フォルクスワーゲン(VW)が小型SUV「Tクロス」(T-Cross)のマイナーチェンジを実施して2024年10月1日に発売した。Tクロスは2020年から2022年まで3年連続で輸入SUVの登録台数No.1を獲得した人気の1台。マイナーチェンジで何が変わったのか、実車を確認してきた。
サイズはほぼほぼ変更なし!
Tクロスの日本発売は2020年1月。運転しやすいコンパクトなサイズ、豊富なボディカラーを含むデザイン、300万円台前半からという価格設定などが受けて輸入SUVで最も売れるクルマとなった。日本導入以降のTクロスの販売台数は2020年が8,930台、2021年が9,159台、2022年が6,570台。2023年は同じくVWのSUV「Tロック」(T-Roc)に1位の座を譲った。
10月1日に発売となったのはTクロスのマイナーチェンジ(マイチェン)モデルだ。グレードは「TSI Active」(329.9万円)、「TSI Style」(359.9万円)、「TSI R-Line」(389.5万円)の3種類。さて、どう変わったのか。
まず、サイズはほんの少しだけ大きくなっている。同じ「TSI Style」グレードで比べると、マイチェン前は全長4,115mm/全幅1,760mm/全高1,580mm、マイチェン後は同4,140mm/1,760mm/1,575mmだ。運転する際に気になる横幅が変わっていないのは嬉しいポイント。実際に運転してみたが、日本の道路でも扱いやすいサイズ感と軽快な走りは変わっていなかった。
デザインは灯火類やバンパー周りを中心に刷新。ボディカラーには「グレープイエロー」「クリアブルーメタリック」「キングズレッドメタリック」の3色が追加となった。
内装ではダッシュパッドにソフト素材を採用。もともとハードプラスチックだったところがソフト素材に変わるだけで、質感はずいぶん向上する。
円安、原材料高騰…価格はどう変わった?
円安と物価高の昨今、輸入車はマイナーチェンジごとに価格が上がっていくのが通例だが、Tクロスはどうなのか。
装備の増え方に比べると価格の上がり方はかなりマイルド。「TSI R-Line」グレードに至っては10万円ほど安くなっている。
どうやって値上がりを抑えたのか。フォルクスワーゲンジャパンに聞いてみると、そのあたりは「交渉ごとなんです」とのこと。日本の経済状況、日本で売れているクルマの値段、競合となるクルマの価格設定など、さまざまな説得材料をそろえたうえで本社と交渉し、こうした価格設定を実現できたのだという。R-Lineについては使用頻度の低い装備をあえてオプション設定にするなどの手法で値下げにこぎつけたとのことだった。
Tクロスはフォルクスワーゲンのみならず輸入車の入門編としての役割も担っているクルマ。扱いやすいサイズのおかげか、VWで唯一、ユーザーの半分が女性という珍しいモデルでもある。手を出しやすい価格設定には相当こだわったようだ。