Googleは8月22日(米国時間)、Androidの次期バージョン「Android 15」のQPR1のベータ版1をリリースした。ベータ版1には、Pixel 8/ Pixel 8 Proで4KBと16KBのページサイズの切り替えを利用できる開発者向けオプションが実装されている。16KBページサイズ対応によるAndroidの将来の性能向上を見据えたリリースとなっている。

QPR(Quarterly Platform Release)は、四半期ごとに提供されるAndroidのソフトウェアアップデートだ。Androidの次期バージョン「Android 15」は7月にベータ版4に到達し、現在は正式リリースが間近な段階である。その最初のQPRであるQPR1の正式リリースは12月ごろになる見通しだ。

QPR1 ベータ版1は、Pixel 9シリーズを除くPixel 6シリーズ以降のPixelスマートフォン、Pixel Fold、Pixel Tabletで利用できる。Android 15ベータプログラムへの登録が必要なベータ版ではあるが、これまでのAndroid 15のデベロッパープレビューやベータ版と比べると、安定して動作し、リリースノートには「一般的な用途に適している」と記されている。

16KBページサイズ対応で5〜10%のパフォーマンス向上

ベータ版1の16KBページサイズの開発者向けオプションは、実機によるアプリ開発とテストのためのものである。

Androidはこれまで4KBメモリ・ページサイズのみをサポートしてきたが、Android 15から16KBページサイズを使用するように設定されたデバイスをサポートする。

ページサイズが大きくなると、ページテーブルの参照にかかる時間が短縮され、ページテーブル操作回数も減り、ページングオーバーヘッドが削減される。また、フラグメンテーションが起こりにくくる。Googleのテストでは、16KBに設定されたデバイスでは、システムの起動時間が平均 1.5%(約 0.8 秒) 改善し、アプリの起動時の消費電力が平均4.56%少なく、カメラの起動がコールドスタートで平均6.60%高速になった。全体的なパフォーマンスが5〜10%向上するという。ただし、ページサイズが大きくなることでメモリ消費量が約9%増加する。

近年、スマートフォンのメモリの大容量化が進んでおり、そうしたデバイス性能を活用できるよう、Android 15に16KBページサイズのサポートが追加された。アプリはバイナリを4KBと16KBの両方で実行できるが、4KBページサイズを念頭に構築された既存のアプリは16KBに再調整する必要がある。再コンパイルしなければ、将来の16KBデバイスでアプリが動作しない可能性がある。

しかし、Googleによると、Android 15でリリースが予定されているAndroidデバイスを含めて、現在16KBページサイズをサポートしている量産デバイスは存在しない。開発者は実機を使ってアプリの16KB対応をテストできないが、Android 15 QPR1 ベータ版1で、エミュレータに加えて、Pixel 8/ Pixel 8 Proで16KBページサイズの環境に切り替えられる開発者向けオプションが用意された(16KB開発者向けオプションの使用にはデバイスのワイプとブートローダーのアンロックが必要)。さらに近日中にこのオプションを他のデバイスにも拡大する予定である。