イギリスの超高級車ブランド「ロールス・ロイス」が先日、人気車種「カリナン」のマイナーチェンジモデル「カリナン・シリーズⅡ」を日本で公開しました。同社では若い顧客が増えていると言いますが、何が受けているのでしょうか? 学生ライターが取材しました。

  • ロールス・ロイス「カリナン・シリーズⅡ」

    「カリナン」の特徴は?

そもそも「カリナン」とは?

カリナンはボディタイプでいえばSUV(スポーツ用多目的車)です。したがって、広い車内空間や積載性、悪路走破性などが売りとなっています。ロールス・ロイスの数ある車種の中でも、このカリナンは屈指の人気を誇っているそうです。

知名度、価格、豪華さ、そのどれをとっても世界トップレベルと言っても過言ではない「スーパーラグジュアリーSUV」のカリナンですが、なんと、現在のオーナー平均年齢は43歳だそうです。とても若く感じます!

  • ロールス・ロイス「カリナン・シリーズⅡ」
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  • ロールス・ロイス「カリナン・シリーズⅡ」
  • デザインの細部にロールス・ロイスのこだわりが感じられます

魅力その1:深読みしたくなるデザイン

私が「カリナン・シリーズⅡ」を初めて見て印象的だったのはフロントフェイスです。先代の「カリナン」と比べ、より精悍で威厳を感じさせるデザインとなったフロントデザインですが、実は、ロールス・ロイスならではの細かな"こだわり"が詰まっていることがわかりました。

まずはヘッドライト。細く白いラインが垂直に折れ曲がる印象的なデザインが特徴的ですが、これはカリナンが駆け抜ける「大都市の摩天楼」をイメージしているそうです。たしかに、眺めているとなんだか都会的、あるいは先進的なイメージを感じさせる造形ですね。

  • ロールス・ロイス「カリナン・シリーズⅡ」

    垂直に折れ曲がったラインが特徴的なヘッドライト

次にフロントバンパー。中心部分を一番下として、大きくV字型に切れ上がるその造形は、カリナンにさらなる高貴さ、あるいは威厳のようなものを与えているように感じます。

実はこの「V」ライン、現代のスポーツ・ヨットの船首部分をイメージしたデザインだそうです。言われてみれば、確かに船のような鋭さがありますね。

  • ロールス・ロイス「カリナン・シリーズⅡ」

    「V」字型に鋭く角度をつけたフロントバンパー

都会の摩天楼をイメージしたヘッドライトと、優雅に航海するヨットをイメージしたフロントバンパー。これらはまさに、自然から都会まで環境を問わずオールマイティに活躍するであろう「カリナン・シリーズⅡ」の特徴を表しているようです。そう考えると一層、このクルマが魅力的に感じませんか?

魅力その2:単なるオシャレなクルマではない!

続いて私が魅力を感じた部分はドア構成です。カリナンは一般的な乗用車とは違い、横のドアが前後に開く構造、いわゆる「観音開き」と言われるドアの作りになっています。

  • ロールス・ロイス「カリナン・シリーズⅡ」

    前後に開く観音開き式のドア。エレガントなだけでなく、クルマに乗る人が主役であることを強調するかのような効果を発揮しているように感じます

実際に乗ってみてわかったことなのですが、観音開きは利便性の観点から見ても非常にすばらしい構造なんです。通常の一般車だと、乗り降りする際にどうしても前後のドアが邪魔な位置にあり、干渉を避けるために屈みながらクルマを降りるような姿勢となってしまうのですが、カリナン・シリーズⅡの場合、まるで馬車の扉のようなドア構造のおかげで、例えば着物やドレスを着ている人でも、あまり姿勢を崩すことなく優雅に降りることができます。

ちなみに、これは余談なのですが、ロールス・ロイスの後部ドアの中には、なんと傘が入っています。おかげで、雨の日でも降りた直後にすばやく傘を広げることができ、乗り込む際には車内を汚すことなく傘をしまえる、というわけです。これは有名な話なので知っている方も多いかもしれませんが、まさに「雨の多い国」イギリスのクルマならではの発想ですね!

  • ロールス・ロイス「カリナン・シリーズⅡ」

    後部ドアから傘が登場! 雨の日にVIPが降車する際は、ショーファー(運転手)がドアから傘を取り出して差しかけるのでしょう

ラゲッジルームに目を移すと、その広さに驚かされます。ゴルフバッグを横にした状態で、乗員4人分は簡単に入ってしまいそうです。トランクの扉は上下にセパレートして開く構造となっているので、重いものを積み込む際にも、あまり高く持ち上げずに済みます。

  • ロールス・ロイス「カリナン・シリーズⅡ」

    上下に分かれて開くトランクには大きな荷物がたくさん積めそうです

優雅なデザインでありながら、日常の利便性も兼ね備えたカリナン・シリーズⅡ。「単なるお洒落なクルマではないぞ」というロールス・ロイスからのメッセージを感じます。

魅力その3:内装のこだわりは工芸品の域

もうひとつの魅力は内装です。特にシートは触り心地も上質ながら、近くで見ると繊細なきらめきがあり、驚かされます。これは「プレースド・パーフォレーション」と呼ばれるロールス・ロイス独自の工芸技術だそうです。ロールス・ロイスの本拠地であるイギリスのグッドウッドの上空で、絶えず変化する雲の形と影を再現したこのアートワークですが、なんと、1人の職人が0.8ミリと1.2ミリの穴を計10万7千個(!)も組み合わせて作り上げているそうです。

  • ロールス・ロイス「カリナン・シリーズⅡ」

    繊細な職人技が光る「プレースド・パーフォレーション」

天井を見上げると、星空のようなまばゆい光が一面に広がっています。これは、ロールス・ロイスが2007年から採用している「スターライト・ヘッドライナー」と呼ばれる装飾方法だそうです。

顧客の意向に合わせて2人の職人が作り上げるこの星座群は、繊細な光ファイバーにより、完璧に美しく光り輝くようセッティングされています。光の強さや雰囲気は、乗る人が気分に合わせて変更できるとのこと。それにしても、車内の天井に星空が広がるなんて、さすがはロールス・ロイス、すごいスケールですね!

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    美しくきらめく天井の「スターライト・ヘッドライナー」

「プレースド・パーフォレーション」と「スターライト・ヘッドライナー」。どちらも、繊細な職人技が光る美しい工芸品と言えると思います。

いかがだったでしょうか? 実はロールス・ロイスを間近でしっかり見るのは今回が初めてだったのですが、驚きや新しい発見の連続でした。将来はこういったクルマが似合うカッコいい社会人になりたいです。

最後になりますが、このような機会を設けてくださったロールスロイス・モーター・カーズの皆様、ありがとうございました!

  • ロールス・ロイス「カリナン・シリーズⅡ」

    会場では参加者向けに素敵な食事やカクテルが用意されていました

  • ロールス・ロイス「カリナン・シリーズⅡ」

    会場入り口にはロールス・ロイス初のBEV(電気自動車)「スペクター」も展示されていました