情報検索と回答生成を行うAIチャットサービスを提供する米Perplexityは2月24日(現地時間)、AIを活用した独自のWebブラウザ「Comet」を開発・提供する計画を発表した。

同日に、Cometのウエイトリスト登録受付が開始された。Perplexityは、Cometを「A Browser for Agentic Search(エージェント型検索向けブラウザ)」と位置付けている。ユーザーがAIに戸惑うことなく、必要な時のみ支援を受けられる設計となり、GitHub Copilotによるコーディング支援と同様の利便性をWebブラウジングにもたらすという。アラビンド・スリニバスCEOはXへの投稿で「Browse like a Billionaire(億万長者のようにブラウスする)」、「Make Internet Great Again!(インターネットを再び偉大に!)」などとCometの革新性を強調したが、具体的な機能については明らかにしていない。

生成AI市場では、AIがユーザーの依頼に応じて自律的に判断し、アクションを実行する「AIエージェント」が次世代技術のトレンドとして注目されている。その初期用途として、AIによるWebブラウジング支援の開発競争が激化しており、検索や情報収集のプロセスが大幅に効率化される可能性がある。

従来のWeb検索では、ユーザーが検索キーワードを入力し、検索結果の中から適切な情報を探す必要があった。しかし、AIエージェントを活用したブラウジングでは、「AIに質問する」対話型の検索スタイルによって、AIが関連性の高い情報を収集・要約するだけでなく、必要に応じて具体的なアクションまで実行する。また、ユーザーの好みやニーズを学習し、必要な情報を事前に提示する「能動的介入」の導入も検討されている。さらに、「ホテル予約」「商品購入」など、ユーザーが最終的に達成したい目的までをAIエージェントが代行できるようになる可能性も見えてきている。

しかし、現在Webブラウザ市場では、GoogleのChromeが圧倒的なシェアを維持しており、EdgeやSafariにもOSプロバイダーが提供するブラウザとして一定の強みがある。こうした状況下で、Cometが市場に変化をもたらす可能性については懐疑的な見方が多い。これに対し、スリニバス氏はChromeがInternet Explorerを追い抜くまで5年を要したことを指摘し、「1回のリリースではなく、忍耐をもってユーザーに素晴らしい体験を粘り強く提供し続けることが実を結ぶ」と反論している。