• 大人のやる気を引き出すIoT文具がコクヨから登場した。開発を手掛けたコクヨ経営企画本部 イノベーションセンター IoT事業戦略ユニット やる気ペングループ長の中井信彦氏(左)と、コクヨ 経営企画本部 イノベーションセンター長 野底 土南二・一氏(右)

「大人のやる気に寄り添いたい」――。コクヨが1月29日、大人に向けたIoT文具「コクヨ 大人のやる気ペン」を発表しました。資格試験や英語学習といった勉強の継続をサポートする、重さ8gの超小型デバイスです。

同日から応援購入サービス「Makuake」にて先行販売を開始。Makuakeでは1月30日8時40分の時点で540万円以上の支援を集め、5%オフの早割9,405円(限定700個。「大人のやる気ペン」1個リターン)のみ提供されています。一般発売は2025年春の見込みです。

  • 「大人のやる気ペン」は普段学習に使っているペンに取り付けて使う。ごく短時間試用した限りでは、重さが文字を書く邪魔にはならず、普段と同じような感覚で書いていけた。付ける場所は調整する必要がある

子ども向けのIoT文具、使っていたのは意外にも大人

文房具大手のコクヨは、2019年7月に子供の学習を助けるIoT文具「しゅくだいやる気ペン」を発売済み。この「しゅくだいやる気ペン」のユーザーには「大人」が意外と多かったことが口コミ評価からわかったといい、大人向けの「しゅくだいやる気ペン」の希望の声もあったといいます。

今回2025年春の一般発売に先がけて登場したのは、大人の学習をアプリでサポートする「大人のやる気ペン」。コンセプトは「学習の継続に悩むすべての大人たちのためのIoT文具」です。

指でつまめる小型サイズで約8gと軽い本体には加速度センサーが内蔵され、普段学習に使っているペンに装着することで、目標に向かって勉強した時間を「やる気パワー」として記録。専用アプリとの連携により学習時間をアプリ上で見える化するほか、学習を続けたくなる仕掛けも施されています。

  • 「大人のやる気ペン」の外箱。上に持ち上げて開けてみると……

  • 「継続は力なり」の言葉が目に飛び込んでくる

  • 「大人のやる気ペン」本体。サイズは24×22×30㎜と超小型。上部のLEDは電源オンオフだけでなく、どれだけ学習したかを10段階の色で教えてくれる

  • 挟み込めるペンのサイズは直径9~13mmのものがめやす。挟み込むパーツはシリコン製で、内部を空洞にすることで軽量化を図った。適度なグリップ力でペンにくっつく

  • 子ども向けの「しゅくだいやる気ペン」と並べたところ。圧倒的な小型軽量化を実現

専用アプリも大人向けに刷新。「やる木」を実らせモチベーションに

専用アプリでは学習時間をグラフやカレンダーで可視化。スタンプによる報酬も予定しています。

孤独になりがちな学習をサポートすべく、キャラクター「ポット族」が寄り添って応援してくれたり、アイテムで「ポット族」の着せ替えを楽しんだりできます。勉強時間で得た「やる気パワー」が溜まると、ポット族から「やる木」が育ち実を結びます。この実を使って、アイテムを獲得できるすごろくを進める仕組みです。

すごろくでは、「大人のやる気ペン」を使う他のユーザーが書いた自己紹介カードを得られるマスや、学習に関するTipsが楽しめるマスなどを用意。他ユーザーのカード(NAKAMA CARD)を得られるマスでは、他ユーザーがどんな思いで資格学習に挑んでいるかなどがわかり、モチベーションの向上へつなげられます。

  • スタイラスペンにも装着可能。タブレットや電子ペーパーでの学習にも対応する

本体はシャーペンやボールペンといった市販の筆記具だけでなく、タブレットなどに書き込めるスタイラスペンにも装着できることが嬉しいポイント(適合目安は直径9~13mm)。勉強時間のデータは本体内のメモリに保存され、学習後にBluetoothでスマートフォンアプリへ送信します(送信方法にも楽しめる工夫が施されています)。アプリの対応OSはiOS 16以降、Android 10以降。

電源は内蔵バッテリーで、1回の充電で約5日間の稼働が可能(1日2時間の学習を想定した場合)。充電ケースは四角い小さなケースで、完全ワイヤレスイヤホンを彷彿とさせます。コクヨではケースへ本体をカチッと収納する感覚にもこだわったそうです。充電インタフェースはUSB-Cで、充電ケース併用のバッテリー駆動時間は約25日間です。

  • 充電ケースと本体。一見すると完全ワイヤレスイヤホンのような佇まいだ

  • 本体を充電ケースに収納したところ。マグネット式の収納で、カチッと載せられる“気持ちのいい”感覚にこだわったという

勉強時間のデータをアプリに送信する流れ。ちょっと楽しみながらデータを送れるようになっている。なおデータ送信後は自動で本体の電源がオフになる

小さなモチベーションを積み重ねて習慣化へ

コクヨ経営企画本部 イノベーションセンター IoT事業戦略ユニット やる気ペングループ長の中井信彦氏は開発にあたり、学習者のモチベーションをどう継続していくかが課題だったとのこと。「もう少しだけやる」を繰り返し、小さなモチベーションを積み重ねて習慣化へつなげる体験を目指したそうです。

アプリでは他ユーザーが勉強にかける思いを知ることができる工夫もありますが、この“他ユーザーとの距離感”をちょうどいいものにしたかったといい、「日本のどこかで学んでいる人たちが、どういう思いで勉強しているか垣間見える」ようになっています。なお今後、例えば同じ資格目標を持つ他ユーザーの学習時間などがわかる有料課金なども検討しているとのこと。

本体の設計でこだわった点は軽さ。ペンを挟み込む部分はシリコン素材を採用し、内部を空洞化することで、普段使っているペンに付けても負担にならない軽さを実現しました。「機能性を追求したデザイン。文房具メーカーなので書くことをいかに邪魔しないか、邪魔を最小限にできるかが一番のポイントだと思っていた」とこだわりを紹介しました。

  • 専用アプリのメニュー画面。下にいるのが自分に寄り添ってくれる「ポット族」だ。植木鉢をイメージしたキャラクターという

  • 学習した時間はカレンダー表示、グラフ表示が可能

  • 孤独な学習に寄り添うべく、学習傾向に応じて叱咤激励も受けられる

  • 学習の目標を設定可能。達成するとスタンプが押される

  • 「ポット族」はアイテムなどで着せ替えを楽しめる

  • 他ユーザーが学習している動機や理由がわかるカードが見られることも

  • 勉強時間をアプリに送信すると「やる木」が実る

  • やる木の実ですごろくのマスを進められる