今回は秋葉原のパソコンショップアークに足を運び、ゲーミングキーボードの売れ筋を取材しました。
最近のゲーミングキーボードのトレンドについて、スタッフの磯田尚輝氏は「ラピッドトリガーの有無がもう第一になっていますね。ラピッドトリガー対応モデルのなかで何を選ぶか、という人が多い印象です」と言います。
ラピッドトリガーは、キーを押し込んだときに入力信号がオンになる地点を細かに調整できる機能で、0.1mm単位よりも細かく決められるものも出回っています。自分に最適な押し込み具合(あるいは離し具合)で入力することで、素早くて正確な入力が可能になり、シューティングゲームなどで有利になります。この機能の搭載が大前提というわけです。
複数のメーカーがラピッドトリガーモデルを投入していて、キースイッチの種類も多岐にわたります。そのなかで多くの人に支持されているのはどんな製品なのでしょうか。下記の「ゲーミングキーボード選び 3ポイント」を踏まえて、直近の売れ筋ランキングを見ていきましょう。
<ゲーミングキーボード選び 3ポイント>
- 文字入力時にも重点を置くなら日本語配列が有利。一方、英語配列なら選択肢が広がる。
- 60~75%のコンパクトな製品が人気だが、自分なりの入力しやすさを損なわない範囲で選ぶのがベター。
- キースイッチの種類や、PCとの通信頻度(ポーリングレート)、机上でのズレにくさも比較したい。
※本文と写真で掲載している価格は、2024年7月24日13:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。
第1位:0.01mm単位で設定できる「HM66」
一番人気に挙げられたのは、Rabbitの英語60%キーボード「HM66」です。2024年6月の発売以来、供給が追いつかない人気が続いており、取材時も1人1台限定の購入制限がついていました。取材時の価格は36,000円。磁気スイッチを採用し、押下時の入力位置(アクチュエーションポイント)は0.01~4.0mmまで0.01mm単位で調整できます。
「ラピッドトリガーキーボードでも高価な部類ですが、0.01mm単位で調整できる点が評価されています。ポーリングレートも8000Hzと高いので、とことん素早く自分に最適化した入力環境が得られるのが魅力といえますね」
第2位:2万円切りでラピッドトリガーが使える「VXE ATK68」
続く2位は、2024年4月に登場したラピッドトリガーモデルとしては低価格なATKの「VXE ATK68」でした。磁気スイッチを採用した英語配列の65%キーボードで、取材時の価格は18,800円。アクチュエーションポイントは0.1~0.4mmの間で40段階の調整が可能です。
「ラピッドトリガーが使えるなかでは比較的低価格ながら、アルミフレームを採用していて作りがしっかりしています。65%配列で、矢印キーや[PageUp]キーなどもあって、比較的とっつきやすいところも評価されているのかなと思います」
第3位:高速仕様でユニークな外観の「VXE ATK RS7」シリーズ
3位も、ATKの磁気スイッチモデルになります。2024年7月に登場した75%英語キーボード「VXE ATK RS7 RGB」で、取材時の価格は25,300円でした。兄弟機にベースプレートの底面に金属プレートを組み込んだ「VXE ATK RS7 PRO」もあり、こちらは28,499円でした。ともにアクチュエーションポイントは0.1~3.5mmで、0.02mm単位の調整が可能です。
「こちらもポーリングレートは8000Hzで、1位のHM66に匹敵する性能を備えています。そのうえで75%サイズなので、文字入力もやりやすいかなと思います。外観を気に入って購入する人もいますね」
第4位:日本語配列で使える「Huntsman V3 Pro」シリーズ
4位は、光学式スイッチを採用したRazerの「Huntsman V3 Pro」シリーズでした。2023年11月から売り場に並んでいて、ラインアップはテンキーレスの「Huntsman V3 Pro TKL」と60%サイズの「Huntsman V3 Pro Mini」があります。取材の価格は、それぞれ29,680円と26,980円でした。いずれもアクチュエーションポイントは0.1~4.0mmで、0.1mm単位で調整できます。
「人気のRazer製であることに加えて、日本語配列が選べる点が大きいですね。日本語配列でラピッドトリガーが使えるキーボードは選択肢がまだかなり限られるので貴重です」
第5位:約1.7万円で手に入るラピッドトリガー「DrunkDeer G65」
5位に挙げられたDrunkDeerの英語65%キーボード「DrunkDeer G65」は、2位の「VXE ATK68」に似て、コストパフォーマンスを重視する人によく売れているそうです。2024年2月に登場した製品で、取材時の価格は17,100円でした。アクチュエーションポイントは0.2~3.8mmで、0.1mm刻みで調整できます。
「なるべく予算を抑えて、それでもラピッドトリガーが使いたいという人の強い味方ですね。VXE ATK68とともに、ラピッドトリガーの入門機的な売れ方をしています」
はみ出し情報・・・オフィスでも使える薄型キーボード
最後に、ラピッドトリガー以外の注目株を尋ねました。磯田さんがピックアップしたのは、Keychronの「K3 Max」シリーズです。薄型のメカニカルスイッチを採用した75%レイアウトのキーボードで、英語配列が2024年3月に、日本語配列が4月に売り出されました。Gateron製のロープロファイル茶軸スイッチを採用した「K3M-A3-JIS」の価格は19,360円でした。
「背面のスイッチでデジタル無線とBluetoothが切り替えられるほか、USBケーブルでつないでの利用もできます。打鍵音が抑えられているので、オフィスでも使いやすいですね」