう。

  • プロトーナメントの速さを体験できるグリーン

    プロトーナメントの速さを体験できるグリーン

  • デジタルスタンプラリー

    大会会場ではデジタルスタンプラリーも開催。カシオの「MEGURUWAY」アプリを利用します。筆者もチャレンジしてみましたが、クラブハウスから数ホールぶん歩かなければならないスポットもあり、なかなかハードでした

前述の「ギャラリープラザ黒潮」には、ペットボトルを集めて子供たちにワクチンを送る「エコキャップ運動」のパネルも設置されており、コースを回り終えた選手がカメラに向かってアピールする光景も見られました。

  • 「エコキャップ運動」のパネル

    「エコキャップ運動」のパネル

石川遼選手から電子ピアノ「Privia」を贈呈

さて、この日は全プレーの終了後にもうひとつイベントが控えていました。

今大会のホストプロである石川遼選手は2023年まで、自身がシーズン中に記録したバーディの数と同じだけのカシオ電子辞書「EX-word(エクスワード)」を購入して寄贈する「バーディチャレンジ」を行っており、例年カシオワールドオープンの会場でその寄贈式が行われていました。

今年も寄贈式が行われるのは前年同様ですが、内容が少し変わって、高知県香南市の野市東小学校に電子ピアノ「Privia」を贈ることになりました。子供たちに音楽の楽しさを感じてもらうのが狙いとのことで、石川選手は「楽器はぜんぜんダメ」と言いながらも、自身が小学生からずっとゴルフを続けていることを引き合いに、「楽しいと思えることは必ず見つかる」と音楽をはじめいろいろなことに興味をもってほしいと話していました。

  • 寄贈

    石川選手からパネルが手渡されました

  • 寄贈後の記念撮影

    寄贈式後の記念撮影

  • 児童たちと交流する石川選手

    寄贈式のあともしばらく、石川選手は児童たちと交流していました

こうして終わった大会初日。選手のプレーももちろんですが、さまざまなイベントも地元の人たちを楽しませています。すっかり地元に根付いたこの大会、来年以降も変わらず盛り上がってほしいと思いました。