XPS 13筐体で史上最薄な製品
デルは2024年9月20日にLunar LakeことCore Ultra シリーズ2を採用したXPS 13(9350)を発表しました。27日から完全なカスタマイズにも対応するCTO仕様での受注を開始。正確な価格は当日発表との事ですが、26万円前後からを想定しています。
松原氏が製品と背景について紹介しました。昨年のMeteor Lake以来AI PCを販売していますが、AI PC率は順調に増加。Q3の速報値(8月までの集計)ではWindowsノートのほぼ半数がAI PCとなっており「AIの普及には台数を届けていくのが重要である」と好調さをアピールしていました。
今回のXPS 13はMeteor Lakeとほぼ同じ筐体を使用してLunar Lake対応にしている製品となります。CPUはCore Ultra 5/7/9で4モデルを用意し、すべてIntel Evo Platformエディションとなります。販売はまずフルカスタマイズの受注でスタートし、追って即納モデルも提供を開始する予定となっています。
またCore Ultra 9モデルは後日受注開始なので、すぐに欲しい人はCore Ultra 5/7モデルとなります。液晶はFHDとQDH+にOLEDの三タイプ、これにSSDのサイズを選んで注文することになります。詳しい構成と正確な価格は後日発表との事でしたが、最小構成であるCore Ultra 5 226V(RAM 16GB)/FHD液晶/SSD512GBで26万円前後、Core Ultra 7 258V(RAM 32GB)/OLED/SSD 1TBで33万円前後になるようです。
Lunar Lakeは省電力性に力点を置いて設計されていますが、Netflixの連続視聴では26時間と一日越えのバッテリーライフがあると説明していました(ただし、FHDの液晶モデルで、OLEDモデルではディスプレイの消費電力が増えるので16時間程度)。動画視聴の場合、CPU動作は最低限ですから、オフィスアプリやAIアプリを動かすとそこまでバッテリは持たないでしょう。
デザインはアルミ削り出しなミニマルデザインとXPSらしい作り。アルミボディにしたことで堅牢性も担保したうえで薄い筐体となっています。薄いこともあって、外部インターフェースがUSB-C(Thunderbolt 4)×2とミニマルなのは致し方ないのかもしれません。カラーはプラチナとグラファイトの二色です。
サステナビリティに関しては低炭素とリサイクルアルミニウムやリサイクルガラス、リサイクル銅とリサイクル素材をかなり使用しており、加えてノートパソコンではリサイクル素材を使用したパッケージを採用。今回の製品を含めてXPSはEPEAT Gole Climate+に対応と先進性を強く意識したXPSらしい内容となっています。
最後にライブデモということで、画像生成でおなじみのStable Diffusionと大規模言語モデル(LLM)をオフライン環境で動かしていました。Stable DiffusionはNPUとGPUを協調動作させており、LLM(Llama-3-ELYZA-JP-8B)も実用的な速度で動作していました。
デル新作PCで見たStable Diffusionのデモ。生成される画面サイズを小さくしている事もありそれなりに高速に生成しており、タスクマネージャーを見るとNPUとGPUが協調して動作していました。一般公開されているLlama-3-ELYZA-JP-8Bもある程度実用的そうです pic.twitter.com/MVeX0vE4TR
— マイナビニュース「+Digital」 (@mn_pc_digital) September 23, 2024
ちなみにELYZAは東京大学松尾研究室からスピンアウトしたAIスタートアップ企業です。プレスリリース(外部サイト)によると軽量な8Bモデルでも「GPT-3.5 turbo」を上回る性能を達成とオープンなモデルのなかでは最高水準の性能を達成。さらに商業目的での利用が可能なライセンス形態で一般公開(外部サイト)されています。オフラインで動かすことでセンシティブな利用にも使えそうな印象を強く受けました。詳しい説明に関してはELYZAのnote(外部サイト)を見るとよろしいと思います。
Lunar LakeのEVOはEPEAT Gold Climate+が必須。Inspironはどうする?
引き続きインテルの安生氏がLunar Lakeに関する説明を行いました。基本的にはIntel Connection Japan 2024での説明を踏襲されていたので、内容はその記事を見ていただくとして、先の記事で触れていないものとしてLunar LakeにおけるEVOプラットフォームに関して言及していました。
筆者が「なんと!」と思ったのは新しくなったIntel Evo Platformの認定要件。Intel Evo Platformは最高のユーザー体験を得るためのものという基本コンセプトは変わらないものの、要件は毎回少しづつ変わってきます。
今回は「実使用時のバッテリ利用可能が11時間以上」とともに「新たな冷却・静音の実現」が追加され、単に冷却ファンをブン回して無理やり冷やすのではなく、システム全体で静かに冷やす工夫が必要であることが要件に加わっていました。さらに環境配慮のためEPEAT Gold Climate+の認定が必須になったのがポイントでしょう。
松原氏のスライドではXPSは将来の製品も含めてEPEAT Gold Climate+ということで、Intel Evo Platform製品が作りやすいイメージがありますし、今回発売されるXPS 13もIntel Evo Platform対応となっています。しかしInspironに関してはEPEAT Silver Climate+なので、将来Lunar LakeのInspironが販売されても、現時点ではIntel Evo Platform製品が出せないことになります。
あとで、松原氏に伺ったところ「(Inspironも)将来Gold認証を取る方向で考えている」との返答でした。環境配慮をアピールする際に第三者認証が取れているというのは重要でしょう。ちなみに今回の発表とは別ですが、リサイクルカーボンやバイオプラスチックを採用した天板やリサイクルプラスチックのサンプルも会場に展示されていました。
また、Intel Evo Platform認証には左右にThunderboltコネクターがあることがオプションとして追加されています。左右コネクタがあるほうがユーザビリティ上有利ですが、基板・回路設計的に高周波のThunderboltの配線を引き延ばすのは難しく、これが実現できる会社は多くありません。
なお、9月6日からDELLサイトに更新が入り、製品の日本語キーボード画像が入るようになっています。日本語キーボードモデルのみの製品でもwebサイトは英語キーボードというのはチグハグ感があったので、これは大変うれしい改定です。