今年の「Apple Watch Series 10」は“買ってOK”なのか? 9月20日の発売直前に熟考中の方が大勢いらっしゃると思います。発売前の数日間、筆者は幸いにも新しいApple Watchを試す機会を得ました。Series 10を使って分かった3つの頼もしい“推し”ポイントを紹介します。
全体に使いやすさが向上した
Apple Watch Series 10は、アップルが2014年にApple Watchを発表してから10周年のアニバーサリーモデルです。この機会に、アップルは気合いを入れてApple Watchを「みんなのスマートウォッチ」にするため、随所に思い切った改良を行いました。そのすべてが結実し、スマートウォッチとしてのApple Watch Series 10は一段と使いやすくなった実感が筆者にはあります。
Apple Watchの本体ケースは最薄部が9.7mmと、Apple Watch史上最もスリムになりました。Series 10には、ケースの素材が異なるアルミニウムとチタニウムのモデルがあり、それぞれに46mmと42mmの大小サイズがラインナップされます。セルラー通信機能の有無によってもモデルが変わります。
筆者が本体の質量を計ってみたところ、46mmのアルミニウムケース、セルラーモデルのSeries 10は35.3g、45mmのアルミニウムケース、セルラーモデルのSeries 9は38.7gでした。組み合わせるバンドによっても全体の重さは変わりますが、本体がスリムになったことと相まって、Apple Watchが手首にピタッとフィットする一体感はSeries 10が過去最高のフィーリングに到達しています。「装着感の心地よさ」は、筆者がイチオシするポイントです。
Apple Watch史上最大の画面がとても見やすい!
本体は軽くなっているのに、左右の幅がともに1mmずつ大きくなりました。Retinaディスプレイのアクティブ表示領域も拡大しています。つまり46mm、42mmのApple Watch Series 10は、史上最大サイズのディスプレイを搭載しています。
画面が広くなっただけではなく、視認性も向上しています。アップルが新しく開発した「広視野角のOLEDディスプレイ」(Wide-angle OLED)を搭載したことにより、斜めの角度から画面をのぞき込んだ時にも、色合いや明るさのバランスが崩れません。
Apple Watchは、手首に装着するウェアラブルデバイスなので、斜めから画面を見る機会がとても多くあります。ふとした瞬間、ウォッチの画面に目線を落とすと必要な情報がパッと目に入る心地よさがSeries 10の特徴です。
お風呂に入っている間に充電完了
「スマートウォッチは充電する手間が面倒くさいから欲しくない」という声を、筆者はいまだに周囲から聞きます。Apple Watchも毎日充電した方がよいデジタルガジェットですが、お風呂に入ってリラックスしている間の30分間、または朝の身支度の30分間などに、ほぼ1日中使えるだけのバッテリーが高速チャージできれば、充電の手間は気にならないはずです。
最新のSeries 10は専用の充電器を使うと、約30分で80%のバッテリーがチャージできます。筆者も、アップル純正の30W USB電源アダプタを使って試しました。ウォッチの充電残量が14%の状態から84%に回復するまでの時間は、ほぼ30分間でした。そのまま10分ほどチャージを続けたら満充電になりました。
「そうじゃなくて、腕時計を毎日チャージすること自体が手間なんだよ」という方の言い分もよく分かります。私も、Apple Watchを買うまではそう考えていました。
でも、スマホを毎日充電することってそんなに手間ですか? スマートウォッチも、少しの間使い続けると充電する習慣が身に付いて、手間だったことが苦にならなくなります。それよりも、iPhoneに届いているメールやメッセージの通知をウォッチで素速く確認できたり、心拍の状態や血中酸素ウェルネスをウォッチでいつでも簡単に測れることの「メリットの方が大きい」ことを実感するからです。
「装着感が向上した」「画面が見やすくなった」「高速充電がさらに速くなった」、Apple Watch Series 10がスマートウォッチ入門に最適なApple Watchであることを、筆者は強くプッシュしたいと思います。
もちろん、以前からApple Watchを使っているユーザーにとっても、Series 10は「買い替えたくなる魅力」を満載しています。
一番は、やはり大きくなった画面サイズでしょうか。筆者の手元にあるSeries 2とSeries 6を並べてみると、差は歴然です。Series 6は、ソフトウェアキーボードも使えなかったモデルでした。Series 6以前のモデルからSeries 10に買い換えを検討されている方は、メールやメッセージをApple Watchだけで軽快に返信できることにとても感動するはずです。
Apple Watch初、輝くアルミニウムのカラバリ「ジェットブラック」
Apple Watch Series 10は10周年記念のモデルらしく、ルックスもエレガント。アルミニウムケースのモデルに加わる新色「ジェットブラック」は、ゴージャスな光沢感が魅力。アルミニウムのケースをナノ粒子で磨いて、その後30段階の酸化皮膜処理の工程を経て艶のある色合いに仕上げています。
もし予算に余裕があれば、少し値段は高くなりますがチタニウムケースのSeries 10もおすすめです。まるで高級ジュエリーのように輝くApple Watchは、眺めているだけでも「買ってよかった」という満足感に満たされるでしょう。カラバリはスレート/ゴールド/ナチュラルの3色です。
10年間の集大成。便利で信頼できる機能が満載
Apple Watch Series 10は、ユーザーの健康を見守る強い味方です。iPhoneのヘルスケアアプリと連携して、ユーザーの心臓の健康を絶えず見守ってくれます。筆者は年初に、Apple Watchの心電図アプリを活用したことで命に関わる重大な心臓不整脈を発見できたという、Apple Watchユーザーのリアルな体験談を「男性の命を救ったApple Watch、不整脈の専門医も太鼓判を押す心電図アプリ」でレポートしました。
新しいSeries 10には、こちらも見つけることが難しい睡眠時無呼吸症候群の傾向をApple Watchでセルフチェックできる機能が加わります。アップルシリコンのApple S9 SiP以降を搭載するApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2にも、iOS 18とwatchOS 11のソフトウェアアップデート以降に同じ機能が使えるようになります。計測設定をオンにしてから、Apple Watchを装着して約1カ月(30日間)眠るだけ。うっかりApple Watchを身に着けなかった日があっても、下限10日間の正しく計測ができたデータがあれば、ユーザーの睡眠時無呼吸症候群の傾向をウォッチが知らせてくれます。筆者もこの機能を試しており、また改めてレポートしたいと思います。
watchOS 11には、夜間にApple Watchを装着して眠るだけで心拍数/呼吸数/手首皮膚温度などの健康指標を計測して、ユーザーの健康状態を分かりやすく知らせてくれる「バイタル」アプリが加わります。
また、ジョギングやウォーキングなど、ユーザーが日々行っているトレーニングに自己採点をして、「緩すぎずキツすぎない、自分に合ったトレーニングの負荷」が見つけられるワークアウトアプリの新機能もあります。
Apple Watchは、誕生してから10年の間にますます便利になっただけでなく、ユーザーの生活を賢く、頼もしく支えてくれるパートナーに成長しました。最もポピュラーなスマートウォッチとなったApple Watchの「10年間の集大成」ともいえる製品に、多くの方が触れてほしいと思います。