7月23日・24日、日本プロ野球の12球団が主催となって球界を盛り上げる、年に1度の祭典「マイナビオールスターゲーム2024」が開催された。普段はライバルとして戦う球団の選手たちも、そして各球団を応援するファンたちも、この時だけは敵味方関係なく一丸となって野球を楽しむ。23日の第1戦はエスコンフィールドHOKKAIDOで、24日の第2戦は明治神宮野球場で行われ、両日ともに多くのファンが駆け付ける中で、大熱狂の2試合が繰り広げられた。

  • マイナビオールスターゲーム2024 第2戦の舞台となった明治神宮野球場

    マイナビオールスターゲーム2024 第2戦の舞台となった明治神宮野球場には多くのファンが駆け付けた

第2戦を間近に控える24日の夕方ごろ、神宮球場には前夜の盛り上がりも後押しして早くから多くのファンが集結。そんな中、まだ試合が始まっていないにもかかわらず大きな声援が響く一角があった。

そこにあったのは、HYTEKが博報堂アイ・スタジオと共に手掛けた新体験装置「Yell Selfie(エールセルフィ―)」。オールスターゲームのフォトスポットとして設置されたこの装置は、“声援”を可視化して思い出として形に残すというもの。来場者の声を集めるYell Selfieには、どういった仕掛けや工夫が施されているのか。多くのファンが体験した神宮球場での様子と共に見ていこう。

  • フォトスポット「Yell Selfie」

    神宮球場の一角に設置されたフォトスポット「Yell Selfie」

“来場者のエールを可視化する”新体験のフォトスポット

Yell Selfieのコンセプトは“来場者のエールを可視化し、その様子を思い出に残す新体験装置”。利用者の声がシャッターを切る引き金となるため、一般的なフォトスポットとは違った写真を撮影できる点が大きな特徴だ。

利用者は撮影に向けて、まず声を出す練習も兼ねて「スタート!」と発声。その声が装置上部のメガホンに届いたら、いよいよ撮影開始だ。数秒後に開始されるカウントダウンに合わせて、視線の先に書かれたキーワード「マイナビオールスター最高!」というキーワードを思いっきり叫ぶと、その声がシャッターの合図となって写真が撮影される。

  • メガホンに向かってキーワードを叫ぶ様子

    メガホンに向かって「マイナビオールスター最高!」と叫ぶと、それを合図にシャッターが切られる

シャッターが切られるのは、キーワードを叫ぶ中で最も音量が大きかった瞬間。その様子を切り取った写真は、手のひらサイズのフォトカードとなって手元に届けられた。

  • フォトカードが印刷される

    最大音量の瞬間を収めたフォトカードが印刷される

またブース内には、Yell Selfieで撮影された来場者たちの声援の様子が動画で見られるサイネージも設置。多くの人が体験すればするほど、みんなのエールが溜まっていくのである。ちなみに撮影時の動画は、フォトカードにプリントされているQRコードからダウンロードすることも可能。日常ではなかなか見られない“叫んでいる瞬間”は、写真だけでなく映像でも記録できる。

楽しい瞬間を切り取るために施されたさまざまな工夫とは

Yell Selfieの開発を主導したHYTEKの道堂本丸氏によると、体験者が声を出しやすい環境を整えるために、モチーフとなるメガホンを上に向けて設置したとのこと。また上から広く視野を確保したカメラで撮影することで、“みんなで映る”ための工夫も施しているという。

  • メガホンは上に向いている

    声を届ける先のメガホンは上に向いている

さらに、カメラにどう映っているのかを確認する手段がほとんど無いこともこだわりの1つ。メガホンにはカメラレンズと共に小さなモニターがあるが、“カメラの視野角に入っているかどうか”を確認できる程度で、表情や髪形を細かく確認できるほどの大きさではない。その狙いとして道堂氏は、「Yell Selfieでの体験においては、美しく映ることよりも、楽しんでいるときの表情などを素直に見て楽しめることが重要」とし、映り方を気にせずに楽しめる設計を意識的に行ったとする。

実際にYell Selfieを体験した来場者たちは次々とエールを響かせ、試合が楽しみで待ちきれない人は周囲一帯に大声援を響き渡らせていた。さらに、その声を耳にしてYell Selfieの体験に向かう人も多く、気付けばブースには行列が伸びるほどとなっていた。

  • Yell Selfieで撮影する野球ファンたち

    たくさんの野球ファンがYell Selfieを通して声援を響かせていた