インターネットイニシアティブ(IIJ)は8月20日、同社の本社に社員の家族を職場に招待する「IIJグループファミリーデー2024」を実施した。今回、ファミリーデーに帯同する機会を得たので、その様子をレポートしよう。
100組の家族が職場を見学
「IIJグループファミリーデー」は、社員の家族を職場に招待し、会社や仕事に対する家族の理解を深めてもらうとともに、「働きやすい・家族を大切にする職場の雰囲気づくり」を行い、ワーク・ライフ・バランスを推進することを目的に、2014年より実施されている取り組みだ。11回目となる今回は、100組・330名のご家族が参加しての開催となった。夏休み期間とはいえ平日の開催であり、家族を招待した社員は特別休暇扱いとなり、家族と一緒にイベントを楽しめる。参加者は就学前~小学生くらいのお子さんが多く、この辺りはIIJという企業自体の特性(社員の平均年齢が30代前半くらい)も大きいのだろう。
肝心の内容だが、基本的には社員が帯同するオフィスツアーにて社長室見学、オフィス見学、IIJ Studio Tokyoの見学、セキュリティオペレーションセンター見学などが行われるほか、自由参加形式のミニイベントも行われている。今回はこのうち社長室見学以外のツアーに帯同することができたので、それぞれの様子をご紹介しよう。
配信スタジオで撮影体験
最初に訪れたのは、IIJが各種配信番組の作成等に使用する「IIJ Studio Tokyo」の見学。ここではグリーンバックを使った合成体験やスイッチング体験などが行われていた。スマートフォンを使ったビデオチャットやYouTubeなどでの配信も身近になっている世代とはいえ、さすがに本格的なスタジオというのは、なかなか得難い経験ではなかっただろうか。
IIJのオフィスに潜入
続いてオフィス見学へ。当然ながらファミリーデーに参加していない社員の方々は普通に仕事をしているので、まさに一切飾らない、「生の職場」そのものだ。残念ながらオフィスの写真を載せることはできないが、基本的には整然と机が並んでいる、「普通のオフィス」という感じだ。個人的に面白かったのはディスプレイ周りで、24インチ級の普通のワイドディスプレイから、超ワイドや40インチ級まで、様々なものが使われていたこと。通常、オフィスのPCといえば一律の仕様が使われることが多いが、IIJでは仕事環境の充実が優先で、機材選びにおいても個人に与えられた裁量権がかなり大きいようだ。実にうらやましい。
また、あるフロアでは、社員の方が自分でお菓子を仕入れてきて、駄菓子屋のようなスペースを作って販売していた。外部の会社がオフィスに定期的にお菓子を補充して販売するというのは見たことがあったが、社員が自ら社内販売しているというのは、ちょっと聞いたことがない。さらに、個人で揃えているにも関わらず、決済は現金だけでなく、クレジットカードや非接触決済系まで、一通り揃っているというあたりが実にIIJらしいところだろう。
よのなかをへいわにするおしごとです
最後に、IIJが誇るセキュリティオペレーションセンター(SOC)の見学へ。ここではIIJが行っているネットワークセキュリティ関連の仕事をご家族に紹介していくわけだが、お子様に限らず、一般の方でも何をしているかわかりにくいところはあるだろう。
ここでIIJから出てきたのが「わたしたちはよのなかをへいわにするしごとをしています」という言葉。社会インフラの多くがネットワークに依存している現在、インターネットを介した攻撃や侵入などを防ぎ、円滑なネットワーク利用が滞りなく行えるようにするセキュリティの仕事は、確かに「よのなかをへいわにするしごと」と言っていいだろう。お子さんたちにはお父さん・お母さんのおかげで皆が平和にネットを支えていることを誇っていただきたいと思った次第だ。
車椅子フェンシングの日本代表と対戦も!
自由参加のゾーンでは、ソフトな素材でできたサーベルと、センサー内蔵の前掛けを使って判定する「スマートフェンシング」を体験できるコーナーが用意されていた。このスマートフェンシングの相手をしてくださるのは、IIJではIIJmio関連の業務に携わりながら、車椅子フェンシングの日本代表チームにも選出された笹島貴明氏。
体験コーナーではお互いにセンサー前掛けとサーベルを持ち、笹島氏は車椅子に、対戦者はオフィスチェアに座った状態で相対し、相手のセンサーを先に攻撃できたほうがポイント取得、3ポイント先取で勝利、というルール。筆者は実際にサーベルを振るのはこれが初めて。一本はお情けで取らせていただいたものの、残り3本は瞬殺であった。
実際に体験させていただいて思ったのは、サーベルが意外と長く、しなるので思い通りのところを狙いにくいということ。五輪での日本フェンシングチームの活躍で、お子さんにフェンシングを習わせるご家庭も増えているとのことだが、確かにこれは奥が深く面白い競技だと感じた。
働くお父さん・お母さんに感謝
最近は家族に働く姿を見せようという試みも各社で盛んになっており、夏休みに合わせて会社訪問企画を実施している企業も増えているようだ。IIJのファミリーデーは手作り感満載で、実に同社らしい内容だったように思う。筆者も取材を忘れてすっかり楽しませてもらってしまったが、きっとお父さん・お母さんの職場を見学できたご家族の方々も同じ思いだっただろう。
普段何気なく利用しており、「使えて当然」という印象の強いインターネットだが、その快適さは、(あらゆるインフラサービスに共通することではあるが)インフラ整備に関わっている人々の不断の努力によって支えられていることを忘れてはいけない。今回参加された方々は、日本のインターネットを支えているご家族の働きに誇りを持ったことだろう。