著者:
Seagateシニア・バイス・プレジデント兼最高技術責任者 ジョン・モリス
AIによるアウトプットが、社会で信頼を得るには何が必要でしょうか?AIのアルゴリズムが生み出すすべての意思決定、予測、洞察は、データの可用性と品質に依存しています。AIの潜在能力を最大限に活用するために、データは適切かつ効率的に保存される必要があります。言い換えれば、データがAIの力を引き出し、ストレージがデータを支えています。
この関係は相乗効果を生み出します 。AIもまた、ストレージの技術革新も強化し、需要に対応しています。
AIとデータの相互依存関係
AIが、より優れたストレージ・ソリューションの実現にどのように寄与するのかを理解するには、まず、AIとデータとの関係について考える必要があります。AIデータはデータ生成と消費のループの中に存在し、より高品質で多様な入力データが、よりスマートなモデルと、優れた結果を生み出します。このプロセスを通じて、AIはデータ生成を加速させ、大容量ストレージ・ソリューションへの需要を大きく押し上げる要因となってなります。しかし、こうした需要に対するギャップが存在しています。2024年から2028年の間、データは年率25%のペースで増加すると予測されています。一方で、ストレージの導入ベースは年平均成長率(CAGR)17%と、比較的緩やかな成長にとどまる見込みです*1。
このギャップは、企業にとって重要なビジネス課題となります。企業は、将来的にデータストレージ・インフラストラクチャ―を収益化できるよう、長期的なキャパシティ計画を策定する必要があります。記録密度の革新により、設置面積の拡大や資源への影響を最小限に抑えつつ、AIデータストレージの需要拡大に対応することが可能になります。例えば、記録密度の進歩により、プラッター1枚あたり3TB以上のストレージを持つハードドライブの登場により、電力効率が大幅に改善され、テラバイトあたりのカーボン排出量が削減されました。
AIは、この革新の重要な「原因」と「結果」です。 AIはデータストレージ設計の改善を可能にし、その結果、企業はAI処理においてデータから最大限の価値を引き出すことができます*2。
AIとストレージ技術:革新と持続可能性を支える2つの原動力
その一例として、SeagateはNVIDIAの技術を活用し、AIストレージ需要の拡大に対応するため、次世代のMozaicプラットフォームを開発しています*2。SeagateはNVIDIAとの協力を通じて、ワークフローを最適化し、効率性、性能、および拡張性を向上させています。この提携では、モデル構築、アルゴリズムソリューション、後処理、タスクの可視化など、シミュレーションプロセスの各段階において多角的な取り組みが行われています。
従来のCPUシミュレーションや煩雑なワークフローに起因するストレージ・ハードドライブ設計プロセスにおける重大な課題を解決することで、Seagateはハードドライブ の設計プロセスの高速化に成功しました。GPU加速コンピューティングを活用して電磁気シミュレーションを高速化したことで、データストレージ設計のライフサイクルを短縮し、市場導入までの時間を改善し、サステナビリティ目標を推進するなど、重要な成果も達成しました。さらに、製品のモデリングと設計の最適化を初期段階で行うことで、より複雑なモデルへの対応が可能になり、プロトタイピングと物理的なテストを削減し、設計プロセスにおけるエネルギー消費を削減し、よりエネルギー効率に優れたストレージ・ソリューションの開発が実現しました。
このアプローチのメリットは、ステークホルダーにも恩恵をもたらします。顧客は、次世代ハードドライブの革新を迅速に活用でき、業務を早期に最適化し、迅速な投資収益率(ROI)を達成することが可能になります。パートナーは、協業の促進、市場参入の加速化、資源効率の向上といったメリットを享受することができます。AIの普及に伴いデータストレージの需要が高まる中、テクノロジーパートナーシップは、業界を牽引するより高速でエネルギー効率に優れたソリューションを実現する上で不可欠な役割を果たしています。これにより、AIのストレージ需要に確実に対応するだけでなく、さらなる革新を推進するのに役立ちます。
ハードドライブ業界は、長年にわたり技術革新を牽引してきました。何十年にもわたり、AIや機械学習(ML)、その他の先進技術を製品開発や製造プロセスに統合する最前線で活動してきたのです。これらの取り組みは、現在の生産ラインに導入されている数多くのAIソリューションに結実しています。これらのソリューションは、現場の作業員の効率向上に寄与するだけでなく、問題解決の迅速化にもつながり、全体的な生産性の向上を支えています。
次世代ストレージが切り開く新たな可能性
データストレージの可能性がますます拡大する中、テクノロジー業界は、より高速かつ大容量で、エネルギー効率にも優れた次世代のストレージ・ソリューションの採用に向けた準備を進めてきました。これらの技術革新は、AI時代における急増するデータストレージ需要に対応するものです。こうした新たな技術革新を通じて、テクノロジー業界のリーダーは、現在のデータストレージの課題に対応するだけでなく、業界全体の未来を切り開く役割を果たしています。
*1 IDCの2024年Global DataSphere調査に基づくSeagate分析
*2 NVIDIA “Seagate Accelerates Data Storage Innovation With GPU-Powered Engineering Simulations”
業界の新潮流をひろく読者の皆様に紹介するため、寄稿記事を掲載しました。
◆ Seagate Technologyについて
Seagateは、大容量データストレージのリーダー企業です。過去45年以上にわたり、4.5ゼタバイト以上のデータ容量を提供してきました。Seagateは拡張可能なストレージを提供し、データに依存するイノベーションに信頼と安心をもたらしています。かつてないほどの創造が求められる時代において、Seagateは無限の可能性を秘めています。Seagateがストレージの革新をどのようにリードしているかについては、www.seagate.comまたはブログをご覧ください。また、X、Facebook、LinkedIn、およびYouTubeをフォローしてください。